英語情報Webとは メルマガ登録
お問い合わせ 個人情報の取り扱い
お知らせ

お知らせ

2020.05.22 授業のヒント Small Talk

小・中#5-1: Get to know each other! クラスのみんなと仲良くなろう ~ 英語で自己紹介 ~ (前)

Welcome back to school!

少しずつ学校再開に向けた動きが見られるようになりました。
新入生にとっては、Welcome to (our) school! かもしれません。
学校に子どもたちの元気な姿が戻ってくるのは、本当に嬉しいものですね。

今回は、本来ならば4月初めに扱う予定だったテーマ「クラスのみんなと仲良くなろう」を取り上げます。
多くの学校で「外国語」の授業が始まるタイミングまで温めていました。
新しい生活様式の学校では、大きな声で自由に動き回り、握手したりしながら英語でやり取りを行うことは難しいかもしれません。だからこそ 「しっかりと相手の『ことば』を聞く」「しっかりと自分の『ことば』で伝える」 ことを体験し、そのおもしろさを感じることを大切にしたいと思います。 「ことばに対するアンテナの感度を上げる」 ・・・ 遠隔で、インターネットを通したコミュニケーションが中心となっている今だからこそ、その大事さを実は私自身が実感しています。

◆「英語で自己紹介」のよくあるパターン

年度はじめ、授業開きにまず行われるのは自己紹介。担任の先生や、クラスの新しい友だちのことをよく知って、これから一緒に勉強や行事に取り組む「学級」という集団を作り上げます。

英語で自己紹介を行う活動は、

  • 「話すこと[発表]」の領域で、クラス全体やグループの友だちに向けてスピーチをする
  • 「話すこと[やり取り]」の領域で、ペアやグループの友だちと互いについて伝え合ったり、尋ね合ったりする

などの形で広く行われています。小学校高学年などで、次のように英語で自己紹介をする児童の姿を見ることがあります。

① Hello, everyone. My name is XXX YYY. Please call me YYY. Nice to meet you. I like curry and rice. I like blue. Thank you.

② Hello, everyone. My name is XXX YYY. Please call me YYY. Nice to meet you. I like curry and rice. I don’t like yellow. I can run fast. I can’t sing well. Thank you.

いずれも上手に英語で話しています。①は恐らく、ちょうど「英語で好きなものを言える」という目標に向けて学習を行った後なのだろうと推測できます。②になると、「好きなものを言える」、「苦手なものを言える」、「できることを言える」「できないことを言える」・・・のように英語でできることが増えてきたんだなと感じます。

でもこうした自己紹介をする児童の様子をよく見てみると、「(好きなものを)1つ、2つ・・・よし2つ言えた!」のように指で数えたり、「I like curry and rice. … えっと、次なんだったっけ? あっ、 I don’t like yellow.」のように、一生懸命「言わなくてはならないこと」を「思い出しながら」話したりしていることがよくあります。また、②では「好きなもの」は食べ物、「苦手なもの」は色、とカテゴリーの異なるものについて話していますが、とにかく「好きなものと苦手なもの」を言わなくては!という思いだけで話してはいないかな・・・と気になります。

つまり、こうした児童たちは 「何のために自己紹介を英語でしているのだろう」 と考えてしまうのです。「使える英語の披露かな」、「先生に『好きなものを2つ、I like ~. の形で言いなさい』と言われたから言っているだけなのかな」と。

学習したことを思い出しながら、それを確実に「使えること」を確認する活動と捉えれば、納得する部分もあります。しかし、せっかくの自己紹介なのだから、自分について 友だちに知って欲しいこと を話させてあげたいなとも思うのです。

でもここで立ちはだかるのが、まだまだ英語初学者には「既習の語句や表現が少ない」という壁。「伝えたいことが英語にならない」ことが多いです。もちろん、「先生、~って英語で何て言うの?」や「What do you say ~ in English?」と尋ねさせたり、辞書を引かせたりしながら、「言いたいことを英語にする」時間を設けることもできます。その一方で、「自分が伝えたいことを、自分が知っている語句や表現で何とか伝えることができる」という経験も大事なのでは、とも考えます。

◆とにかく活動には「目的」が必要

授業で何かの活動を行おうと決めた時、指導者には「英語で~を体験させたい」、「~のために・・・という課題に取り組ませたい」といった、児童をその活動に取り組ませる理由や目的があるはずです。でも実際に 授業でその活動を始める時、その理由や目的が児童と共有されているでしょうか。 単に「今日は英語で自己紹介してみよう」という掛け声だけになっていないでしょうか。

しかもその目的を指導者が一方的に提示するのではなく、 児童と一緒に考えながら、できれば 「活動には目的があること」に児童が気づくように促したいものです。次のような始め方はいかがでしょうか。

T:  This is our second English class this year.  I enjoy studying English with you.  Today I want YOU to get to know each other better.

