新潟県立新発田高等学校英語科
教諭 根立 望 先生 内川 未奈希 先生 小林 将大 先生

1. はじめに

 令和2年度の英語授業が終わりました。年度初めは、緊急事態宣言のために休校がありました。休校開けすぐの英語授業では、授業中も生徒同士の接触を自粛せざるを得えず、コミュニケーション活動が一時的にできなくなりました。授業中、私たちが頻繁に使う “Let’s share.”の一言が感染を心配するあまり言えない時期があったことを思い出します。生徒の英語が聞こえない英語授業・・・そのときに感じた違和感は、私たちが英語の授業で大切にしたいことを再確認する良い機会となりました。「安心して英語で自分の考えを伝え合える授業、考えが違うことを楽しむ授業」がしたいと思いました。「先生の指示に従い、生徒それぞれが教科書をなぞる授業」ではなく、対話を軸にして授業を展開し、生徒の英語を引き出し、クラスメイトや先生に受け入れられる嬉しさから、さらに学びたい気持ちを高めるための“Let’s share.”だったと気づきました。授業で意見交換を再開したとき、英語でのやりとりに没頭する生徒の姿は感動レベルでした。やっぱり「授業は生徒が主役」です。今日は本校での授業を紹介します。来年度の授業デザインのヒントになれば幸いです。

2. 「生徒が主役の授業」に向けた取り組みあれこれ

-1 1学年での取り組み ~自己表現活動×肯定的フィードバック~

根立1  1学年は「英語のプレゼンテーションを楽しみ、英語の質疑応答を怖がらない姿勢」を育むためにスモールステップで自己表現活動に取り組んできました。まずは、授業で学んだ文法や熟語を使って英文やストーリーを作りペアやグループでシェアすることから始め、ALTとのティームティーチングを活用してミニディベートやグループプレゼンテーションにも挑戦しました。自己表現活動を行う上で生徒たちに意識させたことは「ポジティブフィードバック、あいづち、オーバーリアクション」の3つです。聴く姿勢が整うと、安心して表現でき、間違いを恐れず楽しもうとする姿勢が見られます。参加しているメンバーのポジティブな一体感のお陰で、教員もさらに豊かなインタラクションを目指すことができます。
 活動の終わりには「学び、気づき、疑問点、感想」や「Original Story」を書きながら英語学習での学びを客観的にふり返る活動をしています。ふり返りは多くの学校でも行われている学習活動ですが、書いて終わりにはしません。担当の先生は肯定的なフィードバックをすることで生徒の学習への動機付けとなるよう活用します。また生徒たちの理解度や反応を把握する資料として扱い、次の授業を組み立てる際に活用します。 根立2


2-2 2学年での取り組み ~「無理なく」「楽しく」「継続して」「主体的に」~

差し替え画像(生徒氏名伏せた)  2年生は、生徒が「無理なく」「楽しく」「継続し」「主体的に」取り組むことをモットーに工夫あるライティング課題に取り組んでいます。その1つがEnglish de
Twitter です。週末や長期休暇に、毎回違うテーマについて自分の考えや想いを英語で綴ります。「新クラスで自己紹介」や「今日のニュース」、 ‘What would you do, if you were ・・・?’など多様なテーマについて、生徒はのびのびと自分の想いを英語で表現します。生徒の気持ちを引き出しやすいテーマと書きやすい分量の設定が無理なく継続させるコツです。ある日のテーマは「Dear ○○先生、この思い伝われぇ~」、その時には、生徒が思いを伝えたい先生にも生徒の書いた英作文のコピーが渡されました。久々に英語を読む他教科の先生は四苦

八苦・・・日頃の部活動指導に対する感謝の気持ちが書かれていることが理解できると笑顔になりました。自分のことが書いてあると嬉しい気持ちは生徒も教師も一緒です。授業担当の先生は、生徒のファンとなって英文を楽しみます。「無理なく」「楽しく」「継続的に」「主体的に」取り組む=英語力の向上!

2-3 3学年での取り組み ~英語学習を続ける気持ちを育む~

 3学年になっても英語で意見交換しながら習得する学びのスタイルは変わりません。コミュニケーション英語Ⅲの授業では、教科書の単元ごとに言語活動としてディスカッショ根立3ンやディベート、スピーチなどのパフォーマンス課題を設定しました。例えば、「自分らしく生きること」をテーマにした題材では、「自分の人生で価値があると考えるものは何であるか」についてディスカッションをし、「貿易の自由化」がテーマなら、「国際化の是非」についてディベートを行いました。パフォーマンス課題は単元ゴールとなり、生徒は、テーマの背景知識、考え方、自己表現に使える語彙を補うために教科書を読みます。つまり、自分なりの意見を考える資料として教科書を読んだり、聞いたりするのです。ディベートは1年次から継続的に繰り返し取り組みました。繰り返すことで生徒の英語力がアップデートされました。2年生の頃、ディベートが大嫌いで授業がストレスと眉をひそめていた生徒が、3年生になったときには、堂々と意見を述べている姿に成長を感じました。もちろん大学入試にもこの活動は役立ちました。今年も受験を終えた生徒から「小論文のテーマが英語の授業のときにプレゼンした内容と同じで助かった!!」と報告があり、嬉しかったです。

2-4 異学年交流の取り組み~「コミュニケーションの相手に対して配慮を学ぶ発表」~

 毎年3年生理数科が1、2年生を相手に英語ポスターセッションをしています。発表内容は、2学年のときから継続的に根立4取り組んだ課題研究です。説明する3年生は、実験器具を実際に見せたり、ゆっくりと平易な英語を用いたりして1年生にも伝わるように工夫をします。今年度は、1・2年生の人数を半分に分けて、人数を制限し、時間を区切って生徒たちを入れ替えながらの実施でした。新しい生活様式を考慮しての方法となりましたが、人数が少ないことによって、1・2年生が積極的に質問する姿が見られました。質問タイムでは、うまく伝えられず、もどかしいようすも見られましたが、頑張って伝えようとしている姿が印象的でした。日頃の授業で行われる言語活動がこの活動の根底にあります。
根立5

3. おわりに

 私たちが授業で大切にしたいことは「生徒が違いを認め合い、安心して英語で意見交換が出来ること」です。生徒たちの指導に当たる教員もそうありたいものです。お互いの違いを認め合い、それぞれの持ち味を生かしながら協力しあえる関係があれば、教員として学校で働くことが楽しくなります。教員である私たちの仕事に対する楽しい気持ちは、間違いなく生徒に肯定的に還元されるはずです。幸運なことに本校英語科には、この雰囲気があります。学年で授業計画を立てたら、各自が自分なりに工夫する裁量の余地があります。それぞれの経験や特性が違うので、完全に同じでなくて構わない、必要なときは集まって、生徒の活動の様子や活動の進め方について情報交換します。「活動を通して生徒は英語を学ぶ」という共通認識さえあれば十分という感覚です。本校のチームの良さはそこにあります。
新しい生徒たちを迎える春は、すぐそこまできています。生徒のように「また1つ何かできるようになった自分」に私たち自身も出会えるよう、さらに授業改善に努めたいと考えています。

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