イマージョン教育の推進 ~より高い英語とフランス語の力 豊かな日本語の力を育成~
【2024年度 日本英語検定協会賞受賞】
暁星国際流山小学校
校長 佐藤 智子 先生
教頭 槇野 由起 先生
※2025年秋に取材した内容です。現在の情報とは一部異なる場合があります。
外国語と母語の双方を大事にし、真の国際人を育てる

暁星国際流山小学校は、2016年に千葉県流山市に開校した小学校です。「世界を広げる言葉を学ぶ」「真の国際人を育てる」の教育理念のもと、週の半分以上を外国語で学ぶ特色ある学校です。英語だけではなくフランス語も学びますが、英語やフランス語が話せれば国際人かというと決してそうではありません。母語である日本語による思考力や判断力・表現力を磨き、日本の歴史や伝統、文化、社会などをしっかりと学びつつ、世界についても理解を深め、国際人としての知識とセンスを磨いていく。それにより、真の国際人に近づくと私たちは考えています。
授業については、例えば今年度1年生の場合は週39時間のうち21時間を外国語で進めます。ネイティブの教員が担当する授業もあれば、英語の話せる日本人の教員が担当する授業もあります。英語は月〜土曜日、フランス語は月〜金曜日とほぼ毎日あり、英語、フランス語、算数、生活、図工、宗教教育については英語で授業を行っています。学年が上がると、ICTの授業やライティングに特化した英語の授業なども増えます。外国語で行う授業ではネイティブ教員がオックスフォード社の教科書を使用し進めますが、学習指導要領を踏襲するため、算数や理科については日本の検定教科書を使用した日本語での授業も取り入れています。
また、各学年に「ラーニングテーマ」を設けており、それに応じて授業づくりをしています。1年生のテーマは「日本と世界の遊び」で、コマやメンコといった日本の昔ながらの遊びや世界の遊びを体験を通して学びます。2年生は「日本と世界の生き物」、3年生は「日本と世界の暮らし」、4年生は「日本と世界の習慣・伝統行事」をテーマに、各自で調べ学習や発表を行います。5年生では「世界の今と平和」と題して、長崎への修学旅行に向けた平和学習を行い、最終の6年生では「世界への貢献」というテーマのもと、自分たちができることは何かを考えていきます。
加えて、国語と英語の授業のうち週1時間を、それぞれ「スペシャルジャパニーズ」「スペシャルイングリッシュ」といったラーニングテーマについて深めアウトプットする時間にあてています。そして2学期には日本語でのスピーチ大会、3学期には英語でのスピーチ大会を開催し、1年生から6年生まで全児童がラーニングテーマに紐づいたスピーチを披露します。
初歩からより高いレベルの英語力へと導く教育課程

本校では帰国子女の比率は20%ほどで、入学時の英語力としては、アルファベットがAからZまで大文字・小文字で書けること、アルファベットで自分の名前が書けることを条件としています。ここ数年はインターナショナル・プレスクールなどからの入学者も増えていますが、入学時に求めるレベルは決して高くはなく、小学校から本格的に英語を学び始める児童も広く募集しています。
英語の授業では、英語を母語とする子どもたちが学ぶのと同様のカリキュラムで、国語でひらがなから学び始めるようにABCから学んでいきます。4技能を身につけていきますが、「聞く」については普段から英語を耳にする機会が多く自然と力がつくので、授業では「読む」「書く」「話す」を中心に技能を磨いています。
母語である日本語で深く考え、豊かに感じ、それを表現する力を育てることが英語の力をより高いレベルで身につけることにつながります。この力が育っていないと、英語は話せるけれど中身がないということになりかねず、英語力自体も頭打ちになってしまいます。語るべきものをもった人に育ってほしいという願いを込めて、本校では読書推進活動に力を入れてきました。読書により思考力や語彙力が高まり、さまざまなジャンルの本を読むことで知識も身につきます。図書館には、日本語の本だけでなく英語やフランス語についてもたくさんの書籍を揃えています。
5・6年生の86%が英検準2級以上を取得
英検については、準会場の指定を受けていることもあり、意欲的に挑戦しましょうと呼びかけています。本校の児童の多くは私立中学を受験するのですが、昨今は英語が試験科目に含まれる学校や、英検を取得していると優遇される学校がとても増えています。英語でエッセイを書いたり、ネイティブの先生と面接をしたりといった入試の内容はまさに英検のテストと同じで、英検に取り組むことは児童にとって大きなアドバンテージになり得ます。
実際、英語力や英検を活かして受験する児童は全体の6〜7割に上っています。英検級取得率も高く、一昨年は卒業生の約20%が英検準1級を取得し、1級取得者もいました。また、昨年度は5・6年生の86%が準2級以上を取得しています。
英検対策については、保護者からのご要望を受けて、今年度の夏休みの夏期講習において対策講座を初めて開講しました。級別にクラスを設置し、主に過去問演習や文法など本校の児童が苦手としがちな一次試験対策に取り組みました。クラスに異なる学年が混じり合う環境は適度な緊張感があり、児童たちは集中して取り組めていたと感じます。保護者からも好評でしたので、来年度以降も継続を予定しています。
英検は児童にとって大きな励みになっています。目標を達成した喜びが自己肯定感を高めますし、周囲から「すごいね」と言ってもらえることも自信につながります。保護者にとっても、中学受験に役立つことに加え、どのくらい英語力が身についているのかの客観的な指標となるため、英検級取得への要望は高くなっています。
子どもたちにはどんどん上の級を目指してほしいと思う一方、ギリギリで合格した場合などは、穴のあるまま次の級に進んでしまう危うさもあると感じてきました。そんな矢先、ある4年生が英検4級に満点で合格し、英検協会から満点賞をいただきました。子どもたちには、どの級であっても満点を取ることの価値を伝えたうえで、「レベルの高い級に合格することもすごいけれど、とにかく受かればいいというだけのものではないんだよ」ということを伝える良い機会になりました。
世界中のいろいろな人と生きたコミュニケーションを通して交流を深め、国内外で分け隔てなく活躍したいと望むならば、AIの翻訳機能がどれだけ進化しようとも英語力は必須です。スキルとしての英語力だけでなく、深く考えて大切なことを見極め、他者と対話やディスカッションをする力、つまり、英語を使って何をするのかという根幹の部分を、本校ではこれからも育てていきたいと考えています。


