生徒が自ら考え、表現する力を高めたい。
生徒の発話を促すために教師はどのような発問をしたらよいのか?
ここでは、今日の授業に役立つ問いかけの例を毎週トピックとともにご紹介します。
中学3年生から高校1年生までの生徒を対象としたペアワークを促す展開例です。

前回は、「What kind of food do you like?」をトピックに、教師による話題提示と質問、生徒間でのインターアクション、そして全体での共有という流れの展開例を示しました。

中・高#4-1: What kind of food do you like? どんな食べものが好きですか?(前)

今回はその流れのなかでのさまざまな「意図」や「注意点」に触れながら、さらなる展開例を示します。

T: Yesterday, I ate sushi for dinner with my Canadian friend. She loves Japanese food, especially sushi. You like Japanese food?

- Do you like Japanese food? Why/Why not?

S1, Do you like Japanese food?

S1: Yes, I like Japanese food.

T: Why? Why do you like Japanese food?
S1: Why? Umm…, Japanese food is healthy.


[さらなる展開例]
T: Does your partner like Japanese food?
S1: Yes, she does.
T: Why does she like Japanese food?
S1: She says she likes Japanese food because she likes fish.
T: One of my Canadian friends says he doesn’t like Japanese food very much because often it is too salty.

<意図・注意事項>
このペアワークでは、教師は、お互いに「日本食は好きか? なぜ好きか、嫌いか?」と2つの質問をするというコマンドを伝えています。そこで、教師が質問によってペアワークでの情報のやりとりを確認するときには、生徒がこちらのコマンドに応えたかを確認することが必要になります。 生徒は「逃げる」ことの天才なので、教師のコマンドに応えなくてもやり過ごせることを学習させてはいけません。 この部分は教師が「いじわる」になってよいところです。ここでは、「さらなる展開例」として、指名した生徒にパートナーが日本食を好む理由を言わせるやり取りを加えてみました。

また、「日本食が好き」という意見と理由だけではバランスが悪いので、「嫌い」という意見とその理由を示しました。 こうすることで、生徒が自分とは逆の意見をも意識する習慣をつけることを促します。 そのような習慣を着けることは、彼ら/彼女らがディベート活動にチャレンジするときにも役に立ちます。

T: Then, what Japanese food do you like the best. My Canadian friend likes sushi the best. I like soba the best.

- What Japanese food do you like the best?

T: S2, what Japanese food do you like the best?
S2: Well, I like sushi the best, too.
T: What Japanese food does your partner like the best?
S2: He likes sukiyaki the best.

[さらなる展開例]
T: Well, do you like all Japanese food? Maybe not. Is there any Japanese food you don’t like?
S3, what Japanese food do you dislike?
S3: I don’t like tsukemono.
T: Do you know what they call tsukemono in English? They call it preserved vegetables. What do you think is the most
popular preserved vegetable in western countries? Actually, you know it quite well. Pickles. Preserved cucumber.

<意図・注意事項>
ペアワークで「好きなものは何か」についてのやり取りをしたので、今度は「好きでないものは何か」という質問をします。こういう場合にlikeに接頭辞disをつけてdislikeにすると逆の意味になることを実際のコミュニケーションのなかで示します。 生徒はdislikeという単語を知らなくても、コンテクストから意味を推測できるでしょう。 そのようにして導入された単語や表現は定着もしやすいのです。

「食べもの」はグローバルな視点から考えやすいトピックです。ここでは、「漬物」を取り上げてみました。普段、ハンバーガーといっしょに食べているピクルスが漬物の一種であることを生徒は意外に思うでしょう。このように生徒に「へぇ」と言わせるような「小ネタ」をたくさん持っていると、楽しい授業がしやすくなります。

T: Most of you seem to like Japanese food. Then, which do you eat for breakfast, bread or rice? I usually eat bread for breakfast. How about you?

- Which do you eat for breakfast, bread or rice?

S4, which do you eat for breakfast, bread or rice?
S4: I eat bread for breakfast.
T: Which does your partner eat for breakfast, bread or rice?
S4: He eats rice for breakfast.

[さらなる展開例]
T: S5, do you always eat rice for breakfast?
S5: Well, actually, not always. I sometimes eat bread for breakfast.
T: S4, do you always eat bread for breakfast?
S4: Yes, I always eat bread for breakfast. I do not eat rice for breakfast.
T: Oh, you don’t eat rice for breakfast at all.

<意図・注意事項>
太字部分の質問 は、ペアでお互いに質問させます。
ここでは、ペアワークの内容を受けて、not ... alwaysや not... at allの表現を使ってみました。 こうしてコンテクストを設定した上でコミュニケーションのなかでこれらの表現を用いると、すでにこれらが導入されている場合には、「使って」の復習となり、また導入されていない場合には、自然で帰納的な導入になります。 教師の頭の中に生徒が学んでいくべき表現が整理されていると、このような「チャンス」を活かすことができます。

T: You love talking about food, don’t you? Well, then, what is your favorite food? What is your second and third favorite food?

- What is your top favorite, second favorite and third favorite food?

T:S6, What is your top favorite, second favorite and third favorite food?
S6: Well, let me see. My top favorite food is hamburger. My second favorite food is curry and rice. My third
favorite food is sushi.

[さらなる展開例]
T:Well, then S6, What is your least favorite food? I mean, the food you dislike the most. My least favorite food is coriander. You know what coriander is? In Japan we call coriander pakuchi, or shunsai.
S6: My least favorite food? Do I dislike any food…? Oh, my least favorite food is mayonnaise! I cannot eat it.
T: Interesting. You don’t like mayonnaise. Why? I love it.

<意図・注意事項>
ここでも「一番好き」の逆の「一番嫌い」- least favoriteという表現を取り上げました。実は、一番好きな食べ物について話すよりも、一番嫌いな食べ物について話す方が盛り上がります。 やはり、英語で話していることを忘れてコミュニケーションしてくれるでしょう。 least favoriteという表現をやはり帰納的に導入することができます。生徒が嫌いな食べ物の代表は、ここで取り上げたパクチーやマヨネーズで、面白いことに、これらが大好きという生徒もたくさんいます。ここではあえて示しませんが、そのような食べ物は他にもたくさんあります。生徒とやり取りして見つけてみてください。

今回はWhat kind of food do you like? をトピックとした展開例をご紹介しました。このような基本的には簡単な表現を用いたやり取りをさせるときは、既習の表現を使って復習したり、新たな表現を追加して導入するよいチャンスです。それが、負荷のコントロールにつながり、生徒が飽きるのを防ぐことになります。 常に「負荷のコントロール」を意識しましょう。 それは、料理の味の濃さを適切にコントロールするのにも似ています。濃すぎる料理も薄過ぎる料理も、食べる者を満足させないのです。

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