投稿日:2020/09/08

"Hands-on Small Talk" スモールトーク【小・中学校編】W19-2: "Is there anything you don't like?" 苦手なものについて話してみよう!(後)

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前回は、「好きではない(苦手な、嫌いな)もの」についてたずねる一般的な表現についてご紹介しました。

"Hands-on Small Talk" スモールトーク【小・中学校編】W19-1: "Is there anything you don't like?" 苦手なものについて話してみよう!(前)

生徒が「伝えたいのに英語にならなかった」ことは、英語にして聞かせてあげたい

小学校高学年や中学校はじめの英語の授業で、自己紹介に続いて「友だちのことについてよく知ろう」と、やり取りの活動を行うことがあります。このときに生徒が “What ~ do you like?” (どんな~が好きですか?)に続いて、その逆、つまり「好きではないもの」をたずねようとする姿が多く見られます。このとき、前回も取り上げたように、次のような誤った疑問文になってしまうことがあります。

* What food do you dont like? (*=「非文」であることを表す)

確かに小学校では、細かな表現上の誤りを指摘したり、文法的な正確さを求めたりするのではなく、「伝えたいことが相手に理解できればよい」と考えることも大切です。こうした意味を重視したアプローチが重視される場面が、中学校の言語活動でもあります。ですが、生徒が上のような問いをしていたら、正しい形をきちんと提示しておきたいものです。ここで言う「提示」とは、先生がその表現を言って、生徒に聞かせる(気づかせる)という意味です。

Is there any food you don't like?
Is there any food you dont eat?
Is there any food you cant eat?
What is the food you don't like?
What food do you dislike?
What food do you hate?

特に小学校では、「小学校段階の学習内容から外れる構文・文法」を含む表現を導入することに不安があるかもしれません。ですが、児童が「英語で言ってみたい」ことは、少なくとも「音声で聞かせてみる」ことが大切だと考えます。「これが自分の伝えたいことを表す言い方だったのか!」と児童が気づき、真似て言ってみて、たとえその場限りになっても「言えた!」という経験が、「自分が言った英語が伝わることって嬉しいな」という達成感につながるのだと思います。

とはいえ、次第に英語で伝えられることが豊かになると、用いる表現によって意味合いが異なることにも意識を払う必要があります。上で示した疑問文のどれでもよいから提示しておけばよい、という訳でもなさそうです。

 You don't eat? それとも You can't eat?


以前、このようなやり取りを経験したことがあります。
あるイギリスの大学生がイベントの自己紹介カードに次のように書いていました。

 I dont eat chocolate. (チョコレートは食べません)

そこで “Do you have an allergy to chocolate or anything?” (チョコレートにアレルギーでもあるの?)とたずねてみたら、次のような答えが返ってきました。

 I can eat chocolate, but I dont eat them. (チョコレートは食べられるけど、食べないんだ)

思わずさらに “What do you mean?” (どういうこと?)と続けてしまいました。
彼が言うには、「あるクリスマスの時期にチョコレートの美味しさに「ハマって」しまい、かなりの量を連日食べてしまった。そして、このままチョコレートを食べ続けていたら、必ず将来、体に悪い影響があると思い、その日からチョコレートを食べないことに決めた」ということでした。

もう10年以上前のことですから、今ではもう「食べないのをやめて」しまっているかもしれませんが、この時に、“can eat”, “can’t eat”, “(do) eat”, “don’t eat” の違いを意識するようになりました。そのため、下のような細かな表現の違いが、どうしても気になってしまいます。

Is there any food you dont eat?
Is there any food you cant eat?
Is there any food you don't like
Is there any food you dislike?

これも前回少し触れた「言語意識」(= language awareness)の一側面です。
言語の果たす役割や表現の違いなどに対する敏感さが育つことで、指導者は、それらを目の前の学習者に適切なタイミング、方法で取り上げて指導することができます。

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「好きな食べ物」「好きではない(苦手な)食べ物」についてのスモールトーク展開例


前回から今回にかけて紹介してきた表現を用いながら、「好きな~」「好きではない(苦手な)~」についてのやり取りの流れを考えてみます。
まず先生は "What is your favorite Japanese food?" や ”What type of soup do you like?" という factual questions(事実発問)を使って、生徒から「好きな日本食」について S1 から詳細を引き出します。

T: Yesterday, our ALT, Chris sensei asked me my favorite Japanese food. I said, I like okonomiyaki because its special sauce is very delicious. He wants to try various Japanese dishes. What is your favorite Japanese food? How about you, S1?
S1: I like ramen. Nice.
T: Oh, you like ramen. Yes, its very nice and I like miso ramen very much. What type of soup do you like?
S1: I like shio.
T: Thats also nice. Thank you, S1.

