英検取得が、中学入学後や高校入試のアドバンテージになる
英進館 株式会社
教務本部 課長
赤塚 大輔 氏
「自立した社会人の育成」を掲げ、心の教育にも重きを置く
英進館は、幼児から既卒生まで、幅広い学年を対象に教育サービスを提供する総合学習塾です。教場(校舎)は九州を中心に、グループ会社が広島や岡山でも展開しています。生徒数は2023年の夏期講習時点で約4万人と、多くの生徒が学んでいます。
私たちの教育目標の根幹となるのが、「自立した社会人の育成」です。教育とは、社会的、経済的、精神的に自立した社会人になるための基礎固めです。そのため、教科指導や受験指導はもちろん、社会に出てから必要になる人間としての素養や強靭な精神、学ぶ姿勢といったものも身につけることが重要だと考えています。
こうした「心」を育てるために、日々の挨拶指導などに加え、ホームルームで社会的マナーや人権、地球環境保全などについて考える時間や、本に親しむ読書・作文の時間を設けています。また、年2回、自分自身の経験やそのときに感じたことをもとに、「未来エッセイ」「未来設計図」を書く機会などもあります。周囲から刺激を受けながら仲間と切磋琢磨して学ぶのが塾の良さですが、ときには自分と他者とを比べて自己評価を下げてしてしまうこともあります。こうした心の教育を通して、自分という唯一無二の存在の大切さや個としての尊厳を感じてもらいたいと願っています。
「小学校卒業までに英検4級取得」を目標に、他社と差別化を図る
英語教育については、集団・対面指導をベースに、学年や目的に応じた指導を行っています。中学受験をしない小学生向けのコース(小学4〜6年生対象)では、「英検対応」を全面に打ち出し、英検取得を目標にペーパーテストでしっかりと得点できる力を身につけることをコンセプトにしています。言ってみれば、「勉強した結果を資格取得というかたちで返す」というスタンスです。小学生向けの英語教育サービスは競合他社が多く、コンテンツもさまざまなものがあります。保護者のニーズが多様化するなか、学習塾として我々が提供できる価値は何か、他社との差別化を図ったうえでの教育内容となっています。
具体的には、「小学校卒業までに英検4級取得」を目標に、音声学習を取り入れつつ、リスニングや読み書きの力を磨いていきます。小学4・5年生は学年別クラスで、6年生は入塾時期などに応じて2クラスに分けて授業を行い、目標に向かって友だちと競い合いながら学ぶ姿が見られます。結果として、6年生から通い始めた生徒も含めてほぼ全員が英検5級はクリアしています。これは中学進学時の大きなアドバンテージになり、生徒の自信にもつながると感じています。
また、幼児〜小学校低学年向けには個別・自立学習型の「Lepton」も開講し、多様化するニーズに応えています。集団指導では、引っ込み思案のお子様や、英語が飛び抜けてできるお子さんに対する指導が難しくなるケースがあります。そんな時はこちらをご案内することもあります。
英検に向けた学習は、結果として高校入試でも役立つ
中学生向けのコースは、他の多くの塾と同様に、高校入試に向けて学校の学習内容に準拠したカリキュラムで進めています。特色としては、集団指導であっても個別対応ができるよう、オリジナルの授業動画を作成し、補強・強化したい分野や目的に合わせて活用できるようにしています。
英検受験については、特に中学1・2年生に向けて推奨しています。英検があることで目標設定がしやすいことに加えて、高校入試で必要になるリスニングやライティングのトレーニングをする機会になると、生徒には伝えています。というのも、福岡県の公立高校入試の英語の試験は、60点満点中20点がリスニング、8点が自由英作文となっており、リスニングとライティングでほぼ半分を占めます。中学1・2年次からの学習の積み重ねが重要になります。英検に向けた学習が、結果として高校入試でも役立つのです。
英検対策については、個別指導では「英検対策パッケージ」期間を設けて受講できる一方、集団指導では中学生向けの講座などは開講してきませんでした。今年度、プラチナパートナー塾になったのを機に、「英検プレテスト」の実施をスタートしました。中学1・2年生を対象に、英語の授業の枠を使って全員に受験してもらいました。全員受験としたのは、希望制にすると、英語や英検に対して意欲・意識の高い生徒しか受けないだろうと考えたから。英検を受けてみなよと声をかけても、不合格になるのが怖い、対策が面倒…などの理由で気持ちが向かない生徒にこそ、英検プレテストを受けてほしいと思ったからです。
私たちの務めの一つが、英語嫌いの子を一人でも減らすことです。英語へのモチベーションが高い生徒は、私たちが言わずとも自発的に勉強して英検にも挑戦します。そうではない層にしっかりとアプローチし、モチベートするためには、不合格のないレベル判定を目的とした英検プレテストは最適なツールだと感じています。結果をフィードバックするのはこれからですが(2024年12月の取材時は英検プレテスト実施直後)、講師からも「英検○級、頑張ったら合格できそうだよ」などと前向きな声掛けができると期待しています。そして、これまで英検に対してネガティブだった子たちが、「英検を受けてみようかな」と一歩踏み出してくれたらと願っています。
「英検プレテスト」を活用し、生徒の挑戦を後押しする
英検協会とプラチナパートナーシップを締結したのは、「英検を通して日本の英語教育の裾野を広げたい」という思いに共感・賛同したからです。私たちが目指す「自立した社会人の育成」という方向性とも親和性が高いと感じています。今回、英検プレテストを中学1・2年生の生徒全員に受けてもらいましたが、テストについて告知した際の反応は、予想以上にポジティブなものでした。面倒くさがるかと思いきや「受けてみたい」という声が多く、次年度以降は年間2回実施に増やすことや塾生以外の一般生にも門戸を開くことなどを含めて検討し、積極的に活用していきたいと考えています。
一方、小学生の英語クラスでは、これまでも英検プレテストを定期的に実施してきました。結果返却時の講師からの声掛けも含めて、英検受験に向けたモチベーションアップの材料にはなっています。 結果を詳細に分析して学習アドバイスにつなげるなどの、より深いフィードバックまでつなげていきたいですね。今後の課題として、小学生コースにおいても英検プレテストのさらなる活用を検討していきたいと考えています。