中・高 # 1-1: Spring has come! 春が来たよ!(前)
生徒が自ら考え、表現する力を高めたい。
生徒の発話を促すために教師はどのような発問をしたらよいのか?
ここでは、今日の授業に役立つ問いかけの例を毎週トピックとともにご紹介します。中学3年生から高校1年生までの生徒を対象としたペアワークを促す展開例です。
今回は、新学期を迎えて「spring」をトピックに、生徒同士のペアワークを行い、生徒自身の思考を促し、自分の考えを自分の言葉で表現し、さらに相手が話したことを他に伝えることを目指した授業での展開例です。
生徒が自らの考えや気持ちを表現するためには、コミュニケーションの目的や場面、状況の設定、つまり「コンテクストの設定」が必要であり、生徒が言いたいこと、伝えたいことを引き出すための教師からの問いかけ、話題の提供が重要です。
【展開例】 生徒自身がお互いの考えを伝え合い、相手が話したことをクラス全体に共有する
トピックは「spring」です。教師が話す時間を多く取らず、生徒同士で伝え合う活動を重視します。ペアで互いに質問させたあと、相手が話したことをクラス全体に共有するという流れを取ります。
T: Spring has come! Winter is over! Are you happy/excited?
Personally I am very happy now simply because I don’t like cold weather.-Do you like spring? Why?
Ask the question to your partner. Then ask why?Now, S1, does your partner like spring? Why does /doesn’t he/she like spring?
<意図・注意事項>
Do you like spring? Why?は、ペアでお互いに質問させます。
Ask the question to your partner. Then ask why?は、Ask your partner if he/she likes spring? Then Why?と言い換えてもよいでしょう。
ペア活動のあとは、教師から生徒に対し、三人称を主語とする質問をして、相手が話したことをクラスに共有させます。
T: -What do you think of when you hear the word “spring”?
As for me, I would say new students, new classes and new colleagues.Now, S2, what do you think of when you hear the word “spring”?
S2: She thinks of cherry blossom.
T: Yes, many people think of cherry blossom when they hear the word “spring.” Then, how about you?
S2: Well, I think of a strong wind. In spring sometimes it is so windy. Sometimes it wakes me up in the morning.
<意図・注意事項>
What do you think of when you hear the word “spring?”は、ペアでお互いに質問させます。なお、What comes to mind when you hear the word “spring?”と言い換えても良いでしょう。
ペア活動のあとは、教師から生徒に対し、三人称を主語とする質問をして、相手が話したことをクラスに共有させます。ここでは、S2とのやり取りを例示します。
T: When does spring begin here in Japan? Officially spring begins on March 20th and ends on June 21st.
-When does spring begin in Tokyo / Sapporo?
T: Then, when does spring begin in Sydney?
O.K. Now it’s spring here in Japan. In Sydney Australia it’s….?
In Australia, spring begins on September 1st and ends on November 30th.
<意図・注意事項>
When does spring begin in Tokyo?は、クラス全体に投げ掛けても、ペア活動としても構いません。この質問は、次のように言い換えることもできます。
-When do you think spring begins in Tokyo / Sapporo?
個人の考えが答えとなるような質問を意図的に投げ掛けることにより、生徒が英語で思考・判断・表現をするように促します。
話した内容について生徒の理解を確認する際には、Do you understand?と直接的に尋ねることは避け、 In Sydney Australia it’s….? のような投げかけにより、生徒の理解を試す質問(Concept Question)をします。
T: Which do you think is colder, winter in Naha or spring in Sapporo?
The average highest temperature in Naha in January is 19℃ and that of Sapporo in May is 18℃!
<意図・注意事項>
那覇の冬と札幌の春はどちらが寒いか?」という生徒に“考えさせる”問いかけをして、生徒にペアで質問させあってもよいでしょう。
生徒に考えさせたあとは、生徒が「へぇ、なるほど!」と深くうなずくような情報(根拠)を示します。
T: What are seasonal foods in Spring. I would say…. bamboo shoots.
I love bamboo shoots rice and bamboo shoots tempura.What seasonal food in spring do you like?
I love “sansai.” What is sansai in English?
Interestingly it is “wild vegetables” or “mountain vegetables.”S3, do you like wild vegetables?/ what wild vegetable do you like?
<意図・注意事項>
新出語のseasonal foods やbamboo shoots(たけのこ)について、生徒とやり取りを通じて、コンテクストから理解させます。生徒が和訳をすることは妨げませんが、教師が自ら和訳をすることは避けたいものです。
また、生徒とのやり取りのなかで、山菜の名前が出てきたときには、英語での言い方を教えてもよいでしょう。
(例)たらの芽:Japanese angelica tree buds
うど:mountain asparagus
ふきのとう:butterbur sprout
今回は「spring」をトピックとした展開例をご紹介しました。
コミュニケーションの目的や場面、状況に応じたやり取りを通じて、生徒が自ら思考し、判断し、表現する力を引き出していきたいものです。