前回から “What time is it?” 「時間を尋ねる」をテーマにSmall Talk の展開を考えています。
「時間を尋ねる」言い方として “What time is it?” という表現を導入する時には、「まとまりのある表現」に音声で慣れ親しみ、それを単語ごとに区切って構造を細かく気にすることなく、とにかくそのまま言ってみることを大切にします。すなわち「音のまとまり」として真似て発音しながら、いつのまにか自分で言えるようになっている。授業はじめに毎回、指導者が児童に尋ねることだからこそ、いつの間にか習得できている表現のひとつです。
ただし児童が新たな表現に慣れ始めたら、この後に既習表現を用いて一往復程度、対話を発展させることを提案しました。児童が「その時刻と自分との関わり」を少しでも感じられるようなやり取りにするためです。具体的には “What do you usually do at ~?” という問いを使って展開例を示しました。
T: Yes, it’s seven thirty. What do you usually do at seven thirty on Sunday mornings, … S1? S1: … sleep? T: Oh, you’re still in bed at seven thirty on Sunday mornings.
こうしたやり取りの場合、いつも指導者が「時刻を尋ねる役」だと、児童が “What time is it?” と「言ってみる」機会が限られます。何度も指導者が言うのを聞いて親しんだタイミングで、今度は以下の表現で児童からの問いかけを引き出しましょう。
Ask me.
これはどのような「尋ね合い」の表現を導入する時にも用いることができる、非常に便利な表現です。
● OK. Now, you ask me. ● Now, you can answer the question. Then, ask me the same question. ● Now your turn. You want to know the time. What do you say?
すでにお気づきになっておられると思いますが、ここまでの記事の中で、“What time is it?” を「『今』何時ですか」の意味で用いているのは、前回の冒頭で示した「授業はじめのやり取りの場面」のみです。他は示された時計が指す時刻や、話し手が設定した時刻を参照しています。「今」の時刻であれば、“now” を含めて明確に示すか、あるいは状況から判断することになりますが、このことにさりげなく気づかせる仕掛けも可能です。
T: I like playing the piano. So I like music time. My favorite time is music time. What is your favorite time, S1? S1: My favorite time is lunch time. T: Oh, lunch time! And what time is it? S1: Twelve twenty-five. T: Yes, our “school lunch” time begins at twelve twenty-five. I’m hungry. Oh, what time is it NOW, … S2? S2: It’s twelve fifteen. T: Yes! It’s twelve fifteen now. Lunch time in ten minutes. We’re almost there.
「今何時ですか?」という質問を授業の中で、自然なやり取りとして繰り返すのは、なかなか難しいものです。児童に “What time is it?” “It’s ~.” という表現を導入して、ペアでやり取りの練習を行ったとしても、以下のようにしか響きません。
T: Hi, S3. S2 likes lunch time. How about you? What is your favorite time? S3: I like soccer time. T: You like soccer time. What time is it? What time is the soccer time? S3: Three forty. T: It’s three forty. You play soccer after school. S3: Yes. I like soccer very much. T: Good. I know you’re a good soccer player.
ここでさらに、1つ新しい表現を導入することもできます。
〔空腹のジェスチャーで教室の時計を見ながら〕 T: I’m hungry. What time is it, … S4? S4: It’s twelve fifteen. T: Oh, ten minutes to go before lunch time … 〔約5分後に同じようなジェスチャーで時計を見ながら〕 T: I’m very hungry. Do you have the time, S5? S5: Time? … twelve twenty. T: Oh, thank you, S5. It’s twelve twenty. Lunch in five minutes.
時間を尋ねる表現としては “What time is it?” と同じくらいよく用いられる “Do you have the time?” という言い方。せっかく「時刻を尋ねる」活動をするのなら、こちらも一度は紹介しておきたいものです。 ただし “the” を落として “Do you have time?” と言ってしまうと「時間がありますか?」という意味になります(「ちょっと時間ない?(暇ですか?)」と遊びに誘うように受け取られることも)。ですので “the” を少し強調して聞かせるなどして、意識させます。
My favorite time is music time. It’s two p.m. on weekends. I can sing well. And I like playing the piano. I want to play anime songs. I practice the piano every day.
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時刻を尋ねる “What time is it?” という言い方。音のまとまりで覚えて言えるようになる表現だからこそ、実際に Small Talk の活動で引き出す時には、その問いかけをする自然な場面や状況を設定することが大切です。 児童のペアやグループでのやり取りが、単なる機械的な「質問とそれに対する答え」の連続にならないこと。これを常に意識しながら、Small Talk の展開例を考えていきましょう。