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2021.03.22 授業のヒント 音あそびをしよう!

《小学校英語》「音あそび」をしよう!- STEP 6「日本語をアルファベットで表してみよう~ ローマ字③ 《ヘボン式綴り》 ~」

◆STEP 6

STEP 5 までは、日本語の仮名文字を「子音」と「母音」に分割し、それぞれの「行」に共通する子音字がもつ音を取り出し、それと母音の音とを順番に混成させる活動を通してローマ字綴りを学んできました。例えば、/k/ の子音の音と /a/ の母音の音を足し算すると /ka/(=「か」)、/k/ と /i/ を合わせると /ki/(=「き」)のように、自然と「子音のアルファベットの音」に親しみます。アルファベットを「名前読み」して、「ケイ(=k)」と「エイ(= a)」で「か(= ka)」のような説明ではなく、例えば「か行の『か、き、く、け、こ』に共通するはじめの音は /k/ で、この文字で表します」と言いながら「k」の文字カードを示すという導入です。このため、文字の「名前」と「音」との混乱を最小限に留めことが期待できる指導と言えます。

いよいよ STEP 6 では、ローマ字学習でどうしても避けては通れない、「ヘボン式綴り」との出合いを扱います。「訓令式」とは「異なる綴りがある」として最初から違いを提示するのではなく、「なぜ異なる綴りがあるのか」を子どもたちに気付かせていくアプローチです。

◆指導のヒント

ローマ字学習について、「国語科ではどうして訓令式を教えるのか。パスポートに記載する名前など、公文書ではヘボン式が用いられているし、英語話者にはヘボン式の方が正しい発音が伝わりやすいのに。」という話をよく聞きます。確かに、国語科では訓令式を学ぶといっても、小学校で多く使われている『ローマ字練習帳』には、実はヘボン式綴りも載っていることが多いです。そして小学校の外国語教育が始まると、子どもたちはヘボン式の名前の書き方を学びます。その一方で、キーボード入力などにおいては、「訓令式の方が、機械的に各行の子音字に母音の a, i, u, e, o を付ければよいから容易である。」という声もあります。

いずれにせよ、大事なのは、「なぜ小学校の国語科でローマ字を学ぶのか」ということです。答えは、「日本語の音が子音と母音の組み合わせで成り立っていることを理解することが重要である」と「小学校学習指導要領解説「国語」」に記されることからうかがえます。つまり、ローマ字学習を通して、一文字一音の対応である仮名文字を用いる日本語話者には気付きづらい、言語の音声構造に対する敏感さを育てるためなのです。

だとしたら、ローマ字指導も、「この文字(m)とこの文字(a)で『ま』」という説明のように、音声と関係づけない方法ではなく、音への気付きを最大限に生かした方法にしていくべきではないか、と考えることができます。そうすれば、例えば「日本橋」のローマ字表記が「nihonbashi」の場合と、「nihombashi」の場合があることに気付いて、その違いが気になって仕方がなくなるはず・・・!

◆所要時間:導入活動のみ 20分/Worksheet 6-1 10分、Worksheet 6-2 15分


《Worksheet 6-1 は
こちら からダウンロードできます》


《Worksheet 6-2 は
こちら からダウンロードできます》

◆活動のめあて

① 音の足し算(仮名文字を構成する「子音」とそれに続く「母音」の混成)をしながら、日本語の音とは少し違う響きの音になることに気付くことができる。
② ①で音の違いに気付いたローマ字綴りに、別の綴り方(ヘボン式綴り)があることが分かる。
③ 「さ行」、「た行」、「ざ行」、「だ行」について、ローマ字綴りで書かれた仮名文字を発音することができる。

◆The Flow of Instruction 指導手順

1.「サメ*」と「雨」、「墨*」と「海」、「席(咳)*」と「駅」、「掃除*」と「王子」の4ペア(8枚)の絵カードを、それぞれ何を表すかを言いながら、ペアごとに黒板に貼る。

* ローマ字表記のはじめに s が付くもの*と付かないものの間に線を引いて、視覚的に区別して見せるとよいでしょう。

2. 「『さめ』と『あめ』、『すみ』と『うみ』、・・・ はじめの音がどう違うかな?」と尋ねて考えさせる。

* これまでの STEP から、子どもたちは語の「はじめの音」に意識を向けることに慣れているので、すぐに「はじめの子音」を取り出して言わせてもよいでしょう。他の「行」と異なり、5つの母音に対応する5ペアの絵カードでないことに気付く子どももいるが、黒板に貼ったカードだけ考えれば良いことを告げ、そのまま進めます。

 

3./s/ という音が出始めたら、喉に手を当てて、震えを感じないことを確認させる。

* 「はじめの音」の取り出しに時間がかかる子どもがいる場合は、/s/ の音を伸ばしながら「/sssss/ … /a/」と発音して聞かせてみましょう。

* /s/ の音だけを誰がいちばん長く伸ばせるか、競わせることもできます。その時、/s/ が「すぅ~(/suuuuu/)」のように後ろに母音を伴わないように、喉に軽く手を当てたまま発音させるとよいでしょう。

 

4.ローマ字ではこの /s/ の音をsの文字で表すことを伝える。

* この時までに、a, u, e, o の母音カードを貼っておく。

 

5. 「(s の子音字だけを見せながら)/s/, /s/, (母音字 a の左に s を添えて)『さ(/sa/)』」、「/s/, /s/, す(/su/)」 … のように、文字カードをテンポよく、やや速めに動かしながら子音と母音を混成する練習をする。

 

6.黒板に母音iのカードを貼り、5と同じように子音sのカードを左に添えて、「/s/, /s/」と言い、子どもたちに母音iと混成させる。日本語の「スィ」に近い音になるはずだが、「し」と発音する子どもがいる場合は、母音 a, u, e, o に続けてiの左に s のカードを勢いよく添え、「スィ」と発音して si が「し」とは違う音になることに気付かせる。

 

7.無声音でジェスチャーを添えて「し~っ!」(静かに!)と発音し、「し」は他の「さ行」の子音 /s/ と異なり /ʃ/ であることを示す。実際に子どもたちにも /ʃ/ を発音させてみる。

8.母音字iの左にshカードを貼り、「し」と発音する。そして、sa, shi, su, se, so と「さ行」を順番に読む練習をする。

9.Worksheet 6-1 を使って、「さ行」の復習、および「た行」の子音 /t/ と母音の組合わせに気付かせる。

10.  Worksheet 6-2 を使って、「ざ行」と「だ行」の学習に取り組ませる。

◆STEP 6 では、「は行」、「ら行」、「や行」、「わ行」など、扱わない行があります。ra, ri, ru, re, ro の /r/ も、ha, hi, fu, he, ho の /h/ や /f/ のように、英語の子音の音に近い発音にすると日本語として聞こえないものもあるためです。しかし何よりも、ローマ字学習を通して日本語のモーラ(「子音+母音」の構造)を分解できることへの気付きを高めることが本来の目的でしたので、これまでの STEP で扱ってきたもので十分と考えています。

◆ Answers for the worksheets

■Worksheet 6-1
1.(1) すし  (2) せかい  (3) ささ  (4) みそ  (5) しんかんせん
2.(省略)
3.上の語に /t/ が付いている
4.(省略)
5.(1) てぃ、(2) とぅ、のように聞こえる
6.(省略)
7.(1) てすと  (2) たぬき  (3) しか の つの  (4) もちつき

■Worksheet 6-2
1.(省略)
2. (1) ずぃ、(2) でぃ、(3) どぅ、のように聞こえる
3.(省略)
4.(省略)
5. (1) ざしき   (2) おじぞう さん   (3) ずが こうさく   (4) かんじ   (5) にほん ちず   (6) じかん

 

イラスト協力:©育伸社(カラーイラスト)、愛知県立大学 外国語学部 4年 濱口 果奈 さん

 

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