下妻市教育委員会 指導課
指導主事 圓﨑 佳江 先生

1 英語教育のまちづくり~キッズからシニアまで~

 
 下妻市では、「英語教育のまちづくり~キッズからシニアまで~」を合い言葉に、教育分野における重点施策として英語教育の充実に向けた事業を展開しています。英語教育を専門とする学校教育指導員、直接雇用の外国人英語指導助手(以下ALT)、英語が堪能な日本人英語指導助手などの優れた指導力や英語力を備えた人材を確保し、本市事業の柱となる小中学校英語教育の充実に向けた取組(図)を支えています。また、ALTによるキッズを対象とした読み聞かせや幼稚園での英語活動、社会人を対象とした英会話教室を実施するなどして、学校教育の段階にとどまらず市民が英語に親しむ機会を提供しています。 1

 

2 「つなぐ」を大切にした3つの取組

 今年度は新型コロナウイルス感染症拡大防止のために、前述した事業についても一部の実施を見送っているのが現状です。外国語によるコミュニケーションを図る資質・能力を育む英語教育において、子どもたちが、生きた英語に触れたり、実際にコミュニケーションを図ったりする体験、先生方が授業を充実させるための研修をコロナ禍の中でどう行ったらよいか、試行錯誤の最中です。

(1)ALTによる「英語学習動画」の配信:~子どもたちの学びをつなぐ~
 令和2年2月27日(木)、国から全国の小中学校等に臨時休校を要請する考えが表明されました。実際に休校とするかは学校や地方自治体の判断でとのこと。翌日、本市においても要請に沿う形で、3月3日(火)からの臨時休校を決めました。
 決定を受けた週末、限られた時間の中で、休校中に児童生徒が取り組む学習教材の準備に当たる先生方。子どもたちの安全を確保しつつ、学びをつなぐために今できることをしていこうという思いは、このとき、学校の先生方や教育委員会職員のだれもが同じであったと考えます。
 本市ALT8名(内7名は派遣)による「英語学習動画」配信への動きは、教育委員会職員からの「休校中に動画を配信できるのではないか。」というひと声からはじまりました。今できることとして、休校開始日からの配信をめざし、実施に向けた具体案は異例のスピードで固まっていきました。学校へのニーズの確認、ALTの動画出演への同意や派遣会社との調整、配信内容の計画、保護者への視聴方法等についての案内文作成、配信方法の検討から決定まで、多方面との調整を経て3月3日(火)の配信が実現しました。(現在、文部科学省HP 「子供の学び応援サイト」より、配信した動画の一部を視聴いただくことができます。)休校が始まってまもなく、「急に学校がなくなってさみしかったけれど、(ALTの)○○先生に会えてうれしかった。」「家族で一緒にみて、(英語のゲームを)競争しました。ぼくが一番よくできました。」などの返信が,動画を視聴した児童生徒から届きはじめました。

(2)県事業への協力を通した小中の接続 ~小中の学びをつなぐ~ 
 小学校外国語教育の充実に向けて、本市では、平成29年度より、教育課程の工夫、学校の体制づくり、小学校教員の英語力、外国語科(活動)授業の指導力向上等の面から様々な研修を実施してきました。今では、小学校の先生方がALTと楽しみながら外国語科(活動)の授業を行っています。(現在は小学校9校中2校に専科教員を配置)。中学校の先生方も、「入学してくる子どもたちの姿から、年々充実する小学校外国語科(活動)の成果を感じる。だからこそ、小学校での学びをもっとよく知りたい。」と話しています。
 今後、義務教育段階における外国語教育を一層充実させるためには、小中の学びをいかに「確かに」つなぐかが大切な視点となるのではないかと考えます。そのためにも、それぞれの学校種段階において、「何を学んできた(いく)のか」、「どのように学んできた(いく)のか」、それによって「何ができるようになってきた(いく)のか」などを小中の教員が互いによく知ることが不可欠であると考えます。
 茨城県教育委員会は、今年4月、臨時休業や分散登校時における児童生徒の学びの保障等のために、「いばらきオンラインスタディ(以下、いばスタ)」授業動画の作成・配信を決めました。県内全市町村の小中学校・教育委員会が協働して作成にあたるもので、本市は、小学校外国語科(5年)の動画作成の機会をいただきました。
 中学校区ごとの小中教員によるTT(小学校教員がHRT、中学校教員がALTの役割)として、ペアで授業案を考えて作成にあたり、30名以上の先生方の協力を得て作成した動画は、70単位時間分(一本あたり10~15分程度)となりました。中学校の先生方からは、「苦労したが、楽しかった。」、「小学校の指導内容や指導法を知ることができた。」、「小学校の先生方が授業の中で何を大切にしてきたのかが分かった。」などの意見が聞かれました。

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(3)オンライン英語交流 ~海外とつなぐ~
 本年度、新規事業として市内T中学校区の小中学校でオンライン英語交流を実施しています。10月13日(火)には、T中学校2年生とオーストラリアのE学校の7,8,9年生(中学1,2,3年生相当学年)が、英語で学校や国の文化などを紹介し合ったり、クイズを出し合ったりして交流しました。相手校では、交流2日前まで、新型コロナウイルス感染症対策のための休校(リモート学習)の措置がとられており、当日は、7年生は学校から、8,9年生はそれぞれ自宅からの参加となりました。やりとりの中で、好きな歌手のことに話題が及ぶと、双方のクラスから歓声があがり、生徒が一斉に笑顔になる場面も見られました。
 年度中に、T中学校1年生と学区小学校6年生の小中オンライン英語交流も予定しています。

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3 おわりに  ~子どもたちの未来へつなぐ~

 英語教育に携わるものとして、これからも先生方と共に、子どもたちのために今できること、今だからできることを考え取り組んで参りたいと考えています。
 すべてが子どもたちの輝く未来につながるように。 

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