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2023.05.11 教育現場より 先生のための授業参観

【第29弾】子どもの能力を引き出す、いま実践すべき教育とは~IB認定校・英数学館の取り組み~

学校法人 広島加計学園
英数学館中・高等学校 校長
土屋 俊之先生

創立者とIBに共通する世界平和への想い

 創立者である加計勉先生は広島出身で、戦争の凄惨さを知っています。2度と戦争を起こさないように子どもたちの教育が必要だという思いと、子どもたちに世界中にいろいろな国の友だちをつくってほしいという願いもあり、英数学館中学校を開校しました。IBの使命にある「多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、より良い、より平和な世界を築くことに貢献する、探究心、知識、思いやりに富んだ若者の育成を目的とする」と共通しているのです。そのような背景もあり、ぜひIBを取り入れたいと認定校を目指すことになりました。

 本校の理念は「子どもの能力を最大限に引き出す」ということ。Educationの語源がラテン語で「エデュカーレ-引き出す-」と言われているように、その子の能力を引き出すことこそが本当の教育です。“教育”は教えて育む、“教員”は教える一員と書きますが、インプットばかりでアウトプットがテストによるもの中心で、子どもたちが自ら考えて行動する機会を奪うばかりでは何の意味もありません。ですから、教員の理想は“授業中に極力しゃべらない先生”だと思っています。アメリカは特にそうですが、いい先生はしゃべらない。しゃべるときは、ディスカッションの軌道修正をするファシリテーターの役割をするときだけです。

学校と家だけの世界から飛び出し、第3のコミュニティをつくる

 現在、取り組んでいるのは、学校以外のコミュニティを持たせる活動です。実施してみて分かったのは、生徒が家と学校以外のコミュニティに飢えていたということです。IBクラスの生徒は、教室以外で英語を話す機会はほとんどありません。海外に1か月でも行きたい人はいるかと聞いたら、たくさんの子が「海外で生活をしてみたい」と手を挙げました。実際に海外に連れて行くと、英語を使ってこれまでの学びの成果を実感でき、本当に楽しかったようです。生徒たちの様子を見て、今からもっと社会と関わる体験をしないと、学校の中だけに留まっていてはもったいないと改めて感じました。

子どもの心が揺れた瞬間を見逃さず、社会とどうつなげるか

 今の子どもたちは満たされているからか、エネルギーが低く、海で言うと「凪」の状態の子が多いと感じます。それに「~をやりたい」という「欲」の波をつくるのが学校の役割です。

 先日、ある生徒が映画『海猿』を見て「潜水士になりたい」と言い出しました。潜水士として理想の生き方をしているモデルを探したところ、広島県内で見つけたので、事前に教員から連絡をした上で生徒自らアポイントメントを取り、会いに行ってもらいました。実際に話を聞いてみると思った世界と違う部分もあったようですが、潜水士の魅力も実感し、大きな気づきがあったようです。そこでよかったのは、「潜水士になりたい」という波が来ているうちに会いに行かせたことです。生徒の心が動く瞬間を見逃さずに、意欲が生まれたその時に勝負していくことが教員の仕事だと思っています。これを繰り返し、「こういうことに自分は向いている」「こういうことに喜びを感じる」との価値観に気づくことができたら、それは生徒たちの人生の宝になると考えています。

 


英数学館の英検活用について

 英数学館では、英語の学習進度を確かめるために、英検を積極的に活用しています。2023年度は中・高の在校生約180人のうち、英検1級合格者が中・高それぞれ3人ずつ、準1級合格者が22人。英検は級で分けられているのでレベルが分かりやすく、それが生徒たちの自信と、次への学習意欲につながっているようです。ここでは英検準1級合格者の声をご紹介します。

山本 耀巳(やまもと てるみ)さん(高3・英検準1級取得) 

医学部受験に向けて、英検1級を取得したい

 小学校2年生の時に、英数学館に入るために広島市内から引っ越してきました。この学校の学びは、他とは全く違いました。周りには、外国人の先生と英語で話せる友だちばかり。途中から入ったので初めは英語が話せませんでしたが、友だちや先生のサポートもあって乗り越えられました。

 将来は、「誰かに必要とされて生きていきたい。誰かのために生きていきたい」と思っています。自分の得意な教科や興味のあること、自分の目指す人物像と照らし合わせた結果、医者になることが一番の目標となりました。

 医学部を志望するうえで、英検は大学受験でも有利になるので、高校のうちに1級を取得したいと思っています。

髙本 一花(たかもと いちか)さん(高2・英検準1級取得)

何度もチャレンジして、準1級に合格!

 小学校1年生から英数学館に入学しました。将来は、今の自分が見てかっこいいと思う大人になりたいと思っています。今は、目の前にあることを頑張りながら学んでいき、数年後に進路を決める時に、色んな選択肢の中から選べるようになりたい。英数学館は先生や友人にさまざまな国の人がいて、習慣や価値観が違うので、自分自身の視野が広がると感じています。

 英検は、昨年の春に準1級に合格しました。年に1~2回受験し、何度もチャレンジして合格したので、嬉しかったです。英語の授業中に英語力が上がったと感じる時に、英検をまた受けてみようという気持ちになりますが、年に3回の機会があるので、チャレンジしやすいですね。

魏 愛怜(うぇい あいりん)さん(中3・英検準1級取得)

英検を機に、時事に興味を持つようになりました

 もともと中国のインターナショナルスクールに通っていましたが、父の仕事の関係で小学2年生の時に日本に帰国しました。IB系の学校を探していたところ、英数学館を見つけて転校してきました。

 英検は中学1年次に準1級を取得したことで、自信につながりました。準1級は政治や環境の話題もよく出てくるので、そういったことに興味を持てるようになります。対策のために以前はあまり見なかったニュースも見るようになりました。今年の夏ごろには1級を取得したいと考えています。

 将来は、小児科医になるのが夢です。私には英語という武器があるので、日本だけでなく医療の行き届いていない国で働いて多くの人の助けになりたいと思っています。

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