英語情報Webとは メルマガ登録
お問い合わせ 個人情報の取り扱い
お知らせ

お知らせ

2020.08.22 授業のヒント Small Talk

“Hands-on Small Talk” スモールトーク【小・中学校編】W17-1: “What do you want to try in the new term?” 「新学期、何をやってみる?」(前)

いつもと違う短い夏休みを終えて、子どもたちが学校に戻ってきました。3学期制、2学期制、いろいろな学期(term)の形があると思いますが、お休みの後は、何だか気持ちも新たに感じるものです。

この “Hands-on Small Talk” も、これまでの「小・中学校」と「中・高等学校」という対象分けから、「(小学校を踏まえた)中学校」、「高等学校」と学校段階別に、卒業時に目指す姿をイメージしながら、新たにスタートしていきたいと思います。

サムネイル画像3-Aug-12-2020-11-00-18-44-PM

中学校1年生(または小学校高学年)の「外国語」では、この時期、以下のようなやり取りが聞こえているでしょうか。

【既習表現を使いながら、トピックを導入する】

T: Its still very hot.  We had a shorter summer holiday this year.  How many days?まだ暑いですね。今年は(いつもより)夏休みが短かったですね。何日間でしたか)

Ss: Sixteen! 16日)

T: Yes, look at this calendar.  Our summer holiday started here, on this Saturday.  This is Day1.  Let’s count together.  One, two, three, sixteen!  Yes, we had 16-day summer holiday this year.  Was it short or enough … 十分? (そうですね。このカレンダーを見てください。夏休みは … ここ … この土曜日から始まりましたね。これが1日目として、一緒に数えてみましょう。1、2、3、 … 16日。そう、今年は16日間の夏休みでした。短かったですか … それとももう十分?)

Ss: Short! (短かった!)/ Enough! (たっぷり(お休み)あった!)

T: Well, some say short and others (say) enough.”  Anyway, Im happy to see you again.  I want to enjoy studying English with you. (短いという人もいれば、十分という人もいますね。とにかく私は、皆さんにまた会えて嬉しいです。皆さんと楽しく英語を勉強したいです)

夏休みについて、指導者が生徒に語りかけます。既習表現を用いていつもとは違う夏休みの日数をたずねたり(How many days?)、一緒にカレンダーを見ながら数えるように促したり(Let’s count together!)、初めて聞くかもしれない “enough” という語にさりげなく日本語を添えてみたりしながら話を広げます。

そして最後に、このスモールトークで児童に使って欲しい “I want to enjoy / try ~.” という表現を、指導者が自分のことを伝えるために用いています。もちろん生徒に「今日は “I want to enjoy / try ~.” を使って対話をします!」のように表現を指定したりはしません。

T: Do you know how many English classes we have in this term? Do you know? (今学期、何回英語の授業があるか分かりますか。分かる?)

Ss: Thirty seven? 37回?) / Thirty five? 35回?) / Seventeen? (17回?)

T: Dont forget we have two English classes a week. Mondays and Thursdays. So, more than thirty English classes. I want to enjoy many English activities with you in this new term. (いいですか、週に2回英語の授業がありますよ。月曜日と木曜日ですね。だから30回以上英語の授業があります。この新学期に、皆さんとたくさん英語の活動を楽しく行いたいです)

今度は「今学期の英語の授業の回数」を確認するために、さきほど用いた「数をたずねる表現」(How many ~?) をもう一度用いてみました。英語で数を言う練習にもなるため、特に小学校から中学校はじめにかけては、事あるごとにクラスのみんなと数える活動を入れてみます。だんだん速度を上げて変化をつければ、「数える」という単純な活動であっても盛り上がります。

【指導者が自分のことを語りながら、トピックについて話すために「使える表現」を意識させる】

T: What do you want to enjoy this term I want to enjoy studying English with you.  Also, I want to try making Japanese sweets. I can bake cookies, but not Japanese sweets. [I haven’t tried making Japanese sweets.] So I want to try making Japanese sweets such as look 〔絵カードを見せる〕 “フルーツ大福” and “ようかん.”  How about you, everyone? OK, what do you want to enjoy this term, S1?  (今学期、何を楽しみたいですか。私は皆さんと一緒に英語を勉強して楽しみたいです。それに、和菓子づくりに挑戦したいです。クッキーは焼けるのですが、和菓子に挑戦してみたいのです・・・例えば・・・フルーツ大福やようかんのような。皆さんはどうですか。S1さん、今学期、何を楽しみたいですか)

S1: Play soccer. (サッカーをする)

T: You want to enjoy playing soccer. Sounds nice. Do you like playing soccer? (サッカーを楽しみたいんですね。それはいい。サッカーをするのは好きですか)

S1: Yes. (はい)

T: You like playing soccer. Are you good at playing soccer? (サッカーをするのが好きなんですね。サッカーは得意ですか)

S1: Yes! (… はい)

T: Great. And you want to enjoy playing soccer more. Good luck. Thank you, S1. (さすが。それでもっとサッカーを楽しみたいんですね。頑張って。S1さん、ありがとう)

いよいよ指導者がモデルとして、既習表現の中から、トピックについて話すために使える表現を実際に使って見せます。既にお気づきの通り、「新学期に楽しんでみたいこと(やってみてたいこと)」がトピックです。”What do you want to enjoy this term?” とクラス全体に問いかけてから、指導者が自分のことについて伝えます。

ここのポイントは、”I want to enjoy ~.” という表現だけでなく、”I want to try ~.” も使って、「楽しみたい」ことだけでなく、「(今までやったことなかったけれど)今学期に挑戦してみたい」という気持ちを表せるようにしていることです。そのために、

I want to enjoy studying English with you.  と伝えた後で、Also, I want to try making Japanese sweets. I can bake cookies, but not Japanese sweets. [I haven’t tried making Japanese sweets.] So I want to try making Japanese sweets such as look 〔絵カードを見せる〕 “フルーツ大福” and “ようかん.

