◆STEP 3:「子音」の音の存在に気づく

韻を踏む(脚韻)語を認識し、語のもつ「響き」や「音」のおもしろさを子どもたちが感じ始めたら、いよいよ個々の「子音」の存在への気づきを促す活動に進みます。

STEP 3 ではまず、音声で慣れ親しんだ英語の語を使い、「子音の音」を取り出して発音する練習をします。

続く STEP 4 からは、少し英語と離れ、「ローマ字」学習と関連づけを行います。「日本語の仮名文字の音」を子音レベルに分解し、それぞれの音を表す文字を組み合わせたものが「ローマ字綴り」であることに気づくことで、ローマ字の学び方も変わってくることをご提案します。ちなみに「ローマ字」とは Romanization of Japanese、つまり「日本語をローマ字を用いて表記すること」(その綴りの規則全般)です。

◆指導のヒント:日本語ではあまり意識しない音素レベルの音

音声言語の区切りのうち、最も小さい単位を「音素」と言います。音素には、日本語の仮名文字「あ、い、う、え、お」やアルファベットの「a, e, i, o, u」などで表される「母音(vowels: 以下V)」と、それ以外の「子音(consonants: 以下C)」があります。

日本語の仮名文字は「あ行」、すなわち「あ、い、う、え、お」の母音や「ん、を」などを除き、基本的に「子音+母音(CV)」の組合わせで1つの音が構成され、それぞれの音に対して1つの文字が対応しています。例えば、仮名文字の「か」は、子音の /k/ と母音の /a/ が混成して成り立つ音です。これはローマ字綴り(「か」= ka)を見ればよく分かります。
日本語では、話し言葉で母音が欠落する現象(例:「北(kita)」の「き」や、「心(kokoro)」の「こ」が無声化する〔喉に手を当てても振動しない〕など)を除き、ふつう子音の後に子音が続くことはありません。

それに対し、英語では "strawberry" のように、/s/ という子音の後に /t/, /r/ という別の子音が続くことがあります。これを「子音連結(consonant cluster)」と呼びます。また英語には、日本語とは異なり、語尾に母音を伴わない語が多くあります。
例えば、"stop" という語を発音する時に、日本語を母語とする英語学習者はしばしば、後ろに /u/ という母音を伴って「ストップ」( /-pu/) と発音してしまいます。これは日本語発音の影響と言うことができます。このように、子音の後に、本来英語にはない母音を伴ってしまう現象を「母音挿入」と言います。母音挿入が起こらないようにするために、「子音」の音だけを聞いたり、言ってみたり、語のどこにあるかを聞き分けてみたり、語から取り出してみたり、別の子音と置き換えたりする活動によって、学習者に「子音の存在」とその音声特徴を意識させておくことが必要です。

STEP 3 では、英語の「C1C2VC3」構造をもつ語(stop など)と(C1が落ちた)「C2VC3」構造の語(top など)を聞き比べ、C1の有無に気づき、それを取り出して発音できるようになることを目指します。ここで扱われる子音は /s/, /t/, /k/ の3つであり、いずれも「無声音」ですので、発音する時に、喉に手を当てて震えを感じないことを確かめておきましょう。

◆所要時間:導入活動のみ 20分  Worksheet 3-1 10分、 Worksheet 3-2 15


《Worksheet 3-1は
こちら からダウンロードできます》


《Worksheet 3-2は、こちら からダウンロードできます》

◆活動のねらい

① 「C1C2VC3」と「C2VC3」の構造をもつ英語の語を聞き比べ、C1の音の有無が違いであることに気づくことができる。
② 「C2VC3」語の前にどのような音を足せば「C1C2VC3」語になるかを言うことができる。
③ 「C1C2VC3」語からどのような音を取り除けば「C2VC3」語になるかを言うことができる。
④ 「C1C2VC3」語と「C2VC3」語のカードが混ざったものを、それぞれ分類することができる。

◆The Flow of Instruction 指導手順

1.「基本語シート」のイラストをランダムに1つずつ指し、“What’s this?” と尋ねながら、イラストが表す語の発音を練習する。それぞれのカードを黒板に、「CCVC」(●のついたカード)と「CVC」(▲のついたカード)のグループに分けて貼っていく。

《「基本語シート」は、こちら からダウンロードできます》

2.14枚全ての発音練習が終わったら、2つのグループの間に線を引き、「Two groups. What’s the difference?」「2つのグループに分けました。さて、これらはどこが違うかな?」と尋ねる。

3.例えば swing の絵カードを取り上げ、それを wing のカードに近づけたりしながら、ペア語のヒントを示す。

* ここで子どもたちからは「/su/(「ス」)の音がない/ある」、「こっちは /su/ はあるけど、あっちはない」、「はじめが違う」といった声があがります。すぐに「/su/ じゃなくて /s/ だよ」と答えを言ったりせず、うなずきながら、できるだけ多くの「気づき」を子どもたちから引き出すようにしましょう。

4.「(語の)どこの部分の音が違うかな」、「どういう音がこっちのグループには付いていて、あっちのグループにはないのかな」のように、「異なる音がある位置」と「その音」を子どもたちと確認する。

*子どもたちが /s/ /su/ の違いに気づいておらず、「/su/ がない/ある」という発言が多く聞かれるようであれば、「では wing のはじめに /su/ を付けて言ってみましょう。せ~の!」と促してみましょう。「ス~ウィング」のような音になってしまいますので、すかさず swing の絵を示して “What’s this?” と尋ね、正しい発音を思い出させます。「あれ、何かおかしいね。/su/ に何か邪魔な音が付いてしまっているね。それを取ると、何が残るかな」と言いながら、口を大げさに動かしながら /sss./ と発音します。子どもたちも自然に /s/ の音を出し始めます。さらに、喉に手を当てて「喉は震えていませんね」と、子どもたちにも無声音であることを確認させてみるとよいでしょう。他の /k/ /t/ も同様に、後ろに母音を伴って発音しないように意識させます。

5.一通り、ペア語とC1の音を確認したら、C1CVC語の絵カードを1枚ずつ見せて「はじめの音を取ると?」と尋ねる。子どもたちが答えの語を発音したら、その絵カードを示して確認。

6.続いて CVC語の絵カードを1枚ずつ見せ、「これの前にどんな音を付けたら、こっち(CCVC語の絵カードを見せながら)の語になるかな」と尋ねる。子どもたちが答えた子音が、後ろに母音を伴っていたら、喉に手を当てて無声音であることを意識させる。

7.上の5と6の活動をランダムに繰り返して徹底する。

8.Worksheet 3-1 を配付して、各自で取り組ませる。

9.Worksheet 3-2 を配付して、各自で取り組ませる。

《 「Worksheet 3-2 で新たに加わる語のシート」は、こちら からダウンロードできます》

◆ Answers for the worksheets

■Worksheet 3-1
ski key, slip lip, swing wing, snail nail, train rain, stop top, clock - lock

■Worksheet 3-2
1.[/k/: 1 clock, 6 clip]
    [
/s/: 2 stop, 4 snail, 5 swing, 7 ski]
    [
/t/: 3 train, 8 tape]
2./k/: cat, clap, koala
  /s/: socks, snake, snow(man), slippers
    /t/: tomato, toast, truck

 

イラスト協力:©育伸社(カラーイラスト)、愛知県立大学 外国語学部 4年 濱口 果奈 さん

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