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2020.08.25 教育現場より 先生のための授業参観

【第4弾】英語教育 これまでとこれから

新潟市立総合教育センター
小林 英男 先生

Ⅰ 英語の授業で大切にしてきたこと

1 生徒は褒められるために学校に来ている

 生徒は褒められるために学校に来ています。生徒の努力や昨日からの成長を見逃さず、タイミングよく褒めることが大切です。努力していないのに褒めたり、3日経ってから褒めては逆効果です。授業中は生徒を褒めるチャンスです。全ての生徒が活躍できる活動を意図的に仕組み、褒めるチャンスを待つようにしていました。自分のがんばりを見てくれて、認めてくれる教師を生徒は信頼します。

2 英語の苦手な生徒を活躍させる手立て

 英語の苦手な生徒は、概ね英語が好きではありません。しかし、英語の時間に活躍できたり、褒められた瞬間に、英語が好きな教科に変わります。そこで、英語が苦手な生徒が活躍できる活動を意図的に組むことが大切です。50分のどの場面でも構いません。Warm-up や帯活動、導入した言語材料を用いたアウトプット活動に社会科、理科、スポーツの知識を問う活動や絵を描く活動等を取り入れています。

3 発言してくれてありがとう

 授業は、生徒の発言がなくては成立しません。教師による指名はできるだけ避け、生徒の自主的な発言を促します。生徒の発言を否定せず、発言してくれた行為に “Thank you.” と声を掛け、文法的な過ちはさりげなくリキャストしてクラス全体で共有できるよう配慮します。

 生徒の発言を大切にする教師の姿勢は教室内の生徒に伝わります。友達の発言をうなずきながら聞いたり、自然に拍手が起こります。そして、教室内が温かい雰囲気に包まれ、支持的風土が構築されます。

4 一人も見捨てない

 私は、教科書の内容理解が終わると音読20回を宿題にします。そして、次の時間にランダムに選んだ5人の生徒に暗唱テストを行います。暗唱ができなかった生徒を昼休みか放課後に呼んで、個別に音読練習をします。昼休み遊びたい、放課後部活動へ行きたい生徒は嫌々教科書を持ってやって来ます。それでも、「よく来てくれたね」「上手に読めるようになったね」と声を掛け、雑談をして部活動へ送り出します。皆、よい表情で部活動へ行きます。 

 日々のこの繰り返しで、「あなたのことをいつも見ているよ」というメッセージを送り続けます。

5 英検教材の活用

(1)英検リスニングテスト

 英検リスニングテストは優れた教材です。私は、中学校2年生4月から週1回の頻度で実施していました。中学校2年生で英検4級を、中学校3年生で3級と準2級を実施します。リスニングテストは3部構成になっているので、3週間で1回分が終了します。

 得点データを蓄積していくと、驚くほど「聞く力」が伸びていることがわかります。3年生の冬には、クラス平均が英検準2級の合格点を超えます。生徒はリスニング力を武器に自信をもって入試に臨みます。

 

(2)英検準2級インタビューカード

  英検準2級インタビューカードは、様々な動きをしている5人の人物が描かれたカードです。【図1】このカードをA生徒が見て、A girl is running after a cat. のように進行形でB生徒に伝えます。【図2】B生徒はA生徒の描写を聞いて場面を想像します。

 準2級のカードには、watering, lifting, feeding, fixing, shaking hands, pulling, pushing, waving, など教科書には出てこない表現があるため、生徒は言いたいけど言えずにモジモジして、「話したい」という知的好奇心が高まります。そのカードの季節を理由を添えて説明させる発展的活動も効果的です。

 この活動は中学校2年生の後半から月に一度程度の頻度で行います。「話す力」が付き「話したい」という意欲が高まります。

                              

第4弾1

【図1】

第4弾2

【図2】


Ⅱ コロナ禍の新潟市の英語教育

1 発音指導はイラストで

 新潟市では5月末から授業が再開されました。教師も生徒もマスクを着用しての発音・音読練習になります。1年生に対する発音指導は、唇や舌の型と動きを黒板に提示したり、スケッチブックにイラストを描いて提示し、生徒の定着を図っています。生徒一人一人の確認はできませんが、生徒はマスクの内側で繰り返し唇と舌の練習をしています。

2 ダイヤの型で

 挨拶や簡単なやりとりは机椅子を移動せず、一定の距離を保ちながら身体だけ向き合ってペアワークを行っています。グループワークでは、机をくっつけることなく4人が机でダイヤの形を作り、一定の距離を保って活動しています。ダイヤの上にホワイトボードを置くことで距離を保ちながらも協働学習をすることが可能となります。

Ⅲ 指導主事として

1 コロナ禍でも

 今年度は、新型コロナウイルス感染予防対策の一環で、当センターでは7月までの研修が全て中止になりました。今後は、ズームやリモートによる研修が予定されています。8月には、ズームによる初任者研修・中堅者研修の指導案指導を行う予定です。その後、秋に授業を参観させていただきます。このように初任者研修、中堅者研修とも日程・内容が縮小されています。  

 この状況の中で大切にしたいのは、face to face の場面です。これまでよりも、先生方と接する時間は短いかもしれません。その分、貴重な時間の中で、受講者である先生方の良さと課題を明確にし、的確な指導助言をしていきたいと思います。

2 よいものを見せる

 全国各地に授業の達人と呼ばれ、毎時間のように生徒の目を輝かせている教師がいます。そのような先生方も、授業スキルが最初からあったわけではありません。必ず、憧れの授業に出会ったはずです。書物やセミナーでの実践発表ももちろん勉強になりますが、教師の心に火を灯すのは、生徒の目が輝く生での授業参観です。

 コロナ禍であっても優れた授業を実践されている教師がいます。その授業を多くの先生方に見ていただける場面を設定していきたいと思っています。

 新潟市教育委員会では、ウィズコロナの教育、取組、研修に向け、知恵を振り絞っている段階です。各自治体の情報を収集し、コロナ禍であっても、こども達の目が輝く授業が全ての学校で展開されるよう、先生方を支えていきたいと思っています。

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