この記事をお読みいただいている皆さんの中に、もしかすると「家にいる」という英語表現を、“stay at home” と覚えたという方がいらっしゃるのではないでしょうか。かく言う私も、当時、ニュースなどでこのフレーズが聞こえるたびに、「今のはstay homeとstay at homeのどちらだった?」と気になって仕方がありませんでした。
● I go to school. 「学校に行く」
● I go to the library. 「図書館に行く」
● I want to go to Italy. 「イタリアに行きたい」
などの表現を、学習者と何度も聞いたり言ったりした後で、「I go to ~. で『~に行く』という意味を表します」と整理した経験がおありだと思います。ですがその後、“I go home.” 「家に帰る」という表現に出合った時に、どうしても “I go to home. ”と言ってしまう学習者がいます。「~に行く」という表現を “I go to ~.” という「まとまり」で理解していると考えれば、すぐに誤りを訂正するのがはばかられる場面です。
こういう場合、指導者としてはいったん「~に行く」という表現を “I go to ~.” という「まとまり」で理解し定着させることを優先して、その後何度も “I go home.” を聞いたり言ったりする機会を増やすことにより、学習者自身が気付づくことを期待します。そして、どこかの段階で次のような説明をします。
「homeという語には『~に』を表すtoが含まれていると考えれば良い。だから “I go to home.” と言うと、“I go to to home.*” と(前置詞の)toを2つ言っていることになるから、不自然ですね」
同様の説明が当てはまるものとして go there, come here, go downstairs, get there などもあります。一度何となく感覚をつかむと「toが必要かどうか」悩むことも少なくなるのですが、初学者にとっては乗り越えなくてはならない英語の壁の一つです。