実践報告「MEIKAI-JOE 小学校外国語科等講座」
新型コロナ感染症の影響から多くの研修やセミナーの中止が余儀なくされた2020年でしたが、オンラインを活用した講座もおこなわれました。今回は明海大学が文部科学省の委託を受けて開発・実施した「MEIKAI-JOE」の実践報告をレポートします。今年度はよりパワーアップした形式で8月に開催しますので、研修や授業改善を考えている先生はぜひご覧ください。
はじめに
本講座は、明海大学が令和2年度に文部科学省の委託を受けて開発・実施した小学校外国語科等講座である。実施には協力機関である小学校英語指導者認定協議会(J-SHINE)と連携。明海大学のMEIKAIとJ-SHINEと教育委員会(Office of Education)のOEをとってMEIKAI-JOEという名称に。小学校教員の負担を軽減しつつ質の高い授業を行える指導体制を構築するという趣旨を踏まえて実施。協力企業として㈱モアカラーにオンライン講座の撮影・配信サポート、アーカイブ制作等オンライン環境整備を再委託。
対象と目的
目的を「小学校の学級担任の多くが抱えている小学校外国語科・外国語活動の指導に対する不安感を払しょくし、授業に積極的に取り組む意欲を向上させるとともに、円滑に指導できる指導力および英語力を養成する」こと。
実施にあたっては東京都足立区、千葉県浦安市、秋田県横手市の公立小学校教員を対象に「小学校外国語科等講座」を全5回でテーマ別に分類。遠隔地から参加しやすいZoomによるオンライン講座配信とし、200名ほどの教員が受講した。また、明海大学の学生も参加し、講座の中で教師役や児童役を演じることもあった。
講座概要
令和2年10月から12月にわたり全5回の受講。当日の受講だけでなくWebサイトで提示される事前や事後のタスクにも取り組めるしくみを導入。
受講前 … オンライン講座資料をダウンロードし講座に臨む。
受講日 … 趣旨説明の視聴やワークシップ型の講座をオンライン受講。
受講後 … アーカイブ動画を視聴しタスクへの取り組み、リフレクションシートへの記入や評価アンケートへの回答。
【各講座内容】
■第1回 学習指導要領
[日 時] 令和2年10月20日(火)15:00~16:30
[参加者] 教員155名、学生25名
[講 師] J-SHINE 専務理事(上智大学言語教育研究センター 教授)藤田 保先生
[内 容] 学習指導要領に記されている外国語科・外国語活動の目標・内容を理解する。講師と受講者側で双方向のやり取りを随時行う。(講義+ワークショップ型)
[URL] 第1回講座はこちら
■第2回 効果的なティーム・ティーチングの在り方
[日 時] 令和2年11月18日(水)15:00~16:30
[参加者] 教員173名、学生25名
[講 師] 明海大学 多言語コミュニケーションセンター 教授 Patrizia Hayashi先生 / 明海大学 多言語コミュニケーションセンター 准教授 Tyson Rode 先生 / 明海大学教職課程センター・地域学校教育センター 教授 百瀬美帆 先生
[内 容] ティーム・ティーチングにおける学級担任とALTのそれぞれの役割について理解。また指導前のALTとの打合せに必要なやり取りを確認し、受講者同士のやり取りを随時行う。(ワークショップ型)
[URL] 第2回講座はこちら
■第3回 Small Talkの実際とデジタル教科書への接続
[日 時] 令和2年11月25日(水)15:00~16:30
[参加者] 教員147名、学生25名
[講 師] 明海大学 教職課程センター・地域学校教育センター 教授 石鍋浩 先生 / 明海大学外国語学部英米語学科講師 前田隆子 先生
[内 容] 授業におけるSmall Talkの実際とデジタル教科書のより効果的な使い方を知る。またSmall Talkや必然的なActivityを含めたやり取りを随時行う。(ワークショップ型)
[URL] 第3回講座はこちら
■第4回 学習指導と評価
[日 時] 令和2年12月16日(火)15:00~16:30
[参加者] 174名、学生25名
[講 師] J-SHINE 理事(玉川大学大学院 名誉教授・特任教授)佐藤 久美子 先生
[内 容] 小学校外国語・外国語活動における指導と評価の在り方について具体的なActivityや児童の発表内容に基づきながら理解。(講義+ワークショップ型)
[URL] 第4回講座はこちら
■第5回 小学校英語指導の心得と中学校への接続の期待[日 時] 令和2年12月22日(火)15:00~16:30
[参加者] 158名、学生25名
[講 師] 明海大学 教職課程センター・地域学校教育センター 准教授 金子義隆 先生/明海大学 教職課程センター・地域学校教育センター教授 百瀬美帆 先生/明海大学 教職課程センター・地域学校教育センター教授 石鍋浩 先生/明海大学 多言語コミュニケーションセンター 教授 Patrizia Hayashi 先生/明海大学 多言語コミュニケーションセンター 准教授 Tyson Rode 先生/ 明海大学 外国語学部 英米語学科 講師 前田隆子 先生/J-SHINE 専務理事 藤田保 先生/理事 佐藤久美子 先生/事務局長 鈴木菜津美 先生
[内 容] 本講座のまとめとして、第二言語習得と動機付けの基礎理論について学ぶ。次に、中学校英語への接続のために小学校段階で指導すべきことの理解を深める。
[URL] 第5回講座はこちら
教育委員会の総括と参加者の感想(抜粋)
【千葉県浦安市教育委員会の総括】
小学校の先生方が日頃から抱えている不安感に寄り添う研修内容であった。学級担任を中心としていた授業者が、評価を意識しながらT1として授業を行うための具体が示されていた。また、オンラインで足立区、横手市の先生方と一緒に研修を行うことで、地域、学校が異なっても、先生方の抱える悩みや思いは同じであることが確認でき、オンラインのよさが生かされ非常に有意義な研修となった。学習指導要領の内容や評価方法について一連の流れを知るだけでなく、先生方が実際に体験したり困り感を質問したりすることで今後の自信につながったのではないかと考える。
【浦安市の受講者の感想】
講座を通して、「英語は誰でもやればできる」という気持ちをもたせること、「英語は間違えながら上手になる」という雰囲気を作ることが、授業をする上で何よりも大事だと改めて感じた。そして「できた」「わかった」場面を作るために、褒めるレパートリーを増やしたり具体的に言葉で伝えたりすることを大切にしていきたいと思った。
開催報告(2021年度開催分につきましては後日、ご報告予定)
<2021英語授業改革セミナー「本気で授業改革!」>
[形式] 対面+ライブ配信
[会場] 明海大学浦安キャンパス[2206講義室] 千葉県浦安市明海1丁目
[日時] 令和3年 8月6日(金)9:10~ 受付開始
【第一部】基調講演 10:00~11:30
「新しい観点による学習評価から、求められる指導を考える~英語教師としての喜びを感じる授業を~」
[講師] 文部科学省初等中等教育局 外国語教育推進室 教科調査官 山田 誠志 先生
【第二部】指導法ワークショップ ①12:50~14:20/②14:30~16:00
A 高校・B 高校・C中学校・D小学校
参加希望の方はこちらのPDFから詳細をご覧ください。