ローマ字は Romanization of the Japanese Language(日本語のローマ字表記)と呼ばれるように、ローマ文字(アルファベット)を、日本語の音声を表すように組み合わせた表記法です。アルファベットにはそれぞれ「名前」と「音」があることは既に触れましたが、その「音」は日本語独自の音やその響きを必ずしも正確に表せるものではありません。
そのため、日本語のローマ字表記にも、「ある音をどのようなアルファベットの組合わせで表すことにするか」について異なる体系(ルール)があります。「訓令式」や「ヘボン式」などと呼ばれる綴り方が存在するのはそのためです。
一般的にローマ字の母音字は a, i, u, e, o(あ、い、う、え、お)と表されます。
さらに「か行」ならば、k という子音字を母音字の前に付けて、ka, ki, ku, ke, ko(か、き、く、け、こ)と表します。
ローマ字指導でよく見られるのは、「か行を、音を伸ばしながら言ってみよう。」、「か~、き~、く~、け~、こ~!」。「あ~、い~、う~、え~、お~。母音の音が残ったね。だから、か行の文字は母音 a, i, u, e, o の前に、k(ケー/ケイ)の文字を書きます。」という説明の仕方です。
これでは多くの子どもたちが、「k(ケー/ケイ)と a(エー/エイ)で ka(か)」という、音が混成する様子を必ずしも表さない形で、ローマ字1つ1つの書き方を機械的に覚えていくことになってしまいます。
他にも、例えば k の文字カードを示しながら、「これと、『あ』( a の文字カードを見せる)を合わせて『か』(ka)だよ」のように、視覚的に子音字と母音字を組み合わせることを見せるだけで終わってしまう場合があります。
一方、英語の母語話者が、例えば k のアルファベットを見て思い浮かべる「音」は /k/ (koala [コアラ] などのはじめの音)です。
これを生かせば、a, i, u, e, o という文字で表される日本語の母音の前に、/k/ という子音の「音」を足せば「か行」なのだと示すことができます。つまり、子どもたちが STEP 3 で2つの英語の語の音を聞き比べながら気づき始めた「子音の音」を、国語科のローマ字学習にも生かすことができるのです。
① 母音が同じ「CV」と「V」から始まる日本語の語を聞き比べ、C の音の有無が違いであることに気づくことができる。
② ①で気づいた子音 C の音を表す文字が分かる。
③ C が日本語の母音を表す文字(a, i, u, e, o)の前にくると特定の「行」の表記となることを理解し、発音できるすることができる。
◆The Flow of Instruction 指導手順
1.「あお(青)」、「あい(愛)」、「いえ(家)」、「うえ(上)」、「えい(魚のエイ)」と言いながら、それらの絵カード(もしくは漢字カード)を黒板に貼り、その下にローマ字で ao, ai, ie, ue, ei と文字カードを並べて示す。これらが「アルファベットで日本語を表す方法=ローマ字綴り」であることを説明し、「あ」、「い」、「う」、「え」、「お」の文字が、それぞれどのアルファベットに対応するかを理解させる。
■Worksheet 4-1
1.(1) ue (2) ai (3) ei (4) aoi (5) uo (6) au
2.(1) かき/あき (2) くり/うり (3) こしょう/おしょう (4) けんどう/えんどう (5) こんぶ/おんぶ
3.a, i, u, e, o / ka, ki, ku, ke, ko
4.(1) kuki (2) kikai (3) kioku
■Worksheet 4-2
1.上の語には、はじめに /p/ の音が付いている。
2.p
3.a, i, u, e, o / pa, pi, pu, pe, po / ka, ki, ku, ke, ko
4.(1) pai (2) eki (3) pukapuka (4) aki (5) ika (6) pokopoko