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2024.02.20 教育現場より 学校での英検活用

英語4技能5領域を伸ばすアクティブラーニング型授業で、英検対応能力を育む

桐蔭学園高等学校
大渕登志世先生

生徒の自主性を重んじ、アクティブラーニングや探究に力を入れる

 桐蔭学園高校は1964年の学校法人桐蔭学園設立と共に男子校からスタートした高校で、男女併学を経て2018年に共学化しました。創立時は大学受験を意識した教育を行なっていたのですが、文科省がアクティブラーニングや英語4技能5領域(Listening, Reading, Writing, Spoken Interaction, Speaking Production)の指導を議論し始めた創立50周年を機に、「新しい進学校」としての在り方を検討。私は英語教諭として、本校の英語科における新たな教育方法の立ち上げに携わり、現在は英語科主任を務めています。

 本校は、現在、アクティブラーニング、探究学習、キャリア教育に力を入れており、生徒の自主性を重んじています。そのため学校生活に対して前向きな生徒が多く、行事や部活動も活発に行われています。英語が好きであるという状態で入学してくる生徒は少ないのですが、授業を通じて自然と英語4技能5領域が伸びることから、学校が勧めなくても英検を受検するのが当たり前という雰囲気が育まれているようです。

英語4技能5領域を伸ばす英語コミュニケーション授業を導入

 桐蔭学園高校の英語教育では、グランドデザイン(教育目標)に英語4技能5領域を身につけることを明記。さらにルーブリック(学習の達成度を表を用いて測定する評価方法)で英語4技能5領域のレベルを1〜4まで段階的に設定し、学園内で共有しています。ルーブリックには多読本のYL(読みやすさレベル)や、英検級も紐づけてあり、最上級のレベル4では英検準1級取得を達成基準にしています。「早慶や医学部をめざすのであれば、レベル4到達をめざす教育をしましょう」と話しています。

 またグランドデザインに基づき、独自のアクティブラーニングも実施しています。それが高校1・2年生で行う英語コミュニケーションで、教科書を扱いながら英語4技能5領域に関わる授業を展開していくのが特徴です。

 初めての内容を学ぶ際は聞く力を鍛えるために、予習禁止でリスニングからスタートします。そのため生徒は慣れないうちは苦戦をするのですが、文章を聞きながら内容に関わる絵を並び替える作業やTF問題に答えることで、新出単語を類推し、内容をとらえることができます。
さらに内容をしっかり理解するために、宿題として、新出単語を瞬時に日→英変換できるように練習してくることを課し、単語が定着したところで効果的な音読とQ&Aで英文を定着していきます。お題に対するペアトークや、エッセイライティング、文章の要約にも取り組んでいます。

 このようなスタイルの授業の導入の背景には、改革前に本校の生徒が苦手としていた聞く力・話す力を高めたいという思いがありました。非常に優秀な生徒であっても、大学進学後にネイティブとの会話を苦手としているという話を聞いていたからです。
しかし導入以降は、英検においても生徒の反応が目に見えて変わってきました。二次面接の面接官をしている知人からも、「桐蔭学園高等学校の生徒さんは、物おじせずに積極的にコミュニケーションを取ろうとしてくる姿勢が素晴らしい」というお褒めの言葉をいただいたことがあります。これはかなり嬉しかったですね。

英検での導入が予定されている「要約」にも対応 

 現状、英検の問題を授業で扱うのはリスニングのみで、長文問題や語彙問題は扱っていません。ただし生徒には「授業を真面目に受けていれば、英検やその先の入試も突破できる力が身につくよ」と伝えています。

 これは、英語コミュニケーションを通じて英語4技能5領域を育成していますと、自ずと英検の内容と被ってくるところが多いからです。例えば普段行っているエッセイライティングは一次試験のヒントになりますし、ペアトークは二次試験(面接)での質疑応答の瞬発力を育みます。また授業内で、教科書のセクションを要約する課題にも取り組んでいますが、1セクションの長さが、英検のライティングに新しく組み込まれる要約問題(サンプル問題確認)の長さと合致していることから、自然と英検の勉強につながっています。

ICTを駆使した申込対応や、監督業務の外部委託で負担を軽減

 本校では年3回、英検準会場受検を行なっています。準会場受検のメリットとしては、土曜日の授業後にそのままの学校内の施設で受検できることですね。本校は学園全体で毎回2,000名ほどと受検者が多いので、以前は申し込みの取りまとめに苦労していました。現在はClassiという教育現場で利用できるICTサービスを利用し、保護者へ直接アンケートを送ることで申込対応が簡略化されました。また、試験監督による業務過多が課題でしたが、現在は外部業者に監督業を委託することで、教員の労力が格段に減りました。

 このような改善を通じて、学園全体で準会場受検を推進できる体制は整ってきました。また卒業生を出すと、英検級を持つことがどれだけ受験に役立つかということを教員たちも実感できるため、英語科に限らず教員全体が、英検受検を後押しようという意識の統一と英検運営の協力環境ができていると感じています。

 生徒たちが未来を切り開いていくうえで、コミュニケーションツールとしての英語は欠かせないと考えています。生徒たちには、探究を通じて自身の未来を切り拓き、英語を使って世界を繋いでゆけるような人材に育ってほしいと考えています。

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