英語力を活かして世界に飛び出す学生を育み、 自分がやりたいことに挑戦する学生を育てたい
【2024年度 文部科学大臣賞受賞】
熊本高等専門学校 熊本キャンパス
副校長・英語科 光永武志 先生
英語科 楠元 実子 先生
英語科 髙木 朝子 先生
英語科 松尾 かな子 先生
(※役職は取材当時)
海外との交流も盛んな、高度な専門性をもったエンジニアの育成機関として

熊本高等専門学校(高専)は、2009年に熊本県内にあった2つの高専が統合されてできた国立の5年制の高等教育機関です。それぞれ前身の2校の特色を引き継ぐ熊本キャンパスと八代キャンパスからなり、熊本キャンパスには情報通信エレクトロニクス工学科、制御情報システム工学科、人間情報システム工学科の3学科(令和8年度より電子通信情報工学科,知能制御情報工学科,情報工学科に改組)と電子情報システム工学専攻科(「専攻科」は5年卒業後に2年間学ぶ課程で、大学卒業資格が取得できる)、八代キャンパスには機械知能システム工学科、建築社会デザイン工学科、生物化学システム工学科の3学科と生産システム工学専攻科があります。いずれも1学科1クラスで、定員はそれぞれ43名となっています。
高専は将来エンジニアとして活躍する人材を育てる学校であり、コンピュターやものづくりに興味をもち、ロボットコンテストをはじめ各種コンテストに挑戦する学生が多くいます。また、熊本キャンパスでは海外との交流にも力を入れており、2年生では希望者を対象にした台湾研修、4年生では全学生を対象にしたシンガポールやハノイでの研修を実施しています。海外からの留学生も多く、「高専グローバルキャンプ」というアジアの学生が集まるイベントがあり、日頃から異文化交流の機会が多くあります。
大学受験に振り回されない自由で多彩な英語の授業を展開

英語の授業については、1・2年生では文部科学省の高校用検定教科書を使用し、英語の基礎力を養っています。非常勤ですがネイティブの教員による授業も3年生まであります。大学受験がないぶん、3年生以降は担当する教員の裁量で自由に授業ができるのが特徴です。高専では教員も研究者として専門分野をもっており、それぞれの分野に関するものや学生の興味・関心をひくような内容や教材を選んで授業を構成しています。
3年生の英語の授業のうち日本人の教員が担当するものについては、A、B、Cの3つのコースから1つを選択して受講します。Aは、英作文に重点を置いたコース(松尾先生担当)。SDGsをテーマに据え、関連する教材を読んだり、世界で行われている取り組みについて調べたり、それについて英語で原稿を書いて発表したりといった内容です。Bは、リスニングに重点を置いたコース(髙木先生担当)。前期は洋楽の歌詞が載ったテキストを使い、歌を聴いたり歌詞の意味を調べたりします。後期は自分の好きな英語の歌について英語でその魅力をプレゼンする活動に取り組みます。Cは、リーディング、特に多読に重きを置いたコース(光永先生担当)。図書館にある英語の書籍を使った多読に加え、大学編入試験を見据えた英語の総合問題集の学習やリスニング&語彙力のトレーニングなど。いずれのコースも、特色はありつつ4技能を総合的に伸ばすことを意識した授業になっています。
4年生以降も英語の授業はあり、「技術英語」といった専門科目も選択が可能になります。技術英語については、シンガポールの協定校の先生が来校し、集中講義(15時間)として開講される年もあります。また、4年生では英検2級、5年生では英検準1級を取得すると単位が認定され授業が免除になります(それぞれTOEICのスコアでも可)。年やクラスにより異なりますが、多い時にはクラスの半数近くが免除になることがあります。
授業以外の語彙力強化・学習意欲向上の取り組みとして、「英単語コンテスト」を年3回開催しています。1〜4年生全員と5年生の希望者を対象に、全学年共通の英単語テストで得点を競うもので、25年ほど前に始め、今年度からはオンラインテスト形式に切り替えて継続しています。各学年の上位7名程度に表彰状と副賞(図書カード)を贈呈しており、学生たちは毎回、高い意欲をもってコンテストに臨み、順位を競い合っています。
大学受験がない中で英検が英語学習のモチベーションになる

英検については先述のように、4年生以降は一定の級を取得していると英語の授業が免除になることもあって、学生は積極的に受験しています。学校からの目標としては2年生で英検準2級、3年生で2級、4年生で準1級を提示しており、学生の7〜8割が3年生で2級に挑戦するところまで到達しています。英検対策としては、直前期に授業の中で少し触れる程度で、英作文の添削や面接の練習には個別に対応しています。
学生にとっては授業免除(単位認定)が英検に取り組む大きなモチベーションになっていますが、それ以外にも海外の学生との交流を経てもっと英語を勉強したいと思って英検に取り組んだり、交流の場で英語が通じた経験から自分の英語力を試したい、証明したいと英検に挑戦したりする姿も見られます。
英検のメリットは、一次試験の英作文(書く)、二次試験の面接(話す)で、英語をアウトプットする力が評価されるところにあると感じています。また、英文の内容も高校生に適していますし、中学時代から受け慣れていることもあり、英検を受けることは学生にとっても自然の流れとなっています。学生の卒業後の進路には、就職、大学3年生編入、専攻科への進学の大きく3つがあり、5年生以降は進路に応じて英検以外の外部検定を受ける学生もいます。
英検などの外部の英語検定試験は、大学受験がなく模試などを受ける機会のない高専の学生にとって、良い目標や英語学習の動機付けになっています。そして、目標に向けて努力し、努力が結果につながるという経験は自信にもつながります。そうした観点においても、英検の存在はありがたいですね。
本校では、新しいことに挑戦するマインドを育てたいという思いから、アントレプレナーシップ教育「熊本高専ファーストペンギンズプロジェクト」にも取り組んでいます。近年は、海外の大学生と一緒になって課題解決に取り組むハッカソン※のリーダーとして活躍するなど、意欲的な学生も増えてきていると感じます。英検に取り組むことを通して身につけた英語力を活かし、臆することなく世界に飛び出す学生、自分がやりたいことに挑戦する学生が今後もたくさん育ってくれることを期待しています。
※ハッカソン 「ハック(hack)」と「マラソン(marathon)」を組み合わせた造語で、エンジニアやデザイナーなどが集まり、短期間で集中的にアプリケーションやシステムなどを開発するイベント


