今回はこれまでのようにSmall Talkの展開を紹介するのではなく、自分が紹介しているSmall Talkのなかのいくつかの「こだわり」について説明したいと思います。

私が紹介するSmall Talkの展開は、生徒同士が質問し合うことによって、与えられたトピックについて理解を深めるようになっています。例えば第2回の「In the morning 朝、何をしますか?」 では、生徒同士で

What do you do just after you get up in the morning?

という質問をし、次に教師が生徒にその質問をすることで指名した本人とそのパートナーの答えを全体で共有しました。

中・高 #2-1: In the morning 朝、何をしますか?(前)

生徒同士で質問させることにはいくつか理由があります。そのひとつは、生徒に質問する能力をつけさせたいからです。私自身が受けたかつての英語の授業では、どのようなかたちであれ、生徒が英語で質問することはあり得ませんでした。質問するのは教師、答えるのが生徒という構図です。しかし、現在のコミュニケーションを目的とした英語の授業では、そのような構図は極めて不自然です。

試しに、どんな内容でもよいので誰かと1分間話してみてください。1分間の会話の内容を振り返るとそのほとんどが質問からスタートしていることに気づくでしょう。「今日は暑いですね」もまた質問、つまりは「疑問文」のかたちをとった文なのです。

また、英語が話されている国に行った時のことを考えてみてください。文化や習慣が異なる場所では、当然、誰かに質問する機会が多くなります。「疑問文」が作れる能力が必要になります。

さらに、生徒同士の質問の後では、教師が指名した本人だけでなく、そのパートナーの答えも確認しています。

What does your partner do just after he/she gets up?

これに対して質問された生徒は、自分のパートナーについて三人称のhe/sheを主語にして答えることになります。

She searches for her glasses just after she gets up.

今も昔も、通常英語の授業において、生徒が三人称を主語とする文を口にすることは多くないと思います。やはり、口頭でのやりとりが「教師が質問し、生徒が答える」構図になっており、教師が質問するときの主語がほとんどの場合youであることが原因だと思います。その結果、多くの生徒はいわゆる「三人称単数現在のS」やdo/doesの使い分けに苦しむことになります。私自身もいまだにこれらを間違えることがあります。授業のなかで度々これらを使わせる工夫が必要です。

時間に余裕がある場合、あるいはSmall Talkのなかでではなく、単なるペアワークとして生徒同士で質問させる場合は、パートナーを変えて(前後の席の生徒など)he/sheを主語にした質問をさせると良いと思います。

What does he/she/your first partner do just after he/she gets up?

「使わない」ものは覚えられません。知識として覚えても、使わないものは忘れてしまいます。スキルとして定着しません。 “Use it, or lose it.”の言葉のとおりです。だからこそ、Small Talkをデザインする際には、生徒らに英語を「どう使わせるか」を考えることになります。

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