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2021.11.05 教育現場より 先生のための授業参観

【第21弾】コロナ禍における新天地での挑戦

茨城県立水戸第一高等学校
教諭 花沢 典行 先生

1. はじめに

 水戸第一高等学校は、県内随一の歴史と伝統を有し、明治11年の創立で、平成30年度には140周年を迎えました。3万6千人を超える卒業生が、政財界、司法・教育、医・科学・芸術など各界各層で活躍しています。また、真理を愛する「学問第一」の伝統と生徒の「自主自立」の精神を重んじた自由な校風が特色の学校です。下の写真は本校の薬医門で、生徒たちは毎朝この門を通って登校してきます。

薬医門-1
 初任校の太田第一高等学校、前任校の取手第一高等学校、それぞれ5年間ずつの勤務を経て、昨年4月に本校に赴任しました。今年度は1学年の担任で、担当学年の教科指導の取りまとめも行っております。伝統校での指導にプレッシャーや不安がありますし、コロナ禍による教育活動には様々な制約があります。しかし、生徒と過ごす日々は毎日が新たな発見の連続で、英語教師として大変充実した時間を過ごすことができています。

2. 実践の紹介

①5年後・10年後の英語学習者としての理想の姿
 多くの第二言語習得の研究において、英語を学習する上で最も重要なことの一つは「モチベーション」であると言われています。英語学習者としての理想の姿はどのようなものかを具体的に思い描けること、そしてそのイメージを持ち学習を継続できることが大切であると言われています。
 そこで、入学時の教科のオリエンテーションの際に、「5年後・10年後の英語学習者としての理想の姿」を生徒たちに考えさせ、書き出してもらいました。生徒たちは思い思いに、「外国へ移住」「外国人とお付き合い」や「海外で勤務」「研究のために留学」「英語の論文を読みこなす」「国際的な学会で発表」など、それぞれの「英語学習者としての理想の姿」を書き出していました。
 意外と単純なことかもしれませんが、生徒たちにそういった姿を具体的に思い描かせること、そしてそれを私たち英語教師が把握しておくことは、必要なことであると同時にとても重要なことではないかと考えています。

②生徒の意見・考えを発表する活動の充実
 コミュニケーション英語の授業では、必ず教科書の各レッスンの課末活動として、関連したトピックでの表現活動を設けるようにしています。例えば、教科書の本文でピアニストの辻井伸行さんについて学んだ後、One of the experiences you felt “the power of music.”について話す活動を行ったり、食品ロスと貧困問題に取り組むNPOのセカンドハーベストジャパンについて学んだ後、If you have an opportunity to start an NPO, what kind of NPO would you like to establish?について書く活動を行ったりしました。
 音楽が受験や失恋の際に支えてくれた経験や、中学校時代の合唱コンクールで築いたクラスメイトの絆について、また環境や教育などの自身が考える社会的な問題とその解決方法等について、生徒は互いに自分の意見や考えを積極的に表現し合っていました。
 このような言語活動を通して、総合的な英語力だけでなく、その背景にある思考力や仲間と協働する姿勢を養っていきたいと考えています。

③言語活動を通した表現の定着
 英語表現の授業では、「文法のための文法」の指導にならないよう心がけています。生徒のほぼ全員が大学受験を目指してはいますが、いわゆる穴埋め問題や書き替え問題などが学習の最終目標にならないように指導をしています。具体的には、ターゲットとする表現が使用される目的・場面・状況を明示した上で、学習事項の導入と指導を行い、言語活動を通した表現の定着を図っています。例えば、受動態についてのレッスンでは、生徒に好きな本や音楽・美術の作品などを紹介させる場面を設定して、その言語活動の中で受動態の定着を図りました。実際のコミュニケーションと言語材料を結びつけることにより、「文法はコミュニケーションを支えるもの」であることを生徒に示したいと考えています。

3. おわりに

 この原稿を執筆中もコロナウイルス感染者数の増加は止まらず、茨城県では9月からの休校や緊急事態宣言の延長が検討されています。先行きが不透明な世の中ではありますが、コロナ禍によるコミュニケーション手段の変容により、テレビ会議システム等を用いて、これまでよりも容易に世界とつながることのできる世の中にもなりました。このような世の中を生きていく生徒たちに身につけさせるべき資質・能力はどのようなものなのか、そのために英語教員として自分たちにできることは何なのかを考えながら、今後も生徒たちの指導に取り組んでいきたいと思います。

校舎

 上の写真は本校の校是の碑です。本校の校是は「至誠一貫」と「堅忍力行」。生徒たちがモットーとする校是ですが、私たち英語教員も、「最後まで誠意を貫き通す姿」、「困難があっても強い意志で耐え忍ぶ姿」を見せることにより、生徒たちに感じ取ってもらえるものが必ずあると信じています。

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