携帯、スマホ世代では、腕時計を持ち歩かない人々が増えてきたという話を聞きます。その中で、「今何時~?」と叫ぶことも、あまりなくなっているのかなと改めて気づく・・・今回はこの「時間を尋ねる」というテーマを扱います。

What time is it?

これは毎回の授業のはじめに、ウォームアップも兼ねたやり取りの中で、指導者から児童に投げかけられることが多い「疑問文」です。例えば2時間目が午前10時35分からだとすれば、ほぼ毎回

T:  What time is it?

Ss:  It’s … ten thirty-eight!

のようなやり取りが行われます。

せめて毎回1分くらいずつ時間が前後していれば、同じ “thirty-eight” ばかり練習することにはならないのに(でも授業はだいたい同じテンポで始まるので、そんなに時間はずれない)・・・と思いながら授業を観ることも多いです。
この時の児童が、「How’s the weather? の次にいつも聞こえる質問だ」のように一連の疑問文の順番だけで何を尋ねられているかを察して答えているのか、それともきちんと英語の疑問文を聞き取って内容を理解して答えているのかはなかなか分かりません。そのため上で記したように、この "What time is it?" は、授業の中で指導者から児童に、何か豊かな意味をもって投げかけられる「問い」(発問)というよりも、単なる質問(疑問文)という印象が強いです。

たびたび考えてきたことですが、小学校から中学校はじめの段階で、まだ既習の英語の語句や表現が限られている状態の児童生徒と、英語で「どのようなやり取り」を行うかについては2つの考え方があると思います。

未習の語句や表現であっても、状況やジェスチャー、視覚情報などの手助けがあれば理解できるものであれば、どんどん新たに導入して用いると良い

そもそもSmall Talkは、限られた既習表現であっても、それらをフル活用して「何とか伝え合いをしよう」とする言語活動だから、まずは「知っている表現でどうにか表そう」という意欲や態度を大切にすると良い

私としてはこれらは、どちらも大切だと考えています。

 

ただ前者の場合、児童生徒が「英語の表現を知らないから言えなかったんだ」、「新たに学ばなくてはならない語句や表現がまだたくさんあって、それらを知らなければ英語で対話はできない」と後ろ向きに思ってしまうことが心配です。未習の表現に出合うことで、「この表現なら、自分の伝えたいことが表現できるんだな!」という前向きな気持ちをもたせるような語句や表現の導入を意識せねばならないと思っています。

一方で後者の場合は、既習の語句や表現で何とか伝えようとするあまり、せっかく芽生え始めた英語の語順に対する意識を生かすことなく、単に単語を並べ、身振り手振りを添えてドタバタ伝えるだけの活動になってしまうのも残念です。

 

そのような中で指導者ができることは、機械的な「疑問文とそれに対する回答」の繰り返しだけで終えない、ということです。今回のテーマである “What time is it?” も、小学校の英語学習の早い時期に、音声のまとまりとして耳から慣れ、単語レベルに分解することなく聞いて意味が分かり、発することができる疑問文のひとつです。

指導者がその疑問文を投げかけた時に児童が反応できるようになった、さらに「時間を尋ねてみて?」と聞くと “What time is it?” と答えられるようになった段階で終わっては少し早いように感じます。「あ、ここで “What time is it?” と尋ねることができるな!」と児童が気づいて使う経験まで、あと少し活動を広げていきたいものです。


【活動例1】

授業ではALTとの対話などを通して指導者がまず “What time is it?” “It’s ….” の表現を提示し、それを発音しながら、音声で慣れ親しむことから始まります。時間を尋ね合う活動は、数字の言い方の学習と重ねて行われることも多いため、時計の実物を使いながら、それが表す時間を “It’s ….” と即座に英語で言ってみる活動も行われます。
1から60の数字は数としては多いですが、“July twelfth” のような序数を含む日付とは異なり、数字をそのまま言えばよいという点で、取り組みやすい活動と言えます。

T:  OK. Look at this clock.  What time is it?

Ss:  It’s eleven fifteen.

T:  Well done. It’s eleven fifteen. Then, how about this? What time is it?

Ss:  It’s two forty-five.

T:   Right!;

少しずつ「英語で時間を言う」ことに慣れてきたら、既習表現を用いて、少しだけやり取りを発展させてみるとよいでしょう。「示された時間を英語で言う」活動から、「その時間を自分の生活と関連させて考える」ものへと広がります。

T: What time is it?

Ss: It’s seven thirty.

T: Yes, it’s seven thirty. What do you usually do at seven thirty on Sunday mornings, … S1?

S1: … sleep?

T: Oh, you’re still in bed at seven thirty on Sunday mornings. Good! We need to have a good sleep after a busy week. Thank you, S1. Look at this clock again. Well, what about this? What time is it, S2?

S2: It’s five twenty.

T: That’s right. It’s five twenty. What do you usually do at five twenty in the afternoon?

S2: Game ….

T: Games? Video games? (ジェスチャーで示す) Oh, you enjoy (playing) video games! Sounds fun. What game do you like? …


【展開例2】

「英語で時間を言う」練習を、ちょっとした時間の計算と関係づけます
以下の①は黒板の右端に立ちながら、その後ゆっくり左端に移動して「時間の流れ」を表しながら②を言います。

① It’s three twenty.

② Fort-five minutes have passed.   What time is it?

“~ minutes have passed.” という表現を敢えて解説する必要はないと思われます。黒板を横切る動きで時間の流れを示すことができます。もし不安であれば、その前に一度、以下のように例を示します。

① It’s two ten. 

② Thirty minutes have passed. It’s two forty!

この活動は、①②を言う役を児童で交代しながら行うことができます。何度も時間を言う練習になりますし、時間の計算で頭もひねりながら、さらにクイズなので「時間を尋ねる」必然性も生まれます。

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このように「時間を尋ねる」⇒「時間を答える」という表現に慣れ親しんだら、今度は「時間」というトピックのやり取りの中で、うまくそれらの表現を使っていきたいものです。この展開について、次回考えていきます。

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