次の S2 に対しては、S1 への問いであった "What is your favorite Japanese food?" を "What Japanese food do you like the best?" と別の表現で表していまうs。さらに "What type of "sushi" do you like?" という問いをしてみますが、「お寿司のネタ」についての質問と思われないように「握り」「手巻き」「ちらし」という例を添えています。

T: Hi, S2. What Japanese food do you like the best?
S2: I like sushi.
T: You like sushi. Again, thats also one of my favorites. What type of “sushi” do you like, for example, “nigiri,” “temaki,” or “chirashi”?
S2: I like temaki.
T: Thats nice. Its very interesting to make temaki-zushi at home. Thank you, S2.

続く S3 に対しては、Do you like "sushi"? と「お寿司の好き嫌い」を確認してから、Yes. という返答だったため、さらに「どのお寿司がもっとも好きか」という "What is your favorite "sushi"? とたずねています。
さらに、S3 の「海老寿司が好き」という答えを受け、「先生はアレルギーがあるから、海老が食べられない」と I can't eat "shrimp sushi." と既習の can を用いて伝えています。その後、少し話題を変え、Do you eat "sushi" with "wasabi"? と「(ふつう)お寿司にわさびを添えて食べますか」とたずねてみました。Can you eat ~? の「食べることができますか」とは少し意味合いが異なることを感じて欲しいという意図があります。中学校くらいになったら、先生が I can eat “wasabi” but I don’t eat it too much because it makes me cry. のように言ってみて、違いをより意識させることもできそうです。

T: Hello, S3. S2 said she liked sushi. Do you like “sushi”?
S3: Yes.
T: What is your favorite “sushi”? Well, what topping [item], I mean. (I like tuna very much.)
S3: I like
エビ …
T: You like shrimp. Many people say theyre delicious. I can’t eat “shrimp sushi” because I have allergic to shrimp. By the way, do you eat “sushi” with “wasabi”?
S3: No.
からい …
T: I see. It has a very sharp taste hot. Be careful!

さらに S4 には  What "sushi" do you like the best? とたずねたものの、I like shrimp (too). I like tuna. I like egg. と同じ "I like ~." という文を並列的に答えたため、"X, Y, ..., and Z" という列挙の表現を用いて整えながら言い直しています
最後の部分では、たくさん「好きなお寿司のネタ」がある S4 に、「好きではない(苦手な)ネタがあるか」をたずねています。すると「タコはあまり食べない ... 噛むのが ..." のように「(量や頻度の点から)あまり食べない」のか、「好きではない」のかが把握しづらい日本語が返ってきました。先生は S4 の日本語の表現を反映して "You don't eat octopus so much?"「タコはあまり食べないの?」と確認し、その理由についても S4 の言葉を受けて You mean, it's chewy? とたずねています。あるいは先生のもともとの質問が Is there any "sushi" you don't like?「苦手なお寿司はありますか?」だったことから、"You don't like octopus?"「タコが苦手なの?」と受けることができるかもしれません。

T: S3 likes shrimp sushi. How about you, S4? What “sushi” do you like the best?
S4: I like shrimp too. I like tuna. I like egg.
T: Oh, you like shrimp, tuna, and egg. Which do you like the best?
S4: I like
tuna the best.
T: Me too. Then, is there any “sushi” [any topping] you don’t like?
S4:
タコはあまり食べない … 噛むのが …
T: You don’t eat octopus so much? You mean, it’s chewy? 歯ごたえがある?

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Small Talk の流れの中で、児童生徒の発話を受けて、柔軟に反応を変えることができる。さらに、児童生徒から引き出したい表現に向けて、意図的に問いを調節することができる…。このような指導者の積極的な支援や工夫が、Small Talk の充実度を高めることが改めて感じられます。

ものの「好き嫌い」、「好きなもの、嫌い(苦手)なもの」といった身近なトピックであっても、さまざま豊かな表現があることが分かります。Small Talk のトピックは一度使って同じ、ではありません。学んだ英語の語句や表現が増えていく中で、それらを活用した深い言語使用が工夫できるように、何度も繰り返し用いることができます。

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