#1「英検」研究助成 研究により達成したい私の想い【研究部門】
第36回「英検」研究助成の入選テーマが8月14日に発表されました。入選された方々それぞれには、自らの研究により達成したい思い、改善したい課題があります。そんな入選者の熱い想いを皆様と共有いたします。
第1回の今回は、研究部門より2名の研究テーマと想いを紹介します。
樫村 祐志さん(明治大学大学院)
研究テーマ:中学生及び高校生の英語学習エンゲージメントに関する実証的研究:文脈的モデルの妥当性検証
この度、私は「中学生及び高校生の英語学習エンゲージメントに関する実証的研究:文脈的モデルの妥当性検証」というテーマのもと、研究をさせていただくこととなりました。本テーマを選んだ背景に、「理論と実践の橋渡し」が可能であるというエンゲージメントの特徴が挙げられます。これまでの研究では、やる気(=動機づけ)が高いからといって必ずしも良い結果につながるとは限らず、実際の行動(=エンゲージメント)に注目することが重要だとされています。また、エンゲージメントを高めることで、良い成果につながることも明らかになっています。この研究では、心理ネットワーク分析を用いて、エンゲージメントとその周辺要因の関係を明らかにし、どの要因を高めることで効率的に良い成果に繋げることができるか、示唆することを目指します。最後に、このような貴重な機会を与えてくださった公益財団法人 日本英語検定協会の皆様、選考委員の皆様に心よりお礼申し上げます。
久保 佑輔さん(筑波大学大学院)
研究テーマ:結束性指標に基づく日本人英語学習者のエッセイライティングスコアの予測
この度はこのような貴重な研究の機会をいただき、誠にありがとうございます。今回の研究では、自動英文解析ツールであるTAACOを用いて、ライティングスコア (英文構成に関する観点のスコア) を予測する結束性指標を明らかにすることを目的としております。以下では、本テーマを研究するに至った経緯について説明致します。
学習指導要領の改訂に伴い、高等学校では「論理・表現」が新設されました。この科目では、論理性や一貫性のある文章を書く発信能力の育成を目標の1つとしています。また、英検やTEAPなどの外部試験の採点基準においても、英文の構成や流れを評価する観点が含まれています。従って、このような文章内の語や文の結びつきを指す結束性は、ライティング指導や評価において重要視されていると言えます。しかしながら、どのような結束性指標がどの程度学習者のライティング熟達度と関連するのか、先行研究間で結果が一致していません。
そこで本研究では、学習者コーパスであるICNALEにおける日本人英語学習者が産出したエッセイに焦点を当てて、ライティングスコアに影響を及ぼす結束性指標の検証を行います。本研究結果がライティングの質を高める指導の考案や、ライティングのルーブリック作成などの一助となれるよう、研究を進めて参ります。