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2026.08.05 教育現場より 学校での英検活用

英検の全員受験で生徒をモチベートし、英語学習への意欲や海外進学に向けた機運を高める

【2024年度 カナダ大使賞受賞】
報徳学園中学校・高等学校

英語科主任 桂川 大助先生
国際教育室室長 八田 哲郎先生

 

以徳報徳・経文緯武で一人ひとりの個性・能力を伸ばす

 報徳学園中学校・高等学校は、兵庫県西宮市にある私立の男子校です。1911年に神戸の実業家であった大江市松翁によって創立されました。翁は二宮尊徳(金次郎)先生を敬愛し、その教えである「報徳主義」を実践しており、「以徳報徳」の精神を身につけた青年を育成したいとの思いから本校の創立に至りました。創立者の思いは現在まで受け継がれ、一人ひとりの個性や能力を伸ばす全人教育が、本校が実践する「報徳教育」の柱となっています。

 また、教育のもう一つの柱が「経文緯武」、つまり文武両道で、心身のバランスの取れた人間形成を目指しています。実際、野球部をはじめ全国大会に出場する運動部が多数あり、理科研究部や吹奏楽部などの文化部も活発に活動しています。同時に、京都大学や大阪大学をはじめとする難関国公立大学にも多くの合格者を輩出しています。更にディベートや探究など各種コンテストに挑戦する生徒も多く、それぞれ目標に向かって一生懸命に頑張る生徒の姿は、教員の私たちから見ても眩しいほどです。

カレッジカウンセラーを配置し、海外大学への進学を新たな選択肢に

 本校ではグローバル教育にも取り組み、オーストラリア、アメリカ、台湾の学校と提携を結ぶとともに、イギリス、フィリピンを含めた海外語学研修の機会も設けてきました。語学研修への参加をきっかけに海外に関心をもつ生徒が増加傾向にあることから、生徒の進路の選択肢を増やすために、2年前から海外大学への進学サポートに力を入れはじめました。具体的には、海外の大学や入試に詳しいカレッジカウンセラーを学校に配置し、生徒が気軽に相談できる体制を作っています。また、「C-Room(Cross-cultural Room )」と呼ばれる教室では昼休みにネイティブの教員が常駐して生徒と交流するほか、海外大学からゲストを招いての座談会やクリスマスパーティーなど定期的なイベントを開催して、海外や異文化に関心を持ってもらう環境づくりに取り組んでいます。

 中学・高校とも英語の授業は4技能をバランスよく育成することを意識して行なっており、ネイティブの教員とのチーム・ティーチングも交えて、英語を「話す・書く」機会をできるだけ多く設けるようにしています。高校になると進路別にコースに分かれますが、2年生までは本質的な英語力を高めることを重視し、3年生になると大学入試を意識した学習へとシフトしていきます。

2024年度より英検の全員受験をスタート。学校一丸となって取り組む

 英検については、準会場受験を実施していたものの、2023年度までの受験は希望制としていました。一方、大学入試で外部検定試験のスコアが認められる動きが広がり、生徒や保護者の英検取得へのニーズの高まりを感じていました。また、海外大学への進学サポートに力を入れるにあたっても、CBTを含めた英検受験の機会創出が必要だろうと考えました。そこで、2024年度からは学校を挙げて英検受験を推奨しようということになり、中学2年生から高校3年生までの生徒を対象に、第1回・第3回を全員受験とすることにしました。

 学校としては「高校卒業時までに英検2級以上取得」を目標に掲げています。生徒の多くは4級からスタートしますが、同じ学年でも生徒によって受験級が異なります。申し込みの取りまとめなど教員の負担も少なくないですが、本校には英語科に限らずグローバルマインドをもった教員が多く、英語や英検の重要性に理解があり、とても協力的です。また、明るく元気でノリの良い男子生徒たちらしく、「みんなで英検、頑張ろうぜ!」という勢いがあり、ときにはクラスメイトと張り合ったりもしながら、切磋琢磨している様子が見られます。

 対策については、様々な形態で取り組める自習室「金次郎STUDEO」や放課後講座「金次郎SEMINAR」で英検対策用の時間を設けているほか、個別に質問に来る生徒も多数います。また、二次試験対策としては、4名いるネイティブの教員が分担して面接練習にあたっています。英検は合否だけでなく領域・分野ごとに細かくスコアが出されるので、全体的な生徒の傾向を把握したり、個別の生徒の理解度を測ったりするのに役立てています。定期考査ではどうしてもリスニングの割合が少なくなってしまうため、英検はそこで測りきれない英語力を見る機会にもなっています。

 定期考査や模試とは違い、英検には合格・不合格があります。合格したらうれしく自信もつき、不合格であればその悔しさが次の挑戦へのモチベーションになります。英検という目標に向かって努力すること、そして成果を出すことを通して、人間的にも成長してほしいと願っています。

リアルな場で人とふれあい英語を使って交流する体験を

 昨今はICT、特にAIの技術が目覚ましく進展しており、生成AIを問題作成に活用するなど、私たち教員の間でも浸透しつつあります。生徒たちが社会に出るころには、AIはさらに身近な存在になっていることでしょう。だからこそ、生徒たちにはリアルに人とふれあう経験をより多くしてほしいと考え、C-Roomでの異文化交流の機会などを設けてきました。

 加えて、昨年度は中学2年生の全生徒を対象にした2泊3日の国際交流合宿の内容をリニューアルし、大阪大学で学ぶ留学生を20人ほど招いて、一緒に滋賀県でキャンプをしました。日本の文化を紹介するアクティビティなどもあって大いに盛り上がり、生徒も留学生も教員も大いに楽しむことができた温かい時間になりました。生徒にとっては、自分とは異なる背景や価値観を持つ多様な人たちと、英語を介してコミュニケーションをとることの楽しさを肌で感じる絶好の機会となったことでしょう。AIではできないこうした息の通った交流は、英語学習のモチベーションになります。今後も、ICTを活用する傍ら、こうして実際に人と向き合いながら英語を使う場をより多く設けていきたいと考えています。

 

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