さらに「色」を表す単語を、有名な “Brown Bear, Brown Bear, What Do You See?” の絵本を読み聞かせしながら紹介すると、「青い馬」は “A blue horse.” では終わりません。どこで覚えたのか、「light blueだよ!」、「dark blueだよ!」、「それは blue じゃないよ。black blue だよ!」(”blue-black” のことか?新色か?)などという声が上がり始めます。子どもの感性の豊かさを感じる一幕です。このように、1つの単語から、児童の世界はどんどん広がります。
T: I like animals. (Especially,) I like dogs. I have a dog. [His name is Pochi.] (He is) five years old. I walk Pochi every morning. I like Pochi very much. [He is cute and clever.] He can catch a ball. But he can’t do “mate.” Last summer, my family went to the sea with Pochi. We enjoyed walking along the beach. I want to go to the mountain with Pochi next summer.
ここでは敢えて、所有格の代名詞 him を用いずに話しています。何度もPochiで置き換えていますが、思い切って him を入れて伝えたとしても、写真を指差したり、ジェスチャーを取り入れたりしながら話せば、内容は児童に伝わると思われます。 ただし「him は所有格の代名詞で、『彼の』つまり『ポチの』という意味です」という説明は小学校段階では必要ありませんし、児童が話を楽しく聞いているようであれば、him という語については触れません。
これに続く児童への問いかけとしては、以下のようなものが考えられます。
① (I like animals.) Do you like animals? ② (I like dogs.) Do you like dogs?
例えば上の③の問いは、“Do you have ~?” (~を飼っていますか?)という表現(の定着)に焦点を当てたやり取りであれば可能と思われます。しかし、せっかく「動物」という大きなカテゴリーでテーマを設定していることを考えれば、最初から指導者の側で「家でペットを飼っているかどうか」という狭い話題になっていると感じます。
指導者が自分のことを伝えた後で、児童に問いかけます。この時、YES という肯定の反応があれば、”What animal do you like?” と続けて動物の種類を掘り下げていきます。
T: Do you like animals, S1? S1: Yes. T: Oh, you like animals. Me too. I like dogs. What animal do you like? S1: I like … キリン. T: You mean, giraffes? Yellow and black patches. Very tall? S1: Yes. T: You like giraffes! (They are) popular in a zoo.
「(S1さんは)動物が嫌い(苦手)なんですね」と言われたら、母語であれば「はい、そうなんです。実は・・・」と返答できそうですが、”Do you like animals?” という英語の問いに、何とか頑張って事実を伝えることができた児童もいると思うのです。そうした児童は “Oh, you don’t like animals.” と言われたら、どう反応することができるのか・・・と考えてしまいます。