海外研修×日常授業で育む、“使える英語力”とグローバル教育
【2024年度 文部科学大臣賞受賞】
安田学園中学校高等学校
グローバル教育推進室 主任
根本 竜太郎 先生
語学力を磨き異文化に触れる、グローバル教育
本校は1923年に創立した中高一貫校で、今年で創立102周年を迎えました。「自学創造」を教育目標に掲げ、自ら考え学ぶ力、そして、創造的学力・人間力を育成することを大切にしてきました。実際、勉強だけでなく、自分が好きなことに一生懸命に取り組む生徒が多い印象です。また、個性豊かで生徒思いの熱心な教員が多く、教員同士の関係性もとても良好で、生徒たちにとっても私自身にとっても、大変恵まれた環境であると感じています。
本校ではグローバル教育に力を入れており、アメリカ、ニュージーランド、オーストラリア、韓国などへの海外研修をはじめ、語学力を磨き異文化に触れる機会を多く設けています。一例を挙げると、中学3年生の時にはニュージーランド短期留学があり、夏休みに3週間、現地の学校で学びます。希望制ではあるものの学年の全生徒が希望しても対応できる枠数を用意しており、例年とても多くの生徒が参加しています。
また、特徴的なのが、「海外授業擬似体験」というプログラムです。夏休み期間中の3日間、朝から夕方まで英語漬けで過ごします。1コマずつ担当する先生が替わり、例えばガーナ出身の先生、ボリビア出身の先生など、英語圏以外の先生の授業もあります。ネイティブの英語や欧米のカルチャーだけでなく、いろんな英語や異文化に触れる貴重な機会となっています。
オンライン英会話を組み込んだ週7単位のカリキュラム

英語の授業は週7単位。ネイティブの教員による授業、日本人の教員による授業に加えて、週1回、オンライン英会話の時間を設けています。フィリピン人講師とマンツーマンで行う1回35分間のもので、生徒にとっては学んだ英語を使う実践の場となっています。また、オンライン英会話は自宅でも年間80回まで受講可能で、長期休みなどに集中的に受講するなど、生徒はそれぞれのペースで活用しています。
通常の授業では、4技能5領域をバランスよく指導することを意識しています。私自身が大事にしているのが、いわゆる「落ちこぼれ」をつくらないこと。英語の授業ではペアワークやグループワークの機会が多いですが、そこで誰かが取り残されてしまう、その生徒を置いたまま話が進んでしまうということのないよう、目配り・気配りや声掛けをしています。また、こうしたアクティビティの様子や課題の提出状況など、生徒に「あなたの頑張りをちゃんと見ているよ」と伝えることも大事にしています。
英語学習において重視しているのが、語彙力の養成です。楽しみながら覚えてもらえるよう、英検の級ごとに出題される英単語アプリの使用を推奨しています。ゲーム感覚で取り組めると、生徒にとても好評です。加えて、「英単語コンテスト」を年3回開催。個人戦やクラス対抗戦を設定し、競い合いながら単語テストに取り組んでもらっています。高校生の英単語コンテストは1年生から3年生まで同じ問題のため、下の学年が上の学年に勝つことを「下剋上」と称して、生徒たちはお祭り気分で盛り上がっています。
学年ごとに英検の目標級を設定。高3で準1級まで目指す
英検については、毎回とても多くの生徒が受けています。数にすると1,000人ほどでしょうか。理由としては、学年ごとに目標級を設けていることが大きいと思います。中学校の目標級は、中1で4級、中2で3級、中3で準2級に設定し、中1・2はほぼ100%、中3では8割程度が取得しています。また、高校では、高3までに「準1級まで目指そう」「自分のペースでより上の級を受けよう」という雰囲気が学校としてできていると感じます。学年集会や保護者会で、「英検2級以上をもっていると大学受験で武器になる」と折に触れて話していることも、生徒や保護者に英検取得への理解が広がっている背景にあると思います。
より上の級を目指すことも大事な一方で、生徒には英検2級を完璧に仕上げることの重要性も伝えています。夏期講習などの特別講座では英検2級の過去問を扱い、すでに2級に合格した生徒にも「英検2級レベルの英語を100%確実にしておくことが、大学受験で活きてくる」と伝え、取り組んでもらっています。
英検対策として特別なことはしていませんが、二次試験の面接については、英検準1級以上をもっている教員が面接官となり、放課後に希望制で練習をしています。英検を受けて合格することはもちろん大事ですし、大学受験に役立つのも事実ですが、英検に向けて4技能をバランスよくトレーニングすることを通して「使える英語力」を身につけてほしいというのが私の願いです。生徒からすると、リーディングだけのほうが楽かもしれませんが、それだけじゃ不十分なんだ、リスニングもライティングもスピーキングも大事なんだということを、英検を通して知ってほしいです。海外研修や海外授業擬似体験も含めて、「英語を使うって、なんか楽しい!」「伝わるって、うれしい!」と感じてもらい、英語が使えると世界が広がることを体感してもらえたらうれしいですね。
海外進学も視野に入れた進路選択を後押ししたい
本校の生徒の進学先は、現状では国内の大学がほとんどです。海外の大学も含めて広い視野をもって検討したうえで、自分に合った進学先を選んでほしいという思いから、グローバル教育推進室の主任になった今年からは、セミナーなどに積極的に参加して海外の大学の情報を集めています。また、海外進学は費用面での負担も大きいので、奨学金などの情報も集めて、保護者の方にご提供できるよう勉強中です。
トレーニングが手薄になりがちなスピーキングやライティングを強化するために、最近はAIツールの活用も進めています。ライティングの添削ツールについては、昨年から導入しているものの十分に浸透していないので、活用を推進していきたいと考えています。また、スピーキング(発話・音読)に対して判定やフィードバックをくれるAIツールなども出ているので、今後は導入を検討したいと考えています。特に、英作文の添削などは教員にとっても負担が大きいので、AIの力も借りつつ、生徒に最大限に還元できるような指導法を模索しているところです。今後は、全国の英語の先生方とも情報を交換しながら、より良い英語教育のあり方を共に追求していきたいと思っています。

