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2024.01.12 教育現場より 学校での英検活用

英語力だけでなく、自ら考え伝える力を育成する。

新居浜市立別子中学校
堀江 歩先生 小野 詩歩先生

コミュニケーション力を大切に育むグローバルジュニアハイスクール

 別子中学校は、新居浜市が立ち上げた「別子中学校 学び創生事業」に基づく「グローバルジュニアハイスクール」として8年目に入りました。過疎地域にある少人数学校であり、地元の生徒が1人、その他は市街地から入学した子どもたちが1学年につき6人在籍する全校生徒19人。地元の生徒以外はみんな寮で生活をしています。
 本校では、未来を切り拓くリーダーの育成を目標に、英語と理数教育に力を入れた創意工夫のある教育課程を編成しています。英語は、通常の中学校では週4時間授業のところを本校では週6時間、英語科教師とALT(外国語指導助手)の2、3人体制をとり、マンツーマンに近いかたちでコミュニケーションやスピーキングを重視した授業を行っています。

 少人数なので、生徒の学習状況が詳しく見えてきます。生徒がつまずいているところがすぐにわかりますし、生徒からも質問がしやすいという利点があると思います。
 他校より多い週2時間の授業では、全校生徒で行う「全校英語」や「英語スピーチ発表会」の原稿作成と練習、「英検対策」などを行っています。

伝える力を養うための、独自のカリキュラム

 「全校英語」では中学生だけでなく、併設する小学校の児童も参加しています。みんな自分が話せるレベルの英語で会話をして、中学3年生ぐらいになると「こうやって言えばいいよ」と小学生を上手くフォローしてくれます。幅広い年齢層が集まる横断的な学びの中から、年齢の低い子どもたちは難しい言葉を使わなくてもコミュニケーションができることを覚え、中学生は下の学年の生徒たちに教える力も身につけています。

 また、「英語スピーチ発表会」は年に1回あり、2年生と3年生が登壇し、1年生は英語で司会を担当しています。スピーチなので、自分が言いたいことがないと原稿を作ることは難しいもの。1年生の頃から先輩のスピーチを聞いて「自分なら何を話すか」を意識していますし、私たち英語教員も日頃からスピーチで何を伝えたいかを問いかけています。それでも初めて取り組む2年生はとても苦戦するのですが、自分の思いが伝わるように考えて、必死に作成しています。原稿を記憶して、発音の練習を繰り返すなど大変なのですが、みんな前向きな気持ちを失わないので、英語学習に積極的に取り組むきっかけの一つになっていると思います。

英語表現の広がりが、英検のメリットのひとつ

 英検は全校生徒19人、全員が受験しています。中学を卒業するまでに準2級を取得したいというある程度の目標がありますが、既に準2級を取得して今は2級を目指している生徒もたくさんいます。本校を準会場として登録しているので、生徒たちはいつもの校舎でリラックスして試験に臨めているようです。英検は年に3回受験と決まっているため学習計画が立てやすいようで、「3年生になるまでに準2級を取りたいから1年生のうちに3級まで取りたい」といった言葉も聞かれます。英検が、生徒それぞれの学習進度に合わせたゴールの役割を担っていると感じています。

 また、英検を通じて、教科書だけではカバーしきれない表現が学べることもメリットだと感じています。例えば、「旅行の予約」「病院での会話」などはなかなか教科書には出てきません。教科書の勉強も大切ですが、英検を通じてさまざまなシチュエーションの英語が学べていると思います。

 3級以上になると二次試験で面接形式のスピーキングテストがありますが、生徒たちは、質問の内容は分かるけれどその答えをどう表現して良いのか迷うようです。授業でカバーしきれない部分ではあるのですが、放課後、生徒たちは自主的に先輩や先生と、寮ではALTの先生と一緒に練習しています。 合格が分かった瞬間は、みんなもう踊り出しそうな勢いで報告に来てくれて、合格したら終わりという感じではなく「次はこの級を受けるね」と話してくれます。

コミュニケーションが求められる時代にあう英語を

 英検の問題がリニューアルすると知ったので、英検協会のオンライン説明会に参加しました。ライティング問題が増えると聞いて、コミュニケーションを求められる時代に合っていると感じました。生徒たちにもそういう意図があるらしいと伝えると、「コミュニケーションは大事」と頷いていましたし、ライティングが増えることを喜ぶ生徒も多かったです。

 少人数クラスという環境も影響していると思いますが、生徒たち自身も話したい、伝えたいという気持ちを強く持っています。スピーキングの授業ではチャットもするのですが、みんなとても積極的に話しますし、「じゃあ、このテーマで書いてみよう」というと臆せずどんどん書いてくれます。

 これまで他の学校にも赴任してきましたが、中学生はライティングが苦手な子が多いという印象がありました。でも別子中学校に赴任後は、会話を重ねて学習などに繋げていくと、いろんな場所で生きてくる、実を結ぶという実感があります。別子中学校の教壇に立つことで、私自身勉強になっています。

 近年、「使える英語」が求められています。別子中学校は「グローバルジュニアハイスクール」として生徒たちとの対話を重ねながら、確かな英語力と自ら考え伝える力、そして未来を切り拓く力を育む場所であり続けたいと思います。

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