これら3つの評価のうち、総括的評価は、「学習(したこと)の評価(assessment of learning)」であると言えます。一方、形成的評価は、ある学習者について、学びがまだ継続している段階で「何ができるか」、「何をどのように理解しているか」、「以前からどのように進歩したか」、「目標にどれだけ達していないのか」、「どこに困難や混乱があるのか」などの詳細な情報を得るためのものです。指導者はそれらの情報を指導改善に生かすだけでなく、学習者にフィードバックして、その後の学びの中で「何を、どのように学んでいけば良いのか」について助言を与えるために活用します。それゆえ形成的評価は、「学習のための評価(assessment for learning)」とも言われています。
「自分の学びを評価できる力」を育てる
この「学習のための評価」のうち、「学習者としての自分自身」を振り返ることを通して、次第に「どのように学ぶか」を意識するようになるという側面を強調して、「評価することそのものが学習である」、すなわち「学習としての評価(assessment as learning)」という用語が生まれています。学習者として自分が今、「到達目標に対してどのような習得状況にあるのか」を客観的に把握することができる「メタ認知」能力を高めることを目指す、ということです。
少し話が逸れましたが、「学習のための評価(assessment for learning)」を行うために指導者にとって必要な力について、英語教育オンラインセミナー(日本英語検定協会主催、2021年12月26日)の基調講演で上のようなスライドを用いてお話させていただきました。
ここで引用した “Assessment for learning:10 principles. Research-based principles to guide classroom practice Assessment for Learning” (Broadfoot et al., 2002) *1のリーフレットによると、「学習のための評価」は、指導者にとって主要な専門的技能です。指導計画が効果的に行われていれば「学習のための評価」もきちんと組み込まれているはずです。そして「学習者がどのように学ぶか」に焦点を当てながら行われる授業実践の中心となるものです。