と語り、「(クッキーは焼けるけど)和菓子はできない」と話します。経験の意味合いを表す現在完了形の文で、「和菓子づくりに挑戦したことがないこと」を明確に伝えることもできますが、表現がまだ未習の状況では躊躇することがあるかもしれません。その際には、”And, I want to try making Japanese sweets.” に続いて “It’ll be my first time.” と聞かせ、”first” という語から「初めて挑戦してみたいのだな」という意味合いを推察させることができます。

もちろん  “I want to read many books.” などのように”I want to ~.” の動詞(~の部分)を生徒自身で考えて入れることもできます。対話のトピックに関係する英語表現がパッと思いつかないことtがあるため、ここでは指導者のモデルで enjoy と play を含めて対話しています。

サムネイル画像2-Aug-12-2020-10-32-06-81-PM

【こんな時、どのように対応する?】

続いて以下のように、S1 の答えを整理してクラス全体に聞かせてから、さらに S2 に “What do you want to enjoy, … try, this term?” とたずねてみたとします。S2 は「マンガを描く」が英語で表せなかったので、日本語で答えました。指導者は you を主語に、S2 の言いたかったことを英語で聞かせます。明示的な修正ではありませんが、S2 に表現を聞いて耳に残して欲しいからです。その後、対話を発展させるために指導者が “I like reading manga very much. Do you like reading manga too?” とたずねています。

T:S1 wants to enjoy playing soccer this term. How about you, S2?  What do you want to enjoy, … or try, this term? S1さんは今学期、サッカーを楽しみたいそうです。S2さんはどうですか。今学期、何を楽しんだり ・・・ あるいはやってみたいですか)

S2: マンガを描く …

T: Oh, you want to enjoy drawing manga, cartoons? I like reading manga very much. Do you like reading manga too? (マンガを描いて楽しみたいんですね。私もマンガを読むのが好きなんですよ。マンガを読むのも好きですか)

S2: Yes. (はい)

実は最後の指導者の問いかけには、小さな「ねらい」があります。S2 が今学期、「初めてマンガを描くことに挑戦するのか、それともマンガは既に描いてみたことがあるのでそれを楽しみたいということか」を確認するためです。この続きを次のように「続きその1」と「続きその2」の2つのパターンで考えてみます。

◆続きその1

T: You like reading manga too. How about drawing manga? Can you draw manga? (マンガを読むのもすきなんですね。マンガを描くことができますか)

S2: No. (いいえ)

T: Oh, thats why you want to TRY drawing manga! Have fun. (ああ、だからマンガを描くのに挑戦したいんですね。楽しんでくださいね)

「その1」では、「マンガを読むのも好き」と答えた S2 に対し、「マンガを描くことは(好きか)どうか」をたずね、さらに実際にマンガが描けるかどうかを “Can you ~?” を用いて確認しています。ただしここは、「マンガを上手に書けるわけではない」という含意のある “No.” という返答であるかもしれない、ということが留意すべき点です。

◆続きその2

T: You like reading manga too … and do you like drawing manga? (マンガを読むのも好きなんですね。マンガを描くのも好きですか)

S2:

T: Do you enjoy drawing manga? (マンガを描くのを楽しみますか)

S2: … まだ … やったことない

T: I see. You like reading manga. So, this term, you want to TRY drawing manga. Good luck. Im sure youll enjoy it!  (なるほど。マンガを読むのが好きなんですね。だから今学期、マンガを描くことに挑戦したいんですね。頑張って。きっと楽しいでしょうね)

一方「その2」は、S2 に「マンガを読むのが好きなんですね」と繰り返した後、さらに「マンガを描くことも好きか」をたずねています。S2 が返答に困ってしまえば、enjoyを用いてパラフレーズしたり、支援します。「まだやったことない」という言葉を引き出せたら、「マンガを描くことにも挑戦したいんだな」と読み取り、”You  like reading manga. So, this term, you want to TRY drawing manga.” と、try を用いた表現に置き換えて聞かせています。

このように、小さな1つの語ではありますが、言葉への敏感さをもっていれば気づくような、enjoy とは異なる try の意味合いを、実際のやり取り例の中で「気づかせる」ことを意図したやり取りの例です。

サムネイル画像1-Aug-12-2020-11-50-55-04-PM

 いかがでしょうか。この後、せっかく生徒同士の対話を行うのですから、よりバラエティ豊かな「使える表現」を思い出させておきたい。こうしたねらいを込めて、指導者のモデルを提示や、指導者から生徒への問いかけを行っていきます。

次回はさらに対話を発展させる展開例を考えていきます。

記事一覧に戻る
page top

Eiken Teachers’ Club

お悩み解決のヒントが見つかる!
オンラインコミュニティ

コミュニティページはこちら

メールマガジン

先生方の授業づくりに役立つ
情報を
発信していきます

メルマガ登録はこちら