英語情報Webとは メルマガ登録
お問い合わせ 個人情報の取り扱い
お知らせ

お知らせ

2020.08.29 授業のヒント Small Talk

“Hands-on Small Talk” スモールトーク【小・中学校編】W18-1: “What is your favorite room in our school?” お気に入りのものについて話してみよう!(前)

夏休み明けのこの時期は、Small Talk に最適な時期のひとつと言えます。
お休み前、さらにこれまでの英語学習を通して慣れ親しんだ既習表現を思い出しながら、「自分は英語でどのようなことができるのか」を再確認することができるからです。設定されたトピックについて、自分が伝えたいことをどこまで英語で表すことができるのか。既習表現を活用できるようなトピック設定と、最初に指導者が見せる「モデル発話」や「生徒とのやり取り」により、言語材料的には「復習」でも「話すこと [やり取り]」の技能の育成には欠かせない言語活動として 、Small Talk は位置づけられます。
このように、活動としてのねらいが明確であるという意味でも、
Small Talk は Free Talk とは異なります。

サムネイル画像3-Aug-12-2020-09-05-13-88-PM今回は、”favorite” という語を用いて、「お気に入りのもの」をトピックに Small Talk の展開を考えていきます。

この “favorite” という語は、筆者自身、恐らく中学校の時に初めて接した時に、その意味合いをなかなか理解できずに苦しんだ記憶があります。しばらくして、「日本語の『好きな』色や『好きな』食べ物、『嫌いな』色や『嫌いな』食べ物のように後ろにくる名詞を直接的に修飾して『好きな~』や『嫌いな~』という意味を表す語が英語にはない」という説明を聞いたのですが、それでもまだぼんやりとした理解でした。しかし今、多くの小学生が「外国語」の授業で “What fruit do you like?” “I like apples.” という表現だけでなく、”What is your favorite fruit?” “My favorite fruit is watermelon!” と “favorite” を使ってやり取りをしています。「耳から入る」、「音声で慣れ親しむ」形で新出の語句や表現に触れることの成果だと感じます。

1.「学校にあるお気に入りの部屋」をトピックにした指導者のモデル発話

指導者が、次のように生徒に向けて語ります。

T: Welcome to our English room. Look. There are a lot of picture cards on the wall. Can you say those fruits and vegetables in English? Yes, you can? Excellent! Then, can you see the word cards over there? You can learn a lot of new words by using them. Also, there are many English books and I enjoy reading them after school. This “English room” is my favorite room.
As you know, our school has many special rooms. Out of all of them, I like this “English room” the best.

「自分にとって、学校のお気に入りの部屋はどこか」を伝えるための表現として、以下2つを用いています。(本文では「英語教室」での発話を想定しているため this “English room” としています。)

◆ The English room is my favorite room.
I like the English room the best.

さらに、既習表現として以下のような表現も含めています。

● Can you ~? I [you] can ~. 「あなたは~できますか」「私 [あなた]は~できます」
● There are ~. 「~があります」
● I enjoy ~ing. 「私は~することを楽しみます」
● Our school has ~. 「私たちの学校には~があります」

このうち、”There are ~.” の構文と「~があります」という意味での “have” は、表現のバラエティを意識しています。
小学校では “
We have a big library in our town.” 「私たちの町には大きな図書館があります」という表現などを扱っていますので、無生物主語ではありますが、聞いて意味が「何となく」理解できれば…と期待して用いています。

2.生徒(S1)に問いかける

クラス全体に指導者が「自分のこと」について語ったら、今度は、ひとりの生徒に問いかけます。

T: So my favorite room in this school is the English room. What is your favorite room in this school, … S1?

この後、S1 の反応として、どのようなものが想定されるでしょうか。

① 沈黙してしまった場合

もし問いかけに対して S1 が沈黙してしまったら、まず「その理由」を探りながら、もう一度、問いを繰り返してみるとよいでしょう。少しだけゆっくりと、明確な発声を心がけます。

T: OK, S1. (My question is,) “What is your favorite room in this school?”

問いが分かりづらいようであれば、言い換えてみます。

T: I like this “English room” the best. What room do you like the best in this school?

それでも何をたずねられているのか分かりづらいようであれば、具体的な内容で問いかけてみるのはどうでしょうか。
次の (1) と (2) のいずれも “favorite” (もっとも好きな)「特別教室」を引き出しているかどうかは分かりませんが、少なくとも「特別教室」の例をさらに提示していますので、より文脈を理解しやすくなります。いずれも最後に “Then, what room do you like the most in this school?” と問いかけて「もっとも好きな部屋」を答えるように促すとよさそうです。

(1) 指導者が S1 の好きな「特別教室」を2つ推測して、それらのうちより好きな教室をたずねてみる
T: S1, do you like the science room? [S: Yes.] OK, you like the science room. Then, do you like the arts and crafts room? [S: Yes.] I see. Well … which room do you like better, the science room or the arts and crafts room?

(2) まず「好きな科目」をたずね、さらにその「特別教室」が好きかどうかたずねてみる
T: S1, what subject do you like? [S: I like music.] I see. Then, do you like the music room? [S1: Yes.] Well, do you like the music room the best? もし [S: No.] であれば、T: Oh, what room do you like better than the music room?〉

せっかく S1 を指名したのですから、沈黙のまま終わるのではなく、どうにか既習の表現を使って何か答えて(伝えて)欲しい。その願いを込めて指導者が、より S1 にとって答えやすいであろう問いを用いてたずねていく。これも指導者が行うべき大切な「支援」です。

② 好きな教室を答えることができた場合

指導者の問いに対して、以下のような答えが返ってきたとします。

S1: … Gym.

ふつうの英語の対話では、この反応だけでも話は続いていきます。しかし学習場面でのやり取りであることを考慮すれば、「文の形」で伝えることを生徒に意識させます。特に学習の初期段階であれば、「語順への気づき」を促したり、構文や文法事項を実際のコミュニケーションでも活用できることを確認するために必要だからです。そこで、指導者はまず以下のように続けます。

T: Oh, you like the gym.

さらに “I like ~.” の表現にまだまだ慣れ親しみ始めた段階であれば、S1 自身に繰り返すように促すこともできます。

T: Oh, you like the gym. S1, can you say, “I like the gym”? (Repeat after me. “I like the gym.”)

サムネイル画像1-Aug-12-2020-08-28-13-33-PM

3.S1 とのやり取りを深める

その後、「体育館が好き」という S1 との対話をさらに深めます。最初はできるだけ指導者の方から S1 が理由として言えること(言えそうなこと)を提示しない*ようにするため、「なぜ?」理由をたずねてみることにします。
〔*= “So you like sports?” や “Do you enjoy sports in the gym?” のように具体的な内容に触れない…ということです〕

T: Why (do you like the gym)?

この問いに対し、S1 が次のように答えたとします。

S1: … Sports.

この場合、指導者の反応として、どのようなパターンが考えられるでしょうか?

ふだんの英語授業での S1 の様子や、語句や表現の習得状況などによって指導者の支援も変わってくると思われます。同時に、指導者のモデル発話に続いて問いかけた、最初の生徒であることも踏まえ、クラスの生徒全体にも「自分が S1 だったらどう答えるかな」と考えるきっかけとしたいものです。

次回、この続きを考えていきます。 

記事一覧に戻る
page top

Eiken Teachers’ Club

お悩み解決のヒントが見つかる!
オンラインコミュニティ

コミュニティページはこちら

メールマガジン

先生方の授業づくりに役立つ
情報を
発信していきます

メルマガ登録はこちら