小・中#7-1: The rainy season has started.「梅雨入りしましたね」(前)
6月になり、天気予報でも梅雨入りの話題が出ています。一方、全国多くの地域で真夏日が続いているとか。体調管理に気をつけて、再開後の学校生活を楽しく過ごしたいですね。
さて今回からまたトピックに沿って、できるだけ小学校高学年から中学校はじめの段階で行える Small Talk の展開例を考えてみたいと思います。
第7回は上でも触れた「梅雨」をトピックに進めます。英語では rainy season と表されますが、まずはそのことに児童を気づかせていきましょう。雨が断続的に降っている様子を説明し、その蒸し暑さをジェスチャーなどで示しながら、指導者が問いかけます。
T: Look. (窓の外を指さす) It’s raining. It’s been raining on and off today.
Very hot. Especially, it’s very humid today. (べたべたするジェス
チャーをしながら)It’s sticky. The rainy season has started here.
What is the “rainy season”?
Ss: 梅雨!
T: Yes, 梅雨 in Japanese. Can you repeat after me? “The rainy season.” …
ここで指導者が使った表現などをリピートさせて、音声で慣れ親しませてもよいでしょう。
It’s raining now.(今雨が降っている)
It’s been raining on and off [off and on] today.
(今日はずっと雨が降ったり止んだりしている)
It’s very hot.(とても暑い)
It’s very humid.(とてもムシムシする)
It’s hot and humid.(とても蒸し暑い)
It’s sticky [muggy].(蒸し暑い)
The rainy season has started here [in Tokyo].
(この地域で [東京で] 梅雨が始まった)
ここからの展開は、児童に親しみのある I like / don’t like ~. を言わせる形が進めやすいと思われますが、トピックである「梅雨」が「好きかどうか」をいきなり尋ねられても戸惑ってしまいそうですので、まず以下のように工夫してみます。
T: It’s the rainy season here now. I don’t like wet days but I like the
sound of rain. It’s beautiful. Also I enjoy watching colorful
umbrellas on a rainy day. Many colors and very pretty. ①[(The color
of) my umbrella is blue. How about yours, S1?
[I have a blue umbrella. How about you, S1?]
S1: Red.
T: Your umbrella is red. I had a red umbrella before, not now, and I
liked it very much. Red makes me happy and energetic! Thank you,
S1. How about you, S2? What color is your umbrella?
S2: Yellow umbrella.
T: ②Oh, you have a yellow umbrella. Bright color. I like yellow
umbrellas too.
上の①では、「雨の日にカラフルな傘を眺めるのは楽しい」という指導者の発話から「(傘には)多くの色があり、綺麗だ」と色の話題になっていますので、「先生の傘(の色)は青だよ」と続けています。そしてここでは、続く S1 への問いかけを「How about yours, S1?(S1 さん、あなたの傘の色はどう?)」としています。後に What color is your umbrella? と続ければ、問いの意図が明確になります。
この「How about yours?」という所有格の代名詞を含む疑問文でも、児童は細かな表現ではなく「対話の内容」を推測し理解しながら答えますので、それほど戸惑うことはないと思われます。ただもし気になるようでしたら、(上の例の [ ] に記したように)「I have a blue umbrella. How about you, S1?」と表現を変えて続けることができます。この場合、もし S1 が「Red.」と答えたら、「You have a red umbrella.」という文の形で続けましょう。
また②は、指導者の「What color is your umbrella?」に対して S2 が「Yellow umbrella.」と答えたことに対する反応です。「あなたの傘は何色ですか」と尋ねられているので、「My umbrella is [It’s] yellow.」もしくは「Yellow.」という答えを期待し、指導者も「Oh, your umbrella is yellow!」と支援すべきところです。しかし、直前に指導者が自身の発話で「I had a red umbrella…」と言っていることもあり、S2 が頑張って「Yellow umbrella(黄色い傘)」と答えたものを受けとめて、「Oh, you have a yellow umbrella!」と言っています。
さて、この後の展開です。
S1 と S2 に「傘の色」を尋ねたので、まだまだ児童に個別に続けて問いかけることもできますが、次第に尋ねるほうも、尋ねられるほうも、退屈になってしまうものです。そこで、少なくともクラス全員が「What color is your umbrella?」に答えられるように、以下のように続けてみます。
T: OK. Everyone, let’s make a poll! Your favorite umbrella color.
You know, the umbrella S1 has is … what color?
Ss: Red!
T: That’s right. S1 has a red umbrella. How about S2’s umbrella?
Ss: Yellow!
T: Well done! Yes, yellow. Then, do you remember the color of my
umbrella?
Ss: Blue!
T: Yes, blue. Good memory. Now, red, yellow, and blue. Three colors.
How many do you think have a red umbrella in this class?
(Share your idea with your partner. … How many do you think?)
Ss: Ten! Fifteen!
T: All right, then, if you think fifteen, raise your hand! …
More than fifteen! Then, how about a yellow umbrella?
More than ten, raise your hand! 〔調査していく〕
T: Now we know six of you have a red umbrella, eighteen have a yellow
umbrella, and eight have blue. What do you think about these
results?
So, if you have a red umbrella, answer my question. OK? What
color is your umbrella? One, two!
Ss with a red umbrella: Red! / My umbrella is red!
T: 〔同様に他の色についても続ける〕
* 学校で傘の色指定がされている場合は、I have ~. ではなく、
I like ~ / want ~ / have ~ at home. などの表現で行うことができます。
いわゆる「聖徳太子ゲーム」のように、指導者がクラス全体に一斉に「What color is your umbrella?」と問いかけ、児童が同時に答えることもできるのですが、さすがに児童の人数が多いときちんと答えを聞き取って、児童の見取りを行うことが難しくなります。せめて上のように「Let’s make a poll! (調査してみよう!)」で、おおよそのクラスの色分布を調べておけば、児童にとっても新たな発見があるかもしれませんし、何よりも指導者の問いかけに対する答えがしっかりと聞こえます。
指導者が児童に使わせたい表現のモデルを示したら、数名の児童を指名して確認する。そして児童同士のペアやグループワークに入る前に、クラスの児童全体にも発話の機会を与えたい。日々の見取りがその後の評価にも重要な役割をもつ外国語教育だからこそ、こうした点に配慮していきたいと思っています。