「英検」研究助成 入選者 学会発表記!
日本英語検定協会では、1987年より英語能力テストおよび英語教育に関する研究企画を広く募集し、優秀な企画に対して助成金を交付して支援しています。入選者の中には、国内外の学会で研究成果を発表されている方も多数います。
今回はそんな方々の中から、第36回「英検」研究助成入選者の2名をご紹介いたします。
※第36回「英検」研究助成入選者による報告書 EIKEN BULLETIN は、2025年2月に公表予定です。
第35回までの EIKEN BULLETIN はこちら!
髙木 哲也さん(筑波大学附属高等学校 教諭)
入選テーマ:明示的知識を外化して正確性の向上を目指す指導の効果
― 長期的なランゲージング・エピソードの分析を中心に ―
参加学会:全国英語教育学会 第49回福岡研究大会(於 福岡工業大学)
私は2024年8月24~25日に福岡工業大学で開催された「全国英語教育学会 第49回福岡研究大会」に参加し、第36回「英検」研究助成 (実践部門) で実施した研究の一部について、「長期的に実践した口頭ランゲージングと筆記ランゲージングの学習効果」という自由研究発表を行いました。
「ランゲージング」とは、例えば教師が生徒に言語面の誤り等についてフィードバックを与えた後、生徒自身にその理由を考えて説明するよう促す指導法です。
発表では、約半年間継続して「自由英作文課題+口頭または筆記ランゲージング」を実践した学習効果や、生徒が説明した内容を比較検証した結果を報告しました。聴衆から「ランゲージング活動中、生徒は実際どのような様子か」という質問や、「文法項目別に分析すればより有益な研究になる」といった意見を頂きました。国内の英語教育では、ランゲージングの実践は未開拓の領域であるからこそ、継続して発信する意義があることを再認識する機会となりました。
湯浅 麻里子さん(関西大学大学院 外国語教育学研究科 在籍)
入選テーマ:MT を学習ツールとするための考察
― 英作文を学ぶ大学生を対象とした量的・質的調査 ―
参加学会:The International CALL Research Conference(於 早稲田大学)
私はこの度、「英検」研究助成 を受けて、研究成果を早稲田大学で開催されたThe International CALL Research Conference で発表しました。国際誌「Computer Assisted Language Learning(CALL)」が主催する学会で、生成AIなどの 最先端技術を外国語教育に活用する話題で持ちきりでした。そんな中、 CALL編集委員長のJozef Colpaert氏が、最先端技術そのものが大切なのではなく、 教育者がいかに教育の目的と課程を設計するかが重要であると、熱く語られていたのが印象的でした。
私の研究テーマは、 ①大学生が機械翻訳をどのように使っているのか、エンゲージメントの枠組みを用いた尺度の開発 ②尺度を用いて、学生のニーズと教授法の乖離を明らかにすること ③機械翻訳の活用を教育現場に広げることです。
私にとっては初の対面での国際学会の発表でした。以前から尊敬していた、UC Berkeleyで機械翻訳プロジェクトを率いるディレクターのKimberly Vinall氏が私の発表に参加してくださり、直接お話することができました。また、 国内外の研究者とも交流することができました。このような貴重な機会を得ることができたのは、「英検」研究助成のおかげです。ありがとうございました。