英検取得は将来を切り拓くためのステップ
株式会社さなる 佐鳴予備校
英語科 英検責任者
戸川 宏一郎 氏
「学力を以て社会に貢献する人材」を育成するために
「我が子に良い教育を」という親の願いはいつの日も変わりません。では「良い教育」とはどのような教育か--佐鳴予備校は「学力を以て社会に貢献する人材」を育てる教育こそが最上の教育であるという信念をもって、創立以来の60年間を歩み続けてきました。
この信念は、日本が高度経済成長を経て経済的な繁栄を謳歌していた時代には、行き過ぎた学歴主義や拝金主義へのアンチテーゼでもありました。しかし時を経てその繁栄期が終わった後も、学力が支える広い視野と高い見識を持った人材、健全な価値観をそなえ努力の意味を知る人材、社会に貢献する志を持つ正しいエリートを育成していくことの重要性は少しも変わりません。
佐鳴予備校は常に「進学塾ではなく教育塾」であろうとしてきました。ただ子どもたちに点を多く取らせるのではなく、勉強を通じて彼らの総合的な人格の育成をしていくことが私たちの考える「教育」です。教師の仕事はただ教科について教えることだけではありません。生徒に目標や夢を持たせ、それに向かって本人が努力できるように、彼らの向上心に火をつけることこそが教師の仕事の核です。教師は指導者であるのと同時に子どもたちの伴走者であるべきで、彼らの心を強く鍛えることが責務です。私たちはそう考えていますから、月謝をいただいているからといって迎合はせず、叱るべき時は生徒のために本気で叱ります。生徒たちと共に笑い、ときには一緒に悔し涙を流すこともあります。彼らが努力の末に自分の弱さを乗り越え、目標に到達するという成功体験を積むことで、社会に出ても「努力することができる」人となる土台が作られると考えるからです。
大学入試の潮流と英検取得のメリット
佐鳴予備校は静岡県と愛知県を中心に小学生・中学生・高校生の部門を展開しています。小学生で入塾した生徒が高校卒業まで通い続けてくれることも多いため、大学受験を見据えた一貫した流れの中で、小・中・高それぞれの段階での学習を意識します。その中で今後の英語教育においては英検対策が重要な鍵になることが見えてきました。
大学入試での選抜方法が多様化し、2022年度には一般選抜での入学者が総合型選抜・学校推薦型選抜での入学者の割合を下回りました。この傾向は今後も続くと考えられます。大学が推薦入試の出願資格として英検の一定以上の級の取得を条件としたり、取得級によっては入試で英語試験を免除したりしていますので、大学入試における英語力の指標としての英検の存在感は増すばかりです。これは大学だけではなく、私立中学や高校の入試においても、英検の取得級によって加点や英語試験の免除といった条件を設けている学校が少なくありません。
英検を入試に活用する大学にとっても、進路指導をする高校や塾にとっても、受験生にとっても、共通の指標として英検が定着しているということは大きなメリットといえます。英検以外にも英語の資格試験は数多くありますが、高校生以下の生徒たちが自身でそれらを比較した上で選択し、試験の対策をするのはなかなか難しいものです。英検は生徒たちにとって情報が入手しやすく、目標とする級の指標や取得のメリットもわかりやすく、受験や学習のロードマップを思い描きやすいのです。指導側も明快にルートを示せます。
また、英検を上手に活用して英語力を早く仕上げておくことで他の教科の勉強に時間が割けるという受験戦略上のメリットもあります。
英語教育の「個別最適化」--多様な学力層へのベストなアプローチ
英検を軸に生徒たちの英語力をランクアップさせていくことは大学受験への対策という点でも合理的ですが、もう一つ大きなメリットがあります。それは塾におけるユニヴァーサルな英語学習ツールとしての機能です。
佐鳴予備校はかつて実施していた「入塾テスト」(入塾時の学力選考テスト)を2018年に廃止しました。入塾時の学力よりも学ぼうとする子どもの可能性を大切にしたいからです。佐鳴予備校には「@will」という映像授業システムがありますが、生徒一人ひとりが教科ごとに習熟度に応じて最適な講座を受講できるように数多くの講座を用意しているのも、「勉強ができる子」よりも、自分の夢や目標に向かって「努力ができる子」そして「継続できる子」を育てたいと私たちは考えているからです。
