一貫校の強みを生かし、世界市民にふさわしい英語教育を。
関西創価小学校
竹内 真弓先生
英語を身近に感じる環境を整えた小中高一貫校
創価学園は小中高12年の一貫教育体制を整えており、その入り口に当たるのが関西創価小学校です。1クラス32人ほどで1学年に3クラス、全校児童は約570人になります。校舎は大阪府枚方市にあり、府内だけでなく京都や奈良、兵庫から1時間ほどかけて通学してくる児童も多くいます。
私は関西創価高等学校で10年ほど教えていましたが、小学校の英語が必須になった2020年に異動し、関西創価小学校に赴任して今年で4年目になります。
本校では低学年のうちから、関西創価中学校、関西創価高等学校に在籍するネイティブの教員たちと交流する授業を設けています。
また、高学年に対しては、アメリカの大学に進学する関西創価高等学校の生徒や海外経験を持つ先輩たちと懇談する機会を作っており、先輩達から小学生の頃はどんな風に過ごしていたか、これからアメリカの大学で何を学ぶかなどを話してもらっています。
先輩たちの話を聞くと、自分の将来像が想像しやすいようです。実施後のアンケートでは海外に行ってみたい、先輩が通う大学を見てみたいなどの回答が見られました。
この他にも、創価大学の留学生との交流や、6年生はフィリピンのセブ島の講師とウェブ上で会話する「オンライン留学」も実施しています。
楽しくバリエーション豊富な授業内容で、まずは英語の音に親しむ
本校は、12年の一貫教育の中で創造性豊かな世界市民の育成を目指しています。それぞれの年齢で最適な学習を行うために、小学校では「読書」「語学」「体験」の3つを学習の柱としています。
柱のひとつである「語学」は、英語学習になります。通常の学校の英語授業は、小学3年生から週1時間程度、5、6年生で週2時間程度ですが、本校では1〜4年生で週に2時間、5、6年生で週3時間としています。そのうちの1時間は、ほぼ毎朝、12分の短時間授業を行う「モジュール授業」になります。他の教科の授業時間が決まっている中で英語の時間を増やすのは難しく、工夫の中で生まれた「モジュール授業」なのですが、毎日少しずつでも英語に触れていると習得が早いという実感があります。
基本的に1年生はフォニックス(スペルと発音の規則性を学び発音する学習方法)が中心です。フラッシュカードや歌、リズムにあわせて発音する「チャンツ」も取り入れています。初めて英語に触れる児童たちが飽きることなく楽しく取り組めるように、バリエーション豊富な学習を取り入れています。
英語の音の習得は低学年になるほど早く、フォニックスを難しく感じている児童はほとんどいないと思います。
リスニング力を養うために「英検Jr.」を活用
姉妹校の関西創価中学校では、毎年全員が英検を受験しています。関西創価高等学校では、創価大学の内部推薦に英検の取得級が考慮されています。
小学校で英検を採用することもできますが、本校では「英検Jr.」を選びました。オールリスニングのテストという点が、小学生の英語教育に適していると感じています。また、合格・不合格ではなく正解率が提示されるので、がんばりが結果として見えるため励みになっているようです。
「英検Jr.」はBRONZE・SILVER・GOLDの3つのレベルに分かれていますが、BRONZEとSILVERは満点を目指せる児童が多く、GOLDになると少し難しくなるので、6年生では教材として「英検Jr.オンライン版」の「ラーニング」を導入しています。
学校では「英検Jr.」を活用していますが、個人で英検を受験して5、6年生で5級、4級を取得している児童もいます。5年生で準1級を目指していたり、低学年でも2級や準2級を取得したりと、幼いうちから熱心に取り組むご家庭も少なくありません。
英語の学習が進んでいる児童には、英語に関わる色々な行事で司会を担当してもらうなど、活躍できる場をつくっています。児童間の学習レベルにどうしても差はありますが、全員が無理なく英語の行事や授業に参加できるよう配慮しています。
各年代で、一人ひとりの能力を最大限に引き出すために
小学校では英語を楽しみながら、アルファベットが書ける、習った単語や文章が書ける、あとは簡単な自己紹介ができるといった基礎的な学習を固めることを目指して授業を行ってきました。年々、児童たちのレベルが上がっていると感じています。
私は、関西創価中学校の英語授業も週に4時間担当しています。中学校では1年生から2級以上の取得を目指す生徒もいて、やはり生徒間の学習レベルに差が生まれています。そのため、中学校では一斉授業だけでなくそれぞれの学習状況にあわせたサポート体制も視野に入れています。
中学校の学習状況を見ながら、小学校から中学校へ学習がスムーズに移行できるように、小学校ではもう少し学習内容を充実させようと計画をしています。小学生は読むのも大好きなので、来年度から多読を導入する予定です。絵本を音読する、音声付きの絵本を読むなどを積み重ね、できたら5、6年ぐらいで短い本が読めるようにしたいと考えています。これから、英検5級レベルを参考に、リーディング力とリスニング力を高めてゆくつもりです。
小中高の12年を通じて、世界市民として活躍するリーダーの育成を目指す本校。小学校でも子どもたちの可能性を最大限に引き出す体制を整えるため、これからも試行錯誤を重ねてゆきます。