T:  When you meet someone for the first time, what do you say to him or her? You probably say …
Ss:  Nice to meet you!
T:  Yes, that’s a good idea.  “Hello. My name is … Nice to meet you.”  And you may tell about yourself … for example, “I’m from … I want to enjoy ….”  Why is that?  Why do you tell about yourself?
Ss:   友だちになりたいから!
Ss:  自分のことが相手によく分かるように!
T:  Nice ideas!  You tell about yourself so that the new friend (you’re talking to) can remember you.  By the way, what sport do you like, S1?
S1:  Soccer.
T:  You like soccer.  I see.  So, everyone, if S1 says, “I like soccer.” and you like soccer too, how do you feel?
Ss:  Wow!
Ss:  Me too!
Ss:  Friends!
T:  Yes, maybe you can continue, “Oh, I like soccer too. What soccer team do you like best, S1?”  Now you and S1 are friends!

T:  So I want you to tell about yourself to your new friends here. Self-introduction.  自己紹介.  OK?
But remember why you introduce yourself.  …  Your new friends say, “Wow!  I didn’t know that!  Nice!  Interesting!” … That’s your goal today.

(ここで必要ならば「今日は友だちに自分のことをよく知って覚えてもらえるように、英語で自己紹介しよう」のように、「自己紹介の目的」を明確にした「めあて」を日本語で整理する。)

このように「何のために自己紹介をするのか」が児童に伝われば、たとえ上の①のように「好きなものを2つ続けて」言ったとしても、それが新しい友だちに自分が伝えたかったことであり、 納得して、心を込めて丁寧に伝えることができます。

さらに私が大切にしたいと思っているのは、次のステップです。
「目的を提示したのだから、あとは児童各自で考えさせる」という進め方もあるかもしれません。しかしクラスでの一斉授業の場合、児童一人一人が「自分が英語で知っている語句や表現」のうち、 これから行う活動で使えそうなものはどれかを思い出せるような 指導者の語りかけが、効果的に行われねばなりません。

以下は指導者による児童への語りかけの例です。自己紹介を効果的にするために、「新しい友だちにどのようなことを伝えたいか」という大きな問いを投げかけた後、絵カードなどで語句の意味が分かるようにしながら、 様々な既習表現を思い出させようと試みて います。児童は英語の表現にまず音声で慣れ親しんでいます。だからこそ、例え話を聞かせることで、「あ、意味が分かる!」、「この表現知ってる!」、「自分でも使える!」と気づくことができるのです。単に「I like ~. I can ~. を使って話そう!」では、 自分の英語のストックから、目的に応じて表現を取り出して使う力にはなかなか繋がりません。

What do you want to tell your new friends?

Do you want to tell about … your favorite sport? 〔スポーツを表す絵カードを複数黒板に貼る。いくつか差しながら〕 I like soccer … I like baseball …  I like tennis ….

Do you want to tell about … your favorite food? 〔食べ物の絵カードを貼る。いくつか指しながら〕 I like …?  I don’t like …, but I like ….

Do you want to tell about … what you can do … ? 〔活動を表す絵カードを貼る。いくつか指しながら〕 I can …, but I’m not good at …

Do you want to tell about … what you want to do …?  For example, what club activity do you want to join?  Everyone, “I want to join the sport club … athletic club … baseball, basketball, or table tennis.”  Raise your hand. 〔挙手を促す〕 Oh, how many?  About 10?  Like this, what club activity do you want to join?
You can also say where you want to go in coming summer?  I want to go to Hokkaido in summer.  I want to see the beautiful lakes in Hokkaido.

Can you think of two things you want to tell your new friends?

このように様々な既習の表現例を聞かせ、必要な絵カード(や、学年によっては文字カード)を示しながら、 「既にこんなに英語で言えることがあるんだよ」という手掛かりを黒板に示すこともできます。それらの中から自分の 「伝えたいこと」を「2つに絞る」という思考を働かせることにより、児童にとっても、実際の自己紹介で「なぜこの2つか」という理由が出やすくなることも期待できます。

単に「英語で自己紹介しましょう!」ではない始めかた。こうした丁寧な導入も、Welcome back to school! の時期だからこそ、取り入れていきたいものです。

次回はこの続きの場面について、展開例をいくつか考えたいと思います。

記事一覧に戻る
page top

Eiken Teachers’ Club

お悩み解決のヒントが見つかる!
オンラインコミュニティ

コミュニティページはこちら

メールマガジン

先生方の授業づくりに役立つ
情報を
発信していきます

メルマガ登録はこちら