【第27弾】コミュニカティブな授業づくりと、高大連携での英検指導
北星学園大学附属高等学校
秋山 浩美先生
北星学園大学附属高等学校は、北海道札幌市に位置する、キリスト教の精神に根ざした男女共学校であり、大学・専門学校の進学率は90%を超える道内でも有数の進学校です。今回、お話をお伺いしたのは、前任校での指導歴も合わせて教員歴10年目の秋山浩美先生。出身校の北海道札幌国際情報高等学校(当時スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール指定校)での経験なども加えた英語教育への想いや、特徴的な英検対策についてお話しいただきました。
間違いを恐れず発言できる、コミュニカティブな雰囲気を大切に
本校では、訳読の授業はほとんど行いません。教科書のトピックを用いてライティングや会話の練習を行い、早い段階からパフォーマンステストを取り入れています。
授業で心掛けているのは、「間違ってもいいよ」という雰囲気づくりです。もちろん、正確性が求められる場面では指導方法を変えることもありますが、基本的にテストなどの文法問題以外はパーフェクトを求めません。生徒の言ったことに対して「それは違う」という正し方をすることも、ほとんどないですね。相手に伝えるということを重視して、「今の言い方でも通じるけど、こうしたらもっといいよね」と、否定しない指導を心掛けています。みんなが間違いを恐れず発言できるので、授業の雰囲気はにぎやかです。「否定しない」というのは、本校の英語指導の方針だけにとどまらず、私自身の教育観でもあります。
大学生によるサポートで英検二次試験の合格率アップ
北星学園大学には100名の指定校推薦枠が設けられており、推薦には、英検の級に一定の基準を設けております。また、英語外部検定利用入試を実施する大学が増えてきていることから、希望の進学先に進むために、1年生全員で英検を受験しています。
本校では年3回全ての検定を実施しており、より多面的に面接の練習をしてもらうため、二次試験の面接対策には北星学園大学の英文学科・短大部英文学科の学生に協力してもらっています。
英検受験生100人程度に対して、学生は15人。北星学園大学は教員の輩出率が高く、模擬面接をしてもらう学生の中には教員志望の学生もいます。附属高校である本校から北星学園大学に進学した学生もおり、中には高校生の時に面接練習をしてもらった経験から、母校に対しての恩返しとしてや、今度は教える側になりたいと思って、快く協力してくれる学生もいます。
また、なるべく多く面接練習に取り組んでもらえるよう、スタンプカードを取り入れています。生徒が模擬面接に取り組む回数は平均2~3回ですが、最大で大学生15人の指導を受けられるので、積極的な生徒は何度もチャレンジしています。面接練習をするのとしないのとではその効果も違うので、学級担任にも理解と協力をいただき、学校全体で生徒に勧めています。模擬面接官である学生とは年齢が近く質問しやすいようで、多くの生徒が活用しています。
また、本校で英検に積極的に取り込む理由の一つとして、生徒たちの英語力を把握しやすいという点もあります。英検はスコアに加えて合否でもフィードバックしてくれます。合格まではどのくらいか、合格したらその喜びを糧にして、さらに上の級にチャレンジしようというモチベーションも高まります。また指導者にとっても生徒への助言等にも使いやすい試験です。
英検の試験内容を授業でも活用
英検のライティング問題にはタイムリーな時事的内容が多く含まれており、教員もその内容を参考にさせていただいております。
また英検のライティング問題はもちろん、大学入試の小論文問題などにも、「自分の意見を書く」という問題があります。「単に日本語を英語に訳して書く」ということだけでなく、「自分の意見を持ち、それを英語で表す」ということを意識して指導しており、生徒たちも書いたり話したりしております。それが英検の学習だけでなく、コミュニケーション能力の4技能の育成につながります。
また、本校には「イングリッシュクラブ」という部活動があるのですが、部内でディベートを行ったり、スピーチコンテストに出場したりするなど、授業外で英語力や思考力・表現力を伸ばす環境もあります。
英語を「言語」として使えるようになってほしい
私が卒業した札幌国際情報高等学校では、英語を「教わるもの」というより「使うもの」、つまり「言語」として学びました。今では当たり前のアクティブラーニングも当時から取り入れていましたが、卒業してから、そのありがたみが分かりました。
将来、英語を使う機会がないと思っている生徒もいるかもしれません。しかし、英語でコミュニケーションが取れれば、多くの方と話すことで親睦が深まります。
道で迷っている観光客の方などには、学んだ英語を生かして、自ら声をかけて手助けできるようになってほしい。いろいろな情報を、英語を通して収集できれば、さらに世界が広がります。生徒には真の国際人として、様々なフィールドで活躍してほしいと願っております。