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2020.07.14 授業のヒント Small Talk

中・高 Week 8-2: What time is it now?  今何時ですか?(後)

誰もがご存知のWhat time is it now? という疑問文も、使い方次第では、生徒たちのコミュニケーションとそれをとおした学びを様々なかたちで引き出すことができます。Small Talkには、表現そのものを学びのターゲットとしない場合でも、その表現をもちいた英語でのコミュニケーション活動を促し、生徒たちの英語へのexposureを増やすという効果があります。

今回は前回とはまた別な展開を紹介します。教師は話題を提示し、生徒同士の対話を促していきます。

中・高 Week 8-1: What time is it now?  今何時ですか?(前)

【展開例】 太字部分の質問は、ペアでお互いに質問させます。

T: As I am an early riser, I usually go to bed early. Last night I went to bed at about ten thirty. What time did you go to bed last night? Do you remember what time it was?

– Do you remember what time it was when you went to bed last night?

T: S1, Do you remember what time it was when you went to bed last night?

S1: Yes.

T: What time was it?

S1: It was eleven.

T: How about your partner? Does he remember what time it was when he went to bed last night?

S1: Yes, he said he went to bed at twelve.

What time is it? という疑問文はDo you remember…?という文に吸収されると、いわゆる間接疑問文となり、肯定文のかたちになります。このような「文法」もまた、一度理屈を学んだら、「読んで」目にしたり、「聞いて」耳にしたり、「話して」口に出したりして「使って」覚えなくてはなりません。今回のようにチャンスがあるときに「使う機会」を提供するとよいと思います。今回のようにペアでの質問が長くなるときは、事前の発音練習の回数を増やす必要があります。そうすることで、既習事項の再インプットを図ることができますし、文に含まれる文法事項への「気づき」を促すことにもなります。今回は、多くの生徒にとって耳慣れたWhat time is it? が what time it isの語順になるので、この文法規則を再確認する生徒も多いと思います。しかし、このペア活動において、それらは最大の目的ではありません。最大の目的はやはり、コミュニケーションの「内容」なのです。

T: By the way, do you know what time it is in London now? Here, it is one thirty pm. What time is it in London?

— What time is it now in London?

T: S2, what time is it now in London?

S2: I am not sure.

T: Do you know what “Japan” means? It means “the land of the rising sun.” Many countries are behind Japan. London is eight hours behind us. It is five thirty in the morning in London. Then, what time is it now in Washington D.C? It is far more behind. It’s twelve thirty at midnight. Washington D.C. is thirteen hours behind Tokyo.

今度はさらに「内容」にフォーカスします。世界には様々な「時間」があることを学びます。いまやスマートフォンを使えば、すぐに世界中の国々の時間を知ることができる時代ですが、そのような「記号的な情報」としてではなく、この星の、世界の地理を立体的に意識しながら世界の時間を「考え」て学ぶことに意義があると思います。「日本」「日の本」の本来の意味を知るのも世界の歴史と地理を学ぶ上で役に立つのではないでしょうか。

T: In Japan it’s one thirty everywhere, Hokkaido to Okinawa. In some big countries like Canada, they have time zones. Canada has six time zones. It’s nine thirty pm in Vancouver and twelve thirty am in Toronto. How many time zones do you think Russia the biggest country in the world have?

– How many time zones does Russia have?

T: S3, how many time zones do you think Russia has?

S3: I guess nine.

T: Surprisingly they have eleven time zones.

生徒はタイムゾーンについて社会の時間ですでに学んでいるので、英語の授業のなかでそれにふれることによって、彼らが学んできた知識を「引き出す」ことになります。持っている知識を引き出し、ツールとして使わせることで、コミュニケーションをまた「面白く」することができます。様々工夫して彼らが持っている知識を使わせたいものです。使われることによって引き出された「知識」は「力」として意識されるでしょう。そして、このように「思考」と結びついた英語の使用は、生徒にexperienceとして蓄積していくのです。よく英語の「4技能」が言われますが、どの技能も「考える」ことなくして使われることはありません。英語を「考えて使う」経験を積ませたいものです。

紹介した展開例では、教師が「ロシアにタイムゾーンがいくつあるか」という問いに、自ら答えてしまっていますが、実際には彼らが地図帳や辞書の最初や最後のページにある世界地図を使って答えるよう促すべきでしょう。

合衆国大統領選の際には、必ずタイムゾーンのことが話題になります。今年の大統領選の際に、生徒たちは今回のSmall Talkの内容を思い出すかもしれませんね。

今回は What time is it now? をトピックとした展開例をご紹介しました。これを例として、自分のクラスでの展開例を考えてみてください。

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