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2026.08.26 教育現場より 学校での英検活用

英語の理解度をより正確に測り、主体性を引き出すデジタル活用

【2024年度 オーストラリア大使賞受賞】
天草市立本渡中学校

英語科 小川 友子 先生

生徒が主体的・協働的に取り組める環境をつくる

 本校は熊本県南西部に位置する天草市にある、全校生徒数700名を超える地域最大規模の中学校です。人数が多いので、各授業において生徒同士が切磋琢磨しながら、互いに学び合う姿が見られます。また、文部科学省より「リーディングDXスクール」の指定を受けており、英語科を含めたあらゆる教育活動において、情報活用能力の育成に取り組んでいます。具体的には、タブレット端末をはじめとしたデジタルツールを活用しながら、生徒一人ひとりに個別最適な学びを提供できるよう努めています。
 英語の授業で最も重視しているのは、「学んだ英語を実際に使うこと」です。生徒一人ひとりのスキルにはバラつきがありますが、だからこそ生まれる「生徒同士の学び合いの力」の大きさを日々実感しています。
 さらに、授業のウォーミングアップとして、毎回その日の日直を「イングリッシュリーダー」に指名しています。リーダーが進行役となり、挨拶やその日の天気を報告したり、クラスメイトに問いかけたりしたのち、全員の前で自己紹介を行います。これは、初対面の人に出会ったときにも臆せず英語でコミュニケーションが取れるようになってほしいという思いから、毎時間欠かさず繰り返している取り組みです。 入学直後からスタートするため、1年生の秋頃には、英語の得意・不得意に関わらず全員が堂々と英語で自己紹介ができるようになります。成長に合わせて、好きなもの、習い事、登校手段など、授業で学んだ既習事項を盛り込みながら、紹介内容を少しずつアップデートさせています。

学校独自の「CBT」を導入し、書くことが苦手な生徒のモチベーションと理解度をサポート

 天草市には、市内の全中学生を対象に、年1回英検の受験料を全額補助する制度があります。そのため本校では、毎年第2回の検定日を「一斉受験の日」と定め、5・6時間目を使って校内で試験を実施しています。全校生徒が受験級ごとに指定された教室へ一斉に大移動する、本校の一大イベントです。受験級は1年生が5級、2年生が4級、3年生が3級を標準としていますが、「高校受験までにできれば準2級を取得しよう」と呼びかけています。なかには2年生で2級や準1級に挑戦する生徒もおり、学校全体として英検への意識は非常に高いと感じています。
 この英検に向けたステップアップテストや、日頃の英語力を測る試みとして導入しているのが、生徒が個人のタブレット端末を使って受験する「学校独自のCBT(Computer Based Testing)」です。 生徒の中には、英語を「聞いてわかる、読んでわかるけれど、タイピングや手書きで『書く』となると間違えてしまう」という子が一定数います。ペーパーテストの場合、スペルが少しでも違えば「×」になってしまい、生徒が「また間違えた」と学習意欲をなくしてしまう原因になりかねません。その点、CBTは心理的なハードルが比較的低く、書くことに苦手意識がある生徒も含め、それぞれの「本当の理解度」をより正確に測定できると考え、採用に至りました。 また、結果がその場ですぐに出ることもCBTの手応えです。生徒には「結果を単なる合否ではなく、現在の自分の強みや課題を把握し、次の目標に向けた努力の目安にしてほしい」と伝えています。実際に「合格して嬉しい」「落ちて悔しい」というリアルな感情も含め、テストの存在が良い刺激となっています。また、何回も挑戦して点数が上がっている生徒を全体で認め合い、あきらめず頑張り続けることで、よい結果につながることをみんなで実感することができます。
 具体的な英検の対策としては、ライティングを見据え、1年生のうちから「自分の意見を述べるときは、必ず理由(なぜならば)をセットにする」という活動を意識的に取り入れています。さらに、デジタル教科書の問題をアレンジして100題ほどのオンラインクイズを作成し、Googleフォームを使って解答してもらう家庭学習の取り組みも行っています。Googleフォームを活用すれば、教員側が生徒の取り組み状況や全体の理解度をリアルタイムで把握できるため、その後の指導へのフィードバックにも非常に役立っています。

AIツールを授業のパートナーに。英語に楽しく触れる機会を増やす

 私が最近、特に授業改善の手応えを感じているのが「AIツール」の活用です。なかでも重宝しているのが、入力した英文を選んだキャラクターが口を動かしながら流暢に読み上げてくれるアプリケーションです。疑問文を入力して生徒に問いかけさせれば、ALT(外国語指導助手)が不在のときでも、場面を想定した会話の相手役として活用できます。従来のリスニング教材は音声のみのものが主流でしたが、映像と音声がセットになることで、生徒の理解度や関心は格段に高まります。アバターのビジュアルを動物にするなど、ちょっとした遊び心を取り入れられる点も生徒に好評です。
 また、ワークシートや問題プリントなどの教材作成にもAIを活用しています。たとえば、参考となる動画をAIに読み込ませて指示を出すだけで、そのストーリーに沿った内容確認クイズやワークシートの土台を自動で生成し、タイトルまで考案してくれます。教員側は、出力されたデータに少し手を加えるだけでクイズやプリントが完成するため、業務負担を増やすことなく、新しい授業スタイルに挑戦できるようになりました。今後は、映画のワンシーンを使ったリスニング授業や、音声入力モードを用いた「生成AIとの自由な英会話」など、一歩進んだデジタル活用も視野に入れています。便利なツールを賢く取り入れながら、生徒たちが英語に楽しく触れ、自立して学べる機会をさらに増やしていきたいと考えています。

 最後に、生徒たちに日頃伝えていることは、AIに頼るだけの生活ではなく、AIを賢く使いこなせる人になってほしいということです。世界の情勢を直視し、人間としての共感性や想像力を養うことの重要性を強調していきたいと考えています。情報技術の習得は不可欠である一方、生徒たちがそれらをどう使いこなし、何のために言葉を学ぶのかという問いへの答えを見つけ出すことが大切です。また、言葉の背後にある文脈や背景を汲み取り、多様性に満ちた世界を生き抜く力を育てていきたいと考えています。

 

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