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2020.07.07 授業のヒント Small Talk

中・高 Week 7-2: It’s hot today. 今日は暑いですね(後)

生徒が英語で考え、英語で自らの意思を伝え合えるように、教師は授業のなかでどのような仕掛けしてそれを促すべきか?ここでは、毎日の授業に役立つ問いかけとしてのSmall Talkの展開例を紹介します。中学3年生から高校1年生までの生徒を対象とした生徒同士の英語でのコミュニケーションを促す展開例です。

今回のトピックは「It’s hot today」です。これまで「後編」では、「前編」の展開にさらなる展開を付け加えてきましたが、今回は同じトピックでの別な展開を紹介します。

中・高 Week 7-1: It’s hot today. 今日は暑いですね(前)

【展開例】 太字部分の質問は、ペアでお互いに質問させます。

T: It’s Friday today. I am always busy on Fridays. So I got up early this morning. It was four thirty. It was dark. It was cloudy. It was not hot. It was cool but it was already humid. I left home at five thirty. It was very quiet outside. It was a bit windy. When you left home this morning, how was the weather?

– When you left home this morning, how was the weather?

T: S1, How was the weather, when you left home this morning?

S1: It was cloudy.

T: How about your partner? How was the weather, when he left home?

S1: He says it was rainy and windy.

今回は導入部分でitを主語にして「曜日」「時間」「暗さ」「天候」「温度」「湿度」「静かさ」「風の強さ」を表現してみました。本来はこれらをすべて使わせて定着させるとよいのですが、このように実際のコミュニケーションのなかで使ってみせるだけでも意味はあると思います。ペアでの質問は、これらをすべて使う必然性、つまりコンテクストを設定するのが難しいので、天候に関するものにしてみました。
天候に関する質問がより幅広い内容の答えを「引き出す」ことを狙ってのことです。もしかしたらS1のパートナーのように学んだ表現を使ってより多くを表現しようとする生徒がいるかもしれません。

T: Now, we are in July. As I was born and raised in Hokkaido, I don’t find July in Tokyo comfortable. It’s too hot and humid to me. Do you find July in Tokyo comfortable?

— Do you find July in Tokyo comfortable?

T: S2, Do you find July in Tokyo comfortable?

S2: Of course, not.

T: Then, how about your partner? Does she find July in Tokyo comfortable?

S2: She says, yes. She finds July in Tokyo O.K. She was born in Kyoto.

T: Ah, it gets really hot and humid in Kyoto in summer. One of my friends from Kagoshima finds July in Tokyo comfortable. The average temperature in Tokyo in July is 25.2°C and that in Kagoshima is 27.2 °C.

前回と同じく、find を用いた第5文型の疑問文を使ってみました。この文の応用範囲は非常に広いので、様々なコンテクストで使わせることができます。以前にも書きましたが、第5文型の文は、多くの生徒が習得に苦労するものなので、意図的に「使う」頻度を上げてやる必要があります。「第5文型の文」として文法的に学ぶ前にこれらの文をコミュニケーションのなかで使えるようになっていれば、生徒はこれらを「帰納的に」学ぶことになります。

T: Some people find July in Tokyo uncomfortable, some people don’t. What is the best place to spend the summer in?

– What is the best place to spend the summer in?

T: S3, what do you think is the best place to spend the summer in?

S3: Nasu Kogen in Tochigi Prefecture. In summer it is cool and comfortable in Nasu Kogen. It’s a lovely place.

T: You have been there?

S3: Yes, I went there twice when I was in elementary school.

T: S4, what do you think is the best place to spend the summer in?

S4: I like Kawaguchiko in Yamanashi Prefecture. The average temperature in summer is not high there.

T: S5, what do you think is the best place to spend the summer in?

S5: My house. It is the perfect place. Air conditioner makes it cool.

最後に「避暑地」について話してみました。これもまた、生徒それぞれが別の答えを持っている質問なので話が「面白く」なります。What is the best place to spend the summer in? という文の構造はやや複雑ですが、生徒たちはこのようなやりとりのなかでなら抵抗なく使ってくれると思います。文法的には難しい文であっても、しっかりとコンテクストを設定してコミュニケーションのなかで導入することができれば、生徒はその難しさを意識せずにその文を習得することができるのです。

「帰納的導入」は、文法的な説明を排除するものではありません。外国語を学ぶにあたっては、学んだ文や表現を文法的に理解することは必要です。「帰納的導入」は、それを学習者にとってより容易なものにします。すでにある程度わかるようになっている、あるいは使えるようになっている文の規則を学んでも大きなプレッシャーを感じることはありません。日本人が日本語の文法を学ぶ場合と同じです。その場合、文法的な理解はあくまで補足的なものという意識を持って学ぶので、文法がわからなければその文が「理解できない」、あるいは「使えない」とは思いません。反対の場合、つまり導入時に文法から学ばせてしまうと、生徒は「文法が理解できないとその文の意味が理解できない、その文が使えない」と考えてしまいがちで、より大きなプレッシャーを感じることになります。同じ文法を学ぶのでも、大きなプレッシャーを感じながら学ぶのと、そうでない場合の結果は当然違います。

今回は It’s hot today をトピックとした展開例を紹介し、「帰納的導入」について考えてみました。これを例として、自分のクラスでの展開例を考えてみてください。このコラムが先生方が授業の「仕込み」をする際の助けになればと思います。

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