入塾時の学力選考を行わない佐鳴予備校には、小学生でも高度な英語力を身につけている子もいれば、高校生でも中学生程度の英語力しかない子もいます。こういった多様な学力の生徒たちに学年で一律に区切った学習を押し付けるのでは、当然ミスマッチとなるケースも出てきます。英語においてこれを解決するのが英検に的を絞った授業です。
佐鳴予備校での英検対策の授業は、学年別にではなく目標とする英検の級ごとに学習できるようにしています。そのため無用な劣等感を与えることなく子どもたちを学びのレールに乗せ、目標に向かって走らせてやることができるのです。級ごとにステップアップを目指して学習し、検定にチャレンジしていくことで、学ぶ楽しさや成功体験も得られます。
動機付け×ICT=「さなる式英検対策」
塾で英検対策を行う場合、目標を設定して学習への動機付けを行う一方で、それぞれの生徒に最適化した学習ができるようにする必要があります。佐鳴予備校では全生徒に貸与している学習専用タブレット端末を英検対策にも活用しています。英検の各級に準拠した内容の映像授業を、生徒自身の目標やレベルに応じてタブレットで視聴するというシステムです。インプットとアウトプットをバランス良く行い、家庭での問題演習とも連動させています。
映像教材の良いところはいつでも何度でも復習できるところです。また、生徒の得意不得意に応じて学習のペースも調整できます。得意な生徒はスムーズに学習を進め、短期間でレベルアップを目指します。一方、苦手な生徒も無理なく着実に理解を深められるよう、映像授業を繰り返し視聴し、わからない点をしっかり解消しながら進めていきます。
映像授業に出演するのは優秀な英語教師です。映像教材制作を専門とする部署と教師がタッグを組み、生徒にとってベストの授業になるよう工夫をこらし、検討や修正を繰り返して制作することで、生徒全員に高い質の授業が担保されるのも映像教材の利点です。
それぞれの生徒が自分の学力に応じてオーダーメイド感覚で視聴できる質の高い映像授業と、生徒に動機付けを行いつつペースメイクを担当する教師、この両者が生徒の英検合格を強力にバックアップします。
英検で子どもたちの世界を広げたい
2024年、佐鳴予備校は英検プラチナパートナー塾に加わりました。受験戦略上の英検のメリットは先に述べた通りですが、英検取得を目標として学習を進めることで、アウトプット力を高め、実践的なコミュニケーション能力を形成する英語4技能を段階的に身につけていくことができることも塾としては重要です。英語の教育としては目先の定期試験対策よりはるかに本質的なアプローチが可能になるからです。
留学や国際的な職場での活躍など、実際に英語4技能が必要な場面での目標を設定し、学びに意味を持たせることで、生徒たちはより主体的に学習に取り組みますから、そうした動機付けを教師は積極的に行うようにしています。
また、英検の問題の素材で取りあげられる社会問題や国際的なテーマに触れることで、生徒たちにグローバルな視野を持たせることもできます。高度にグローバル化した現代社会においては、多様な価値観を認め他者と尊重し合う視座やそのための思考力が不可欠です。英語学習を単なる語学習得としてではなく、異文化理解や多文化共生の意識を育むためのツールとして活用することは、私たち佐鳴予備校が目指す「学力を以て社会に貢献する人材」の育成にも大きく資するはずです。
生徒たちにも、英検取得を単なる資格の取得としてではなく、次のステップに繋がる目標として意識させるようにしています。人工知能が発達し、機械的にであれば大量の外国語も一瞬で翻訳できる時代に、なぜ英語を勉強するのか、母語と異なる言語を学ぶことにはどのような意味があるのか、生徒たち自身が考えを深められるように指導し、広い世界で自由に活躍できる人材を育てていきたいと思っています。