新潟市立宮浦中学校

             教諭 小田 久美子 先生

 4月、1年生の学級担任。新潟市内の公立中学校の教諭として、多くの公立学校の先生方と同じように、戸惑いの中、新年度を迎えました。朝の会での検温カードのチェックから始まり、手洗いの励行、マスク着用の確認をします。当然ですが、自分自身もマスク着用で授業を行います。その中で、授業をどのように作り上げるかは大きな課題です。

1.密は作らない、でもコミュニケーションは作る

 授業はペアワークから始まります。昨年度までは隣とつけていた座席も、春からは離してあります。生徒たちは、ペアで話をする時は、椅子に座ったまま体を相手の方に向けます。適切な距離を保ちながら、マスク着用でのコミュニケーションです。ペアでの活動は、一つの話題に対して1分間話を続ける『Small Talk』、ペアの一方が絵を見てその説明を英語で行いもう一方の生徒が何かを当てる『What’s this? Quiz』、10の質問をペアで問答し合う 『10 Questions』、基本文や新出の語句をペアで出し合う『単語(基本文)チャレンジ』など、いろいろなパターンの対話練習を、Warm-upとして授業の目標に沿うように行います。

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2.マスクで表情を伝える

 顔の半分以上が覆われるマスクを、私も生徒も、全員が着用しています。その時にどうやって表情や気持ちを伝えるのか。効果的に伝えるために普段よりも意識している点は、目、声のトーンとスピード、ジェスチャー、体の動きなどです。私たちが与えられている50分1コマの授業は、私たちが生徒と共に作り上げるパフォーマンスの場であり、同時にそれが学びの場になっていると考えています。状況を作り、状況を伝えそれについて考えさせ、表現を練って練習し、活動を通して授業の終わりには自己表現をできるようにします。生徒たちが目的意識をもって活動に取り組むことができるかどうかは、まさにその状況設定にかかっています。

3.授業の中で

 授業はオールイングリッシュで行いますが、全員の理解を助けるための手立てとして、次の点に気を付けています。
  1 絵や写真を示し、状況がより分かりやすいようにする 
  2 スライドにヒントとなる短い日本語を提示する 
  3 活動のやり方は、生徒と教師、または、生徒と生徒のデモンストレーションを行って示す 
  4 日本語と英語のニュアンスの細かい違いについて、生徒自身に予想を立てさせ説明させる 
  5 個別に支援が必要な場合は、全体の指示ではなく、机間支援の際に個々に助言を与える
 
 新出文法事項の導入については、いくつかの例文を提示して、生徒自身に『文法のきまり』を探させます。時には、既習事項との対比により、気付きを促します。生徒には、キーワードと語順に注目して『文法のきまり』を探すように伝えます。慣れてくると生徒たちは、自ら文法の規則を探し出し、疑問点について質問します。教師からの一方的な文法の説明は必要ありません。生徒からの質問に答えることで、生徒のつまずきに気付くことができ、同時に、生徒自身の理解も深まります。

 教室の窓を開けてマスクを着用し、適切な距離を保ちながら、私たちはコミュニケーションを大切にした授業展開ができるのではないかと思います。

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4.Web動画に学ぶこと

 新潟市が休校に入っていた5月初旬に、Web動画の企画に参加させていただきました。愛知県立大学の池田周先生の監修のもと、文部科学省の山田誠志調査官のご指導と新潟市総合教育センター指導主事のご協力をいただき、撮影を行いました。私自身にとっても非常に貴重な経験となり、またこのような大きなプロジェクトに参加できたことに大変感謝しています。

 1 動画の流れ
 Web動画では、最初にSmall Talkから始まります。画面の向こう側にいる生徒とやりとりを行うことができる非常に有効な手立てです。また、「話す」「書く」などのパートごとの自己表現を行う際にも、教師と生徒のやりとりを行う工夫がされています。その手立ての一つとして、教師が自分のことを伝える、というものがあります。自分はこう思うけれども、あなたはどう?と問うてみるのです。アイディアがないところには表現は出てきません。相手のことを聞く時に、自分の考えや意見を伝えていくことは、実際の授業の場面にもとても有効な手立てであると考えます。

 2 自らの学びにつなげる
 今回の動画撮影に関わって、自らの授業力、英語力をブラッシュアップする強い意識が生まれました。コロナ禍の今、以前よりももっとたくさん、授業動画や授業づくりのヒントをWeb上で見ることができます。それらを見ることにより得られる学びは、意外に多いものです。何をどのようにするとより伝わるのか、どんな言葉でどんなジェスチャーや表情で表現するとよいか、と深く考え学ぶ良い機会となりました。

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5.次は来年度に向けて

 新指導要領は待ってはくれません。私たちが次にやるべきことは、来年度に向けた準備です。新潟市では、市内の英語教員でいかに情報を共有し、私たち自身が深く学び、足並みをそろえて来年度を迎えることができるのかを考え、今、準備に取り組んでいるところです。自校の教員集団は一つのチームです。新潟市内の英語教員も一つのチームです。教育委員会や総合教育センターとのつながりを大切にしながら、チーム新潟市としての取組をさらに推し進めていきたいと思っています。

6.おわりに

 「今だからこそ」のつながりが、私にとっては非常に大きく感じられる年度のスタートでした。私は、公立中学校の一教員として自分ができることは何かと考えた時に、それはやはり、私の目の前の生徒たちにたくさんの愛情と情熱をもって、英語教育や学校生活全般の支援をしていくことなのではないかと考えています。できることはたくさんあるはずです。無限の可能性を信じて、また明日、笑顔で生徒を迎えたいと思っています。

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