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2020.09.01 教育現場より 先生のための授業参観

【第5弾】伝え合う楽しさを味わう書く活動

大津市教育センター
研究員 平山 美穂 先生
(大津市立晴嵐小学校 教諭)

 小学校5・6年で外国語科がスタートする今年度。引き続き、英語での聞く力・話す力を駆使してやり取りする力を育成し、中学校での「聞くこと」「話すこと」の基礎を作りたいと考えていました。
 ところが、6月の学校再開後、新型コロナウイルス感染症対策として、全教育活動において、「児童生徒が密集して長時間活動するグループ学習は実施しない。」ということになりました。外国語科でも、英語表現に慣れ親しむためのペアでのやり取りやグループでの活動及び自分のことを伝え合う言語活動に制限がある状況が続いています。
 話す活動に制約がある中でも、伝え合う楽しさを味わい、今後の聞く力・話す力の育成に生かしたい・・・。そのような思いから、5・6年の外国語科で実施することになった「書くこと」の学習を工夫することにしました。その際に心がけることは、1必然性 2自ら探求 3交流の3つです。(図1参照)
 5年生のUnit1“Hello, friends.”を例に、1~3の工夫について紹介します。

平山先生

 

 1 「書きたい」という必然性が生じるモデル提示

 5年生Unit1の単元目標を実現する言語活動は、本来、「自分の名前や好きなもの・ことについての友達とのやり取り」です。ペアやグループでの話す活動ができない状況であっても、自分のことを伝え合う活動に取り組みたいと考え、書く活動を活用することにしました。しかし、書くことを嫌がる児童が見られたため、「書きたい」という必然性が生じるよう工夫したいと考えました。
 そこで、自分の好きなものなどを楽しみながら書いて伝え合えるよう、単元のゴールを「“Who am I?”クイズを作ることを通して、自分のことを紹介しよう」と設定しました。
 導入では、児童にとって身近な教師の好きなこと、欲しいもの等をヒントとして伝え、誰のことを紹介しているのかを当てる“Who am I?”クイズを行いました。教師について新しく知ることに興味をもち、自分もクイズを作りたい、自分のことを伝えたいという気持ちが高まりました。
 友達に自分のことをより詳しく伝えるためにはどのようなヒントがよいのかを交流すると、誰に、何のために、どんなことを伝えるかという目的意識も生まれました。様々な好きなことの中から、クイズのヒントにふさわしい内容を考えて、自己紹介文を書こうとする児童の姿が見られました。

 2 自ら探求して自己表現する書く活動

 クイズのヒントとして書く英語表現は教師が紹介した例から選ぶのではなく、自分が伝えたいことを書くよう促しました。

 書きたいと思う内容が決まったら、教科書付属の表現辞典で単語を調べ、書き写していきました。4線に文を書く活動に初めて取り組む5年生の児童にとっても、書き写す活動は心理的負担が軽いようでした。表現辞典に掲載されている単語は4線の上に書かれていて分かりやすく、書くことに抵抗があった児童も進んで調べて書くことができました。
 また、教科書や表現辞典で扱っていない英語表現も使っていいことを伝えると、進んで質問する姿や新しい語句を覚えようとする姿が見られました。

 3 伝え合う楽しさを味わう交流

 できあがった“Who am I?”クイズは、新型コロナウイルス感染症対策のため、指導者が出題し、みんなで誰のことを紹介しているのかを考えました。興味をもって紹介文を聞く児童が多く、友達について新しく知って驚いたり、様々な英語表現を知ったりする楽しさに気づきました。
 作成したクイズを紹介された児童は、自分のことを友達に知ってもらえる喜びを味わい、笑顔になりました。クイズの解答として、自分の名前と名前のつづりを発表する際も意欲的に取り組みました。また、指導者による紹介を聞いて発音を覚え、クイズ終了後には、自己紹介文をすらすらと言えるようになった児童もいました。自分で友達に伝えてみたいと思う児童も多く、今後、話し合う活動を再開できる日が待ち遠しくなりました。

4 まとめ

 このように、ペアでのやり取りやグループでの活動ができなくても、「書きたい」という必然性が生じる活動を設定し、自ら探求して書くことや交流することを心がけ、伝え合う楽しさを味わうことができるようにしたいです。また、様々な英語表現に触れる活動を続け、もっと伝えたい、聞きたいと思う積極性を育みたいです。
 英語での聞く力・話す力を駆使してやり取りすることにつながるよう、今できることに工夫して取り組みたいと思います。

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