《小学校英語》「音あそび」をしよう!- STEP 10「ターゲットと真ん中の音が同じかな? ~ 中間音の認識 ~」
◆STEP 10:語の「真ん中の音」の認識
いよいよ本特集も最後の STEP となりました。
STEP 10では、語の「真ん中の音」に焦点を当てます。扱う語はこれまでと同じようにCVC, CCVC, または CVCC の構造をしているものです。これらの「真ん中の音」、すなわち「子音(C)に挟まれた母音(V)」を認識できるようになることを目指します。STEP 8, 9 と同様に音声提示されたターゲット音を保持しながら、それと語の「真ん中の音」が同じかどうかを判断します。語の中間にある母音の認識においても、母語である日本語との違いを意識させましょう。
指導のヒント
日本語では伸ばす音を「-」(長音記号)を用いて表し、「き」(木、気など)や「きー」(外来語の「鍵」を表す「キー」など)を区別します。英語の語では、単一の子音を伸ばして発音することはなく、boot(/bu:t/)やball(bɔ:l)のような「長母音」で長い音を表すことがあります。一方、book(/bʊk/)やbat(/bæt/)などの短い音を表す「短母音」もあります。さらに、boat(/ bóʊt/)やpost(/póʊst/)、bake(/béɪk/)のように1つの音と数えられますが「二重母音」と呼ばれる音もあります。特に英語で二重母音が含まれる語がカタカナ語として用いられる場合、例えば boat や post がそれぞれ「ボート」、「ポスト」となるように異なる母音で表されることがあります。こうした日本語での発音との違いに気づかせることが大切です。
これまでも触れましたが、日本語の基本的な音韻単位は「母音(V)+子音(C)」の構造を成す「モーラ(拍)」であり、日本語母語話者にはこれらを分割して「子音だけ」あるいは「母音だけ」を取り出して、他の音と同じかどうかを判断することが困難な場合があります。音素の単位で音を保持したり、操作したりできるようになる技能を高めるため、これまでの STEP で行ってきたように、CVC の構造をもつ語を「CV」と「C」に区切って聞かせたり発音させるよりも、まずは「オンセット(C)」と「ライム(VC)」で語を区切って聞かせ、その後、ライム部分を「母音(V)」と「子音(C)[のまとまり]」に区切るようにしましょう。
英語の短母音のうち /a/ と /u/ は混同しやすいものです。それぞれの音を何度も繰り返して聞かせ、さらに対比させたりしながら耳で違いを認識できるようになることが大切です。後にそれぞれを表す文字 a や u と対応させることも考えて /a/ は親指と人差し指を横に開く、 /u/ は縦に開く合図を添えるなどして視覚的に示してもよいでしょう。
◆活動のめあて
① 語の「真ん中の子音」の音を取り出して認識し、それが「ターゲット音」と同じかどうかを識別できる。
② 複数の語を、それぞれの「真ん中の子音」の音により分類することができる。
③ 語の「真ん中の子音」の音を適切に発音することができる。
◆所要時間:導入活動のみ 20分/Worksheet 10-1 15分、Worksheet 10-2 15分
《Worksheet 10-1 は、こちら からダウンロードできます》
《Worksheet 10-2 は、こちら からダウンロードできます》
◆The Flow of Instruction 指導手順
1.map / mop, hat / hot, bed / bad, pet / pot, net / nut, pin / pen, tap / tape, boat / beet, wet / weekのようにC1VC2語のうち「はじめの子音C1」と「おわりの子音C2」が同じだが、「真ん中の母音V」が異なる語を、ペアことに絵カードを提示して発音を確認する。
2.カードを1枚ずつ示しながら “map, /m/, /ap/.” “mop, /m/, /op/.” “hat, /h/, /at/.” “hot, /h/, /ot/.” のように、それぞれの語をオンセットとライムに分割して発音し、リピートさせながらペアごとにまとめて黒板に貼る。
* 黒板に絵カードを貼る際には、同じ母音(V)をもつ語を近くに集めていくとよいでしょう。最初から語を構成する音を音素単位に分割するのではなく、C1Vのまとまり(モーラ)を子音(C1)と母音(V)に区切ることに慣れさせるため、「オンセットとライムの区切りで語を分割」することから始めます。
3.ペアごとにカードを指しながら、“map, /m/, /ap/, /m/, /a/, /p/.” “mop, /m/, /op/, /m/, /o/, /p/.” のように、語の「真ん中の音」である母音を強調しながら聞かせ、それらが同じ音であることを気づかせる。語全体を、子音部分を弱めて発音し、母音の音の違いだけに焦点を当てるよう促す。
* それぞれの「母音の音の出し方を明示的に説明」していくとよいでしょう。上で述べたように /a/ は親指と人差し指を横に開く、/u/ は縦に開く、のように合図を決めて、聞き取りや産出のヒントとすることもできます。またこの活動で子音を発音する時にも、無声音の子音の後に母音を伴わないよう喉の震えがないことを確認させます。
4.「真ん中の音」の分割に児童が慣れてきたら、“What is the middle sound?” と尋ねながら改めてカードを1枚ずつ提示し、「母音」だけを発音して答えさせる。
5.Worksheet 10-1を配付し、1の活動から行う。ターゲット音を指導者が口頭提示したら、子どもたちにも、それを真似て何回か発音させる。ターゲット音と「真ん中の音(母音)」が異なる語については、その「母音」を分割して発音させながら確認する。次第に、語を構成する音素を分割して発音できるように促して練習してもよいでしょう。
*1の活動は、1つのターゲット音に対して聞き分ける語が多いので、必要に応じてターゲット音を再提示する。短母音と長母音、二重母音との区別が必要な場合には、丁寧にゆっくりと発音して違いを認識できるようにする。
6. 続いて Worksheet 10-2 を配付し、取り組ませる。
*STEP 10でも、単音節の CVC語、CCVC語に加え、おわりに子音連結のある CVCC語も少し扱います。
◆ Answers for the worksheets
■Worksheet 10-1
1. ○ [cat / map]
2. × [fish / fan]
3. × [book / boot]
4. ○ [box / dog]
5. ○ [lip / pig]
6. × [bus / cap]
7. × [hat / tiger]
8. × [tape / clap]
9. ○ [zip / dish]
10. ○ [train / cake]
■Worksheet 10-2
① pig / (1) [dog], (2) ○ [lip], (3) [pen]
② map / (1) [tiger], (2) [bus], (3) ○ [mat]
③ desk / (1) [game], (2) [bat], (3) ○ [ten]
④ dog / (1) ○ [stop], (2) [moon], (3) [boat]
⑤ moon / (1) [corn], (2) ○ [boot], (3) [book]
⑥ cake / (1) [cat], (2) [clip], (3) ○ [snake]
⑦ boat / (1) [book], (2) ○ [soap], (3) [hat]
イラスト協力:愛知県立大学 外国語学部 4年 濱口 果奈 さん