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2024.02.29 教育現場より 学校での英検活用

個性的なカリキュラムで、一人ひとりの学力と人間力を育成。

翔凜中学校・高等学校
校長 栗原 康徳先生

国際色豊かな環境で、コミュニケーション能力を養う

 翔凜中学校・高等学校は、千葉県にある国際科の一貫校です。中学校は一学年に50〜60人、高等学校は一学年に180〜200人の生徒がさまざまな地域から集まり、学んでいます。寮生活をしている者が200人近く、高等学校には留学生が全体の2割弱います。最近は不登校傾向の生徒も、数人が入試をクリアし入学しています。いろいろな生徒がいるのが当然という雰囲気のおかげか、不登校傾向だった生徒も8、9割くらいの出席率で通学できています。
 本校の校長に就任する前、私はメガバンクに勤めていました。支店長、本店部長、そして人事採用にも携わりました。その頃から気になっていたのが、若い人たちのコミュニケーション能力の低下です。コミュニケーション能力は、社会に出た時にまず必要とされるもの。その能力を支えるのは、プレゼン力とディベート力といった、相手の意見をしっかり聴き、自らの意見を正確に伝える力です。
 この力を養うために、本校では中学1年から「ビブリオバトル(参加者それぞれが推薦本をプレゼンし、投票で1位を決める書評合戦)」を実施し、校内で選手権大会も行っています。さらに高校3年では「公開ディベート」を伝統行事として実施しています。まずは卒業までに日本語で、相手の意見をしっかり聴き、自らの意見をしっかりと伝える力を身につけてほしいと思っています。

個々の能力を高めてゆく「オーダーメイド型授業」

 生徒が多様化している今、英語の能力も多様化しています。留学生だけでなく、帰国子女もいますし、親御さんが外国の方である生徒もいます。小学校で既に英検2級を取得した生徒がいる一方で、どうしても英語が苦手だという生徒もいます。そういう状況で行うべきは、「オーダーメイド型授業(個別最適)」だと思います。
 翔凜中学校では公立校の倍くらい英語の授業を行いますが、生徒のレベルにあわせて週に何時間かは、授業をレベル別にしています。トップ層に対しては、別室でネイティブ講師と一緒に英語オンリーの授業を行います。また、今年から高校2年の希望者を対象に、神田外語大学との「高大連携プログラム」をスタートさせました。4、5ヵ月にわたり毎月、神田外語大学で90分2コマの授業をします。最初は日本語でディベートをして、最終的には英語で行うことを目指します。カリキュラムの最後は、福島県にあるブリティッシュヒルズで英語漬けの合宿を行います。
 また、高校2年では第二外国語として韓国語、中国語が選択できます。挨拶やちょっとした会話など初歩的な内容になりますが、韓国や中国の留学生と話をして通じた時にはとても嬉しいようで、その成功体験が英語学習にもとても良い影響を及ぼしています。「語学」というと勉強になりますが、言語は生きるために欠かせない「生活語」です。学んだ言語を、身近にいる人とのコミュニケーションのために活かしてほしいです。 

志望校への合格を、英検でバックアップ

 (学年によって)週に1~2コマ、英検対策の授業も行っています。当然生徒によって受験級が違うので、タブレットを使って個別に指導をしています。本校を英検の準会場にしており、毎回多くの生徒が受験するので、恒例の一大イベントになっています。推奨級を大きく上回る級を取得した生徒には、校長賞を授与しています。漢検と数検でも同様に表彰しているのですが、やはり英検がメイン。受賞した生徒たちは、本当に嬉しそうに最高の笑顔を見せてくれます。  
 定期テストで学年トップを取っても、志望校に合格するとは限りません。英検を客観的な指標として、全国レベルで生徒達の学力を測ることができます。さらに、一番大きな意味を持つのは、大学受験の一般入試や推薦入試に役立つことです。
 私が学生の頃は、2級を持っていても英語が話せないという人もいました。2016年に英検が4技能化の改革をしてから、より良く変わったと感じています。今は2級取得者であれば会話もできるし、聞くこともできる。その結果、大学入試で英検が積極的に活用されるようになったのです。
 2024年には英検の問題形式がリニューアルされるので、英語科の教員が対策をすすめています。また、2025年から新設級ができる予定です。これまでは、準2級から2級はストレートで合格しにくかったので、ステップが増えるのは良いことだと思います。大学受験にどう活かされていくかを、今後注視していくつもりです。

生徒たちの視野を広げ、可能性を広げるために

 私は教育とは違う業界にいたので、生徒たちに現実の広い世の中を見せてあげたいという思いを強く持っています。コロナ禍でどこの学校も修学旅行の行き先に困っていた2021年、中学校の修学旅行に広島を選びました。原爆ドームや平和記念公園を訪れた後、江田島へ渡り海上自衛隊の第1術科学校(旧海軍兵学校)を見学させていただきました。中学校の修学旅行で江田島の自衛隊施設に入ったのは、本校が初めてと聞きました。戦争当時のハチマキや遺書などを目の前にし、最後に広報官から「自衛隊が活躍しない世の中を作ってください」とメッセージをいただいたことは、良い意味で生徒たちの心に大きな変化をもたらしました。
 学園祭でも本校らしいイベントがしたいと、今年は「翔凜国際バザール」を実施しました。中国、韓国、インド、アメリカ、そしてウクライナ。留学生の母国の料理を学食で500食ほど用意し、留学生たちが民族衣装を着て販売しました。反響がすごく、あっという間に完売。食を通じて会話も広がりました。
 生徒たちには本校で、英語スキルを含めて国際科らしい学びを得てほしいです。視野を広げ、可能性を広げ、考える力を育てたい。そんな授業や企画を考え続け提供することが、私たちの仕事です。

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