今回から「《小学校英語》「音あそび」をしよう!」の特集が始まります。
小学校高学年「外国語」で、「聞くこと」と「「読むこと」と「書くこと」の学習も始まりました。
この「音あそび」は、英語の語の綴りを見てイラストなどの手掛かりを頼りに
「何となく意味が分かる」、「語を書き写す」などの活動の助けとなる力を育むためのものです。小学校では、何度も聞いたり発音して「音声で十分に慣れ親しんだ語」しか、「読むこと」「書くこと」の領域では扱いません。このことを大切に、児童が英語の音に関心をもつような活動を取り上げていきます。

◆ STEP 1: 語のおわりの部分の響きを認識できるようになる

英語の学習を始めて、「聞いて分かる」語が増えてきたら、その「まとまり」として聞こえる音(語の発音)の内部構造を意識させていきます。英語の読み書き技能習得には、語をより小さな音の単位で分割できる力を育てることが必要です。
それはなぜでしょうか。

下の英文を聞いて書き取るとします。
(*小学校段階では、英文を聞き、自分で綴りを思い浮かべて書き出す活動までは行いません。書き写す活動を扱います。)

I like grapes.

このとき、まずそれぞれの語の区切りを認識できることが必要です。この文の場合、3つの語から成っています。
それらの語のうち、例えば grapes を綴るためには、語の発音を /g/, /r/, /eɪ/, /p/, /s/ という
5つの音に分解できる必要があります。そして、それぞれの音を表す文字(や文字のまとまり)を順に書き出していきます。

日本語の「ぶどう」は、「ぶ」「ど」「う」という3つの音から成り、それぞれ対応する仮名文字があります。日本語の最小音韻単位は「モーラ(拍)」と呼ばれ、/bu/, /do/, /u/ のように「子音+母音」(五十音表の「あ行」は母音のみ)のまとまりで構成されています。一方、英語の語を構成する最小音韻単位は、「音素(phoneme)」であり、単独の子音や母音です。ただ、語の内部構造の意識を高めるといっても、最初からこの小さな音素単位の音に気づくのは難しいものです。先ほどの grapes の単数形 grape で言えば、まずは次のように大きく区切って聞き取れるようになる力が基盤となります。

gr ・ ape

今回はこのように、語の「大きめの区切り」に関係する「押韻」の気づきを促す指導を行います。

◆指導のヒント:「押韻」とは

「押韻」(=韻を踏むこと、rhyming)には、語のはじめの部分に同じ響きをもつ「頭韻(alliteration)」と、おわりの部分が同じ「脚韻(rhyme)」があり、英語らしいリズムを生み出す特徴となっています。例えば、

Eeny, Meeny, Miney, Moe, catch a tiger by the toe.
If he hollers let him go.
Eeny, Meeny, Miney, Moe

Peter Piper picked a peck of pickled peppers.
A peck of pickled peppers Peter Piper picked.
If Peter Piper picked a peck of pickled peppers,
Where's the peck of pickled peppers that Peter Piper picked?

Rain rain go away,
Come again another day.

といったマザーグースやナーサリーライムでは韻が踏まれていて、独特の響きを生み出し耳に残りやすくなっています。

日本語にも、キャッチコピーなどで韻を踏んでいるものが多くあります。大手半導体メーカーのものや、コンビニのものなど、子どもたちと一緒に探してみてはいかがでしょうか。

STEP 1 では、押韻のうち、まず「脚韻」を扱います。上の囲みの例からも分かるように、語頭の子音のみが共通する「頭韻」に対し、「脚韻」はそれに続く「母音+子音」のまとまりで共通する響きとなっています。
そのため、一般的に、「脚韻」の方が「頭韻」よりも音の単位が大きいことになり、認識しやすいとされています。「頭韻」の認識については、STEP 8 以降、「語のはじめの音」が同じかどうかを判断する活動で高めていくことにします。

◆所要時間:導入活動のみ 15分 / Worksheet 1-1:1015分、1-2:1015

最初に、これから Step を進んでいく中で、何度も繰り返す語を導入します。

以下の「基本語シート」を用いて、指導者が発音したものを指でタッチして繰り返す活動を行います。「イラストを見て、それが表すものを英語で言える」ことを目指しましょう。外来語として子どもに親しみのある語もありますので、英語と日本語の発音の違いに気づくように区別して発音を聞かせるとよさそうです。


《上の「基本語シート」は
こちら からダウンロードできます》
*log, drop のイラストは複数のイメージとなっていますが、1つだけを囲んで発音を聞かせるなど単数で親しみます。

イラストを見てそれが表すものを発音できるようになったら、その定着も兼ねて「rhyme(脚韻)」の認識を高める活動を行います。子どもたちには「脚韻」とか「ライム」といった用語を教える必要はありません。「語のおわりの部分で、同じ響きが聞こえるか」、「似たように聞こえる部分があるか」といった問いかけをして、「何となく共通の響きがあるな」と認識できることから始めます。

◆活動のめあて

 2つの語の発音を聞いて、それらの「おわりの部分の響き」が同じかどうかを判断することができる。

◆The Flow of Instruction 指導手順1.

1. 上の「基本語シート」のイラストを1つ1つ指しながら、"What’s this?" と尋ね、それぞれの絵が表す語の発音を確認する。

2.任意の2つのイラストを指し、「おわりの部分の響きが同じかな?」(“Do they sound the same at the end? YES or NO?”)と尋ねる。
★指示どおり「YES」もしくは「NO」を答えさせてもよいが、「YESなら右手、NOなら左手」、「YESなら指1本、NOなら指2本」など動きで答える方法もあります。
★最初は「おわりの部分の響きが同じ」ということが分かりにくいので、「dog / log」、「fox / box」など韻を踏む語のペアを何度も聞かせて理解を促します。

3.答え合わせとして、「おわりの部分」の発音を強調しながらペアの語を発音して聞かせ、続いて子どもたちにも発音させてみる。その後、再度、“Are they the same? / Do they sound the same?” と尋ね、正答を導く。
★ここで子どもたちが納得するように明確に「おわりの部分」の発音を聞かせることが大切です。認識が難しそうな子どもがいる場合には、「はじめの部分」と「おわりの部分」を区切って発音して聞かせるのも効果的です。

4.【発展】 1つのイラストを指し、「これと『おわりの部分の響き』が同じ語が他にもあるかな?」と尋ねて探させる。(Step 2 の活動内容)

5.Worksheet 1-1 を配付して、各自で取り組ませる。その後、同様に Worksheet 1-2 も行う。
★子どもたちがイラストが表す語に十分慣れ親しんでいない様子が見受けられた場合は、指導者が一緒にワークシートを見ながら、それぞれのイラストが表す語を発音して聞かせる。子どもがそれを繰り返せるようになってから、「○か✕か」を各自で考えさせてもよい。
★答え合わせの時には、韻を踏んでいるペアについて、共通する「おわりの部分の響き」を取り出し、指導者と子どもたちと一緒に発音する。


《Worksheet 1.1は
こちら からダウンロードできます》


《Worksheet 1.2は
こちら からダウンロードできます》

6.【発展】 子どもたちでペアを作り、一人がワークシートを見てペア語を発音し、もう一人は音だけを聞いて「韻を踏んでいるかどうか」を判断して答える活動を行う。 

◆ Answers for the worksheets

■Worksheet 1-1
1. ○(cat hat 2. ✕(gum – gas) 3. ✕(spoon - corn) 4. ○(zip - tip) 5. ✕(bus - bat
6. ○(fan - can) 7. ○(drop - stop) 8. ✕(train - truck) 9. ✕(vest - desk) 10. ○(star - car
■Worksheet 1-2
1. ✕(snake – soap) 2. ○(fox – box) 3. ✕(tape - cake) 4. ○(dog - log) 5. ✕(hat - ham
6. ✕(boot - spoon) 7. ✕(clip - clock) 8. ○(fish - dish) 9. ✕(gate - game) 10. ○(map - clap

 

イラスト協力: 愛知県立大学 外国語学部 4年 濱口 果奈 さん

 

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