投稿日:2020/09/01

"Hands-on Small Talk" スモールトーク【小・中学校編】W18-2: “What is your favorite room in our school?” お気に入りのものについて話してみよう!(後)

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前回から、"favorite" という語を用いて、「お気に入りのもの」をトピックに Small Talk の展開を考えています。

小・中学校W18-1: “What is your favorite room in our school?” お気に入りのものについて話してみよう!(前)

まず指導者が「学校のお気に入りの教室」について、次のようなモデル発話をしました。

T: Welcome to our English room. Look. There are a lot of picture cards on the wall. Can you say those fruits and vegetables in English? Yes, you can? Excellent! Then, can you see the word cards over there? You can learn a lot of new words by using them. Also, there are many English books and I enjoy reading them after school. This "English room" is my favorite room. As you know, our school has many special rooms. Out of all of them, I like this "English room" the best.

続いて、最初の生徒 S1 に問いかけます。

T: So my favorite room in this school is the English room. What is your favorite room in this school, … S1?

この後、以下のようなやり取りが続いたとします。

S1: ... Gym.
T: Oh, you like the gym. Why (do you like the gym)?
S1: ... Sports.

今回は、この "... Sports." という S1 の反応を指導者がどう受けとめ、さらに対話を続けるかについて考えていきます。

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3.S1 とのやり取りを深める

指導者の反応として、次の3つの例を考えてみます。

(1)
S1: ... Gym.
T: Oh, you like the gym. Why (do you like the gym)?
S1: ... Sports.
T: You like sports. I see. Tell me more, please.
S1: I play basketball in the gym.

この (1) では、「なぜ体育館が好きな場所なのか」という問いに「スポーツ」と単語のみで答えた S1 に対し、指導者が「スポーツが好きなんですね」と "I [You] like ~." の表現を用いて答えています。そして、さらに S1 の言葉で理由を続けて欲しいと期待しながら "Tell me more, please."「もっと(理由を)聞かせて」と促すものです。できるだけ詳細や具体的な事例や気持ちなどを、生徒の言葉で言わせたいという意図があります。

(2)
S1: ... Gym.
T: Oh, you like the gym. Why (do you like the gym)?
S1: ... Sports.
T: You like sports. So, you play [enjoy] sports in the gym?
S1: Yes.
T: What sport do you play?
S1: I play basketball.

(2) では「スポーツ(が好き)」という S1 に対し、まず、完全な疑問文の形ではありませんが "You play sports in the gym?"「体育館でスポーツをするんですか?」とたずねてみることで、どのようなスポーツをするのかなどの詳細を S1 の方から話してくれるように促してみました。しかし S1 から "Yes." という反応しか得られなかったため、指導者が具体的に "What sport do you play?" 「どんなスポーツをするのですか」と問いかけています。

(3)
S1: ... Gym.
T: Oh, you like the gym. Why (do you like the gym)?
S1: ... Sports.
T: You like sports. What sport do you like?
S1: I like basketball.

もうお気づきだと思います。この (3) は、「スポーツ(が好き)」という S1 に対し、指導者がすぐに具体例を引き出す問い "What sport do you like?" を投げかけています。

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もうひとつ、別の展開例を挙げてみます。


"Why (do you like the gym)?" とたずねた指導者に対し、S1 が "I play basketball."「(体育館で)バスケットボールをする」と答えたとします。具体的な「バスケットボール」というスポーツの名前が出てきたので、その後の対話が次のように closed questions(Yes または No で答える問いや、選択肢の中から選んで答える問いなど)に偏ってしまいがちです。
 ◆ Are you a member of the basketball club?
 ◆ Do you like basketball?

S1: ... Gym.
T: Oh, you like the gym. Why (do you like the gym)?
S1: I play basketball.
T: Oh, you play basketball in the gym. Are you a member of the basketball club?
S1: Yes.
T: Do you like basketball?
S1: Yes, I do.

さらに、この続きでこのような指導者の反応も想定されます。

T: Me too. (I like basketball because) It’s exciting. But I’m not good. Are you good at (playing) basketball? [Can you play basketball well?]
S1: No.
T: I'm not good at (playing) basketball either. [Neither do I.] But I enjoy playing it.

ここでは「バスケットボールが好き」と答えた S1 に対し、指導者が "(I like basketball because) It’s exciting. But I’m not good." と自分の気持ちをどんどん述べてしまっています。お気に入りの場所である体育館やスポーツ、バスケットボールに対して、S1 自身が伝えたいこと、S1 らしい内容が引き出せていません。

使える語句や表現が少しずつ増えてきている中学校レベルであれば、まずは「生徒のことばを引き出す」問い、つまり open questions を用いてみてはいかがでしょうか。"What's exciting [interesting] about basketball?"「バスケットボールのどのようなところがおもしろいですか?」という表現なども使えます。もちろん "Why?" とたずねることもできますが、感覚である「好き嫌い」についてあまり「なぜ好きなの?」と何度もたずねられると答えに困ってしまうこともあるように感じます。

T: Me too. [I like basketball too.] What's exciting [interesting] about basketball?
S1: シュート ... おもしろい ...
T: Oh, shooting a basketball is exciting? Yes, it IS exciting and also difficult! Actually, I'm not good (at shooting). Are you good at shooting?

大事なのは、対話の内容を深めていくために、「例としてどのようなことを付け加えることができるか」、「自分の考えや意見に、どのようなことを添えれば理由として聞き手に分かりやすくなるか」を、生徒が自分自身で考えられるようになることです。指導者が最初のモデルの中で「理由として添えることができる内容」を意図的に含めることにより、生徒の気づきを促し、さらに実際に「指導者と生徒」、「生徒同志」の対話の中で「取り入れてみる」ことが大切です。

その意味でも Small Talk は、1つのトピックについて1度話すだけでなく、何度もふり返りを挟みながら繰り返すことが必要です。同じトピックについて話す経験を積みながら、「もっと内容が豊かになるように」、あるいは「こう伝えたら相手に分かりやすい」と思考することができ、学びが深まります。 そのためにもやはり、指導者の「支援」の工夫が大切